マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は1ドル=125円まで進行した円安の背景とその影響について解説します!
資源国であるロシアがウクライナ侵攻を続けています。国際社会によるロシアへの制裁により、世界でインフレ(物価の上昇)が進行しています。その影響で各国の金融当局は金融を引き締め方向に転換し始めました。一方で日本銀行は金融緩和策を維持しており、足元で6年7ヵ月ぶりの円安が進行しています。これからの投資を考える上で、この円安をどう考えればよいでしょうか。
3月はインフレの進行が顕著に
3月31日の日経平均株価は2万7821円となり、前月末比1294円高でした。
先月はロシアへの経済的な包囲網が進みました。ロシアは原油や天然ガスなどの資源を輸出しているため、供給が滞ってしまうとの懸念から、資源価格が大きく上昇。その影響は各国に「インフレ(物価の上昇)」をもたらし始め、株式市場を大きく左右する材料になっています。
日本以外は金融引き締めの方向へ
もともとwithコロナの状況において、工場の停止などが相次ぎ、モノの値段は上昇する傾向にありました。そうした中、ウクライナ危機を受けたロシアへの制裁から、さらに資源を中心とした「インフレ」が進行。米国をはじめとした各国の金融当局は利上げなどをおこなうことで、インフレを退治しようとしています。
一方、日本銀行はこうした中でも景気の下支えを優先し、金融緩和策を継続しています。そのため、日本と他国のあいだで金利差が拡大し、円安が進行し始めました。
一般的に為替は金利が高くなりそうだったり、金融を引き締めている通貨が買われる傾向にあります。金融緩和の状態にある通貨は、マーケットにジャブジャブに通貨が供給されている状態なので、価値が高まりにくく、売られやすいのです。
ドル円は約6年7ヵ月ぶりの円安水準
このような金融政策の違いから、ドル円は1ドル=125円と一時約6年7ヵ月ぶりの水準をつけました。
ドルベース日経平均で見ると……?
そんなドル円の動きと歩調を合わせるように、日経平均株価が3月中旬から大きく反発しました。ウクライナ情勢に関して材料の織り込みが進んだことや、中国の景気支援策などが追い風になったと見られますが、「円安」も大きなサポート材料となりました。
ただ、見方を変えて「ドルベースの日経平均」で株価推移を観察すると、円安になった分、買い戻されただけとの解釈もできます。そのため、円ベースではすでに1月中旬ごろの水準を回復したかに見える日経平均も、ドルベースではまだ3月初旬の水準に届いていないとも読み取れます。
ドルベースで株価を見る意味
ちなみにドルベースで日経平均を見ることの意味は、「海外投資家」から見た日経平均を客観的にとらえたいときに役立ちます。特に世界中の株のポートフォリオを考えている投資家にとっては、基軸通貨であるドルベースで資産割合などを算出している場合が多く、円安によって目減りした日本株を買い戻す動きは十分想定されます。
円安が業績にプラスに働く企業をチェック!
足元のような金融政策の方向性が大きく異なる状況は、もうしばらく続く可能性が考えられます。こうした中では、まずは円安が業績にとってプラスに働く輸出関連企業をチェックしてみましょう。ひと昔前よりは、企業も「為替予約」などによって、為替の影響を受けにくくなったとも言われますが、実際に決算が出るタイミングなどでは注目が集まるケースがあります。
以下では、ドル円が一定の期間において「1円」円安になったときに、業績(営業利益など)をどれぐらい押し上げるかを各社が試算したものです。投資をする際の参考にしてみてください。
トヨタ自動車
日産自動車
SUBARU
村田製作所
日本郵船
クボタ
キヤノン
川崎汽船
信越化学工業
小松製作所
また、為替水準も含め、まだまだ世界の情勢は不安定な中にあります。リスクを少しでも減らしたいという方は、引き続き米国株や世界株のETFをコツコツと定額買い付けする方法を実践してみてはいかがでしょうか。
NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価連動型上場投信
上場インデックスファンド米国株式(ダウ平均)為替ヘッジあり
上場インデックスファンド米国株式(S&P500)
上場インデックスファンド米国株式(S&P500)為替ヘッジあり
iシェアーズ S&P500 米国株 ETF(為替ヘッジあり)
NEXT FUNDS NASDAQ-100 連動型上場投信
上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)除く日本
NEXT FUNDS 外国株式・MSCI-KOKUSAI指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信
NEXT FUNDS 外国株式・MSCI-KOKUSAI指数(為替ヘッジあり)連動型上場投信
上場インデックスファンド海外先進国株式(MSCI-KOKUSAI)