経済再開でニーズ拡大! 人材領域トップのリクルートHD

ここが狙い目! 日興ストラテジー・セレクション/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

今の社会動向や投資環境をもとにホットな銘柄を毎月選定している「日興ストラテジー・セレクション」。5月号では人材派遣事業で国内トップクラスの「リクルートホールディングス(HD)」が新たに仲間入りしました! 早速、リクルートHDの投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてみましょう。

個人と企業を結んで60年以上! 「リクルートHD」

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、退職、転職、働き方の見直しを余儀なくされた方が少なくありません。働くこと、働いてもらうことは、個人にとっても企業にとっても大切な経済活動です。コロナ禍で雇用情勢は活気を失っていましたが、行動制限措置が全面解除され、ようやく明かりが見えてきています。

このような状況のなか、個人と企業の雇用ニーズのマッチング役として活躍に期待がかかるのが、今回仲間入りした「 リクルートHD 」です。

国内人材領域におけるリーディングカンパニー

リクルートHDは、個人と企業を結ぶ様々なマッチング・プラットフォームを運営している企業です。1960年の創業間もない頃から、大学生向けの就職情報誌『企業への招待』を通じてオープンな就職マーケットの創造に注力。現在では、人材派遣などの国内人材領域におけるリーディングカンパニーです。

同社は「リボンモデル」と命名し、就職・進学・住宅・ヘアサロン・レストランなど、幅広い分野でより多くの出会いの場を創り、最適な結び(マッチング)を実現させることをビジネスモデルとしています。

世界最大級の求人情報検索サイトである『Indeed』を中心とした「HRテクノロジー事業」および、『SUUMO(住宅)』『ゼクシィ(結婚)』『じゃらん(旅行)』などを運営する「メディア&ソリューション事業」、派遣スタッフを募集・登録し、企業へ派遣する「人材派遣事業」の3本柱で事業を展開しています。

世界的な人手不足が追い風

2020年に国内で新型コロナウイルスの感染が報道されて以降、人材紹介大手3社の転職紹介実績は減少傾向にありました。しかし、現在国内では行動制限措置が全面解除され、経済活動再開とともに再び回復の兆しがみえ始めています。

2022年4月に公表された日銀短観(3月調査)によると、大企業から中小企業まで、全産業で国内企業は人手不足が強まっています。また、政府主導の「働き方改革」で、週休3日制を導入する企業も出てきています。

そして、人手不足・人材確保を課題とするのは日本だけではありません。少子化を背景に、日本では生産年齢人口(15~64歳)が減少していますが、米国でも増勢が鈍化。2015年まで長らく「一人っ子政策」を続けていた中国では既に減少に転じたと推計されています。世界中で人材関連企業の重要性はますます高まり、同社に吹く追い風は続くと考えられます。

積極的な買収で中長期的な業績拡大に期待

世界中で人材確保ニーズが高まるなか、業績にも期待がかかります。2010年に米国の人材派遣会社であるThe CSI Companiesを買収して以降、欧州・豪州など積極的な企業買収により海外事業を拡大させてきました。

2022年3月期第3四半期(10~12月)決算では、世界的に継続している強い採用需要を背景に、米Indeedと米Glassdoorで構成される「HRテクノロジー事業」で、売上収益2258億円(前期比97.2%増)、営業利益1106億円(同61.3%増)と大幅な増収増益を実現しました。同事業の好調もあり、市場予想(4月15日時点のQUICKコンセンサス予想)では2022年3月期通期での事業全体の売上高は2兆8088億円(前期比23.8%増)、営業利益3897億円(2.4倍)と会社予想を上回る大幅増収増益を見込んでいます。

世界的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れは、人材採用活動領域でも加速すると想定され、コロナ禍を経て更なる業績拡大に期待がかかります。

多様な人材サービスで存在感が増す同社に注目

様々なマッチング・プラットフォームで個人と企業の出会いを創造し、”結び”を提供している「リクルートHD」。出会いの分野は就職・進学・住宅・ヘアサロン・レストランなど多岐にわたり、国内人材領域では業界トップクラスです。また積極的な企業買収により、海外事業も拡大を続けています。国内外で雇用ニーズが膨らむなか、同社の存在感は増しています。中長期的な業績拡大を期待しつつ、グローバルに活躍する同社を応援したいですね。

2022年5月号では、イオンファンタジーとメルカリが除外となりました。
イオンファンタジーは、海外店舗数の5割弱を占める中国でのコロナ感染拡大による規制強化の影響や「ゼロコロナ政策」の見直しに時間を要することを懸念しました。またメルカリは、米国事業の回復に想定以上の時間がかかりそうなこと、また巣ごもり需要で国内流通総額が押上げられており、その反動を考慮しました。