インフレでも資金が流入する「年初来高値」銘柄に着目

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は27年ぶりの大幅な米利上げの背景と、こうした中でも資金が流入している「年初来高値」銘柄について解説します!

カエル先生の一言

予想を上回るインフレの判明で、通常の3倍幅の利上げを余儀なくされた米国の中央銀行。インフレの抑制には利上げは欠かせませんが、景気を冷やしてしまうことから諸刃の剣でもあります。すでに一部の業界では急ブレーキがかかりつつあり、株式マーケットにも影響を与えそうです。

6月はインフレ再懸念で株は下落

6月30日の日経平均株価は2万6393円となり、前月末比887円安でした。
6月初旬にかけて、いったんはインフレ懸念が後退し、株価が上昇する場面が見られました。しかし、6月10日に発表された米国のインフレ率(消費者物価指数)が、おおかたの予想に反して前年同月比+8.6%と約40年ぶりの水準を更新。市場では急速な利上げが意識されました。その影響で、NYダウや日経平均株価も下落し、インフレに対する警戒感が再びマーケットを冷やしています。

「0.75%」という27年ぶり、3倍の利上げ幅

想定以上のインフレが進行したため、米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備理事会)は約27年ぶりに0.75%幅の利上げを決定しました。通常、利上げ幅は0.25%刻みであるため、その3倍のスピードで利上げをしなければインフレを抑え込めないとFRBが考えているということになります。

米国の住宅市場は急ブレーキ

利上げは諸刃の剣です。利上げを急ぎすぎると、インフレ率の落ち着きとともに急速に景気が冷え込むリスクもあります。株式マーケットやFRBにとっての理想シナリオは、景気は底堅いままで、インフレ率だけ収まることです。

しかし、すでに米国の住宅市場では急ブレーキがかかりつつあります。
米抵当銀行協会(MBA)が6月8日に発表した週次調査によると、6月3日までの週の住宅ローンの申請規模を示す総合指数(季節調整済み)は前の週から6.5%下がり、22年ぶりの低水準になったとのこと。金利の上昇から買い控えが起こっていることがわかります。

一部企業では雇止めなども発生しており、米国をはじめとした世界の景気が「軟着陸」できるかは微妙な情勢となりつつあります。今後は、うまく資産価格や物価上昇だけ落ち着かせて、景気を維持できるかどうかに注目が集まりそうです。

年初来高値を更新している好業績予想銘柄に着目

このように、米国をはじめ世界の景気はいまだ不透明感が漂っています。そんな中でも、年初来高値を更新している銘柄があります。その中でも今回は、今期増収営業増益予想(東洋経済予想)で、予想PERが30倍以下の銘柄をスクリーニングしました。

顔ぶれを見ると、為替やインフレに直接影響を受けにくい企業だったり、独自の成長の柱を持っている企業などが並んでいます。今はじわじわと資金が流入しつつある、業績好調が予想される銘柄に着目してみてもよいかもしれませんね。

アクリート
ユークス
santec
プロパティデータバンク
SHOEI
電源開発
ルックホールディングス
マツキヨココカラ&カンパニー
ディア・ライフ
ワットマン