2022年上半期に上昇したテーマ 「航空機部品」関連

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

2022年も後半に入りました。今回は22年上半期(1〜6月)に株価上昇が目立ったテーマを取り上げます。

21年12月30日から22年6月30日までで株価が好調だったのは「航空機部品」関連株です。QUICKが選定する15銘柄の平均上昇率は16.5%。ロシアのウクライナ侵攻や国内外の景気減速への懸念などから大幅に下落した東証株価指数(TOPIX、6.1%下落)に対して「逆行高」となりました。今回はそのなかでも上昇率の高い「航空機部品」関連5銘柄と株高の背景について解説します!

米ボーイングも、仏エアバスも、受注が回復

新型コロナウイルスの世界的感染拡大で人々の移動が激減し、急激に需要が縮小した航空機の受注が順調に回復しています。2020年に前年比24%減の181機に落ち込んだ米ボーイングの民間航空機の受注は、21年には894機に急回復し22年も5月までに236機を受注しています。仏エアバスの受注も20年に65%減の373機となった後は、21年に771機、22年も6月までで259機と回復基調が続いています。

日本には中型や大型旅客機の完成メーカーは存在しませんが、主翼や胴体、エンジン、内装などを手掛けるメーカーは多数存在しています。欧米大手の受注が回復基調なのを好感し、国内の「航空機部品」関連株への息の長い投資が続いています。

日本の空港利用者数、5月は前年の2.7倍に

航空機需要が回復している背景には、「空の旅」需要の高まりがあります。東京航空局の管内空港の利用概況によると、5月の国内線と国際線の利用者数は697万人と前年同月の2.7倍に膨らみました。前年同月の利用者数が2倍を超えたのは1月に続き二度目です。新型コロナの感染が拡大しても、政府が行動制限を課す姿勢を示さなくなったことで利用者の回復が続いています。

航空機エンジンなどを手掛けるメーカーは製造技術をいかして、エンジンなど航空機の整備事業も手掛けています。旅客需要が回復し、航空機の稼働率が上昇すれば航空機の整備事業も回復します。航空機の需要と稼働率の回復で、航空機部品や整備事業の収益が伸びるとの思惑が広がっています。

エンジン部品の工場を拡張【三菱重工業】

上昇率首位は「 三菱重工業 」。4月22日、航空エンジン部品の製造を手掛ける子会社の三菱重工航空エンジンの長崎工場の拡張を決定したと発表しました。短・中距離旅客機用のエンジン部品に一段の需要増が見込まれるためです。内製力とコスト競争力を高め、コロナ後の再成長にこたえられる体制を整えるとしています。

2023年3月期の営業利益にあたる事業利益は前期比25%増の2000億円を見込んでいます(会社予想)。ロシア関連の工事中断の影響などが減益要因となる一方、コロナ禍からの回復や固定費の削減、円安などが利益を押し上げる見通しです。24年3月期に売上高事業利益率を7.0%(23年3月期は5.1%の見通し)にするとの目標達成に向け、収益力の向上を目指しています。

日本のジェットエンジン生産をリード【IHI】

上昇率2位は「 IHI 」でした。日本のジェットエンジン生産の6〜7割を担うリーディングカンパニーで、防衛省が使用する航空機のほとんどのエンジンの生産を担っています。民間機用のエンジンでも国際共同開発事業に参画し、モジュールや部品を供給しています。製造技術をいかして各種エンジンの整備にも取り組んでいます。

2023年3月期の営業利益は前期に大規模な不動産売却益を計上した反動で前期比8%減の750億円にとどまる見通しです(会社予想)。もっとも、民間向け航空エンジンのスペアパーツの販売増加や生産性の改善を見込む航空・宇宙・防衛事業は8%の増収となり、営業損益は93億円の赤字から300億円の黒字に急回復する見通しです。

そのほか50年以上にわたってプロペラや降着系統システム、熱交換器などの航空機用機器を製造してきた「 住友精密工業 」。ギャレー(厨房設備)などの航空機内装品やシート、ジェットエンジン部品、航空機整備を手掛ける「 ジャムコ 」。主翼の部品などの供給で民間機の国際共同開発事業に参画している「 新明和工業 」も買われています。

航空機受注はコロナ前の8割強に回復

国際航空運送協会(IATA)が6月に発表した業界見通しでは、業界全体に収益回復見通しが広がっているうえ、燃費の高い機体への需要から2022年中の航空機の受注は1200機と、コロナ前の8割強の水準までの回復を見込んでいます。また、強力な先送り需要や各国政府が新型コロナ関連の規制を撤廃することで、世界の旅客者数は新型コロナ前の83%まで回復するとも予想しています。中国では「ゼロコロナ政策」による移動制限で4月に旅客者数が大きく減少するなど一部では不透明感が残るものの、需要回復の継続が関連会社の収益を支えることになりそうです。