財務と業績がキラリと光る「高クオリティ」銘柄に注目

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は、相場の方向感が定まらないときにチェックしたい「高クオリティ」銘柄について解説します!

カエル先生の一言

世界的な高インフレを背景に、利上げを発表する国が増えています。日本は大規模な金融緩和政策を続ける姿勢を崩していないものの、今後の実態経済への影響次第では変更を余儀なくされる可能性も。当面の間、株式市場では不透明感が漂い、こう着状態が続くかもしれません。

ドル円は一時、24年ぶりの円安水準に

7月29日の日経平均株価は2万7801円となり、前月末比1408円高でした。
7月14日にドル円の為替レートが一時1ドル=139円台となり、約24年ぶりの円安水準をつけました。

これは、アメリカで物価上昇の高止まりが懸念され、米連邦準備理事会(FRB)が急速な利上げを続けるとの見方が広がったことが背景にあります。大規模な金融緩和を続ける日銀との対比から、円を売ってドルを買う動きが一段と強まりました。

ただ、政府と日銀は急激な円安進行が日本経済にとって望ましくないとの共通認識を持っています。参院選で大勝利を収めた岸田政権は、今後日銀に対し、急激な円安に繋がる政策運営の抑制を要請するかもしれません。

世界各国で利上げが相次ぐ

7月21日には、欧州中央銀行(ECB)が11年ぶりに政策金利を0.5%引き上げると発表しました。ほかにも、韓国中銀やインド中銀が直近の会合で0.5%の利上げを決めたほか、メキシコ中銀も0.75%の利上げに踏み切っています。

中央銀行の積極的な金融引き締め姿勢は物価高を抑制することにつながると想定されますが、景気を減速させてしまうリスクもはらんでおり、「諸刃の剣」となりそうです。

当面は「森より木」、個別銘柄の選別が重要に

世界的にリスクオンムード(投資家がリスクを取って、リターン(収益)を追求しやすい相場状況)とはならない中、当面の間は、日本株も上値の重いボックス圏(箱の中に閉じ込められているかのように一定の価格帯で株価が上下に動くこと)での推移が続きそうです。指数全体がこう着するような局面でリターンを狙うなら「森よりも木」、つまり指数全体への投資より、個別銘柄を選別して投資する方法が有効的かもしれません。

原材料価格の高騰が企業収益の圧迫要因となる一方、足元の日本では、企業の値上げが進み、長い間デフレが続いた日本人の物価観に変化が表れ始めています。

また、コロナ禍による事業環境の急変を契機に、コスト構造の見直しを進め、より収益の出やすい筋肉質な体質に生まれ変わりつつある企業も出てきています。7月下旬から本格化する4〜6月の決算発表では、もともと自己資本比率や利益率が高く、今期さらに収益性の向上に期待がもてそうな「高クオリティ銘柄」に注目してみるのもよいかもしれませんね。

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