テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、節電要請の中で、注目が集まりそうな省エネハウスに関するニュースの裏側についてご紹介します。
エネルギー安定供給のカギは「ZEH」
今年は6月から早くも猛暑日に見舞われ、戻り梅雨で一息ついたものの、7月下旬からうだるような暑さが続いています。熱中症対策として、政府は国民に28度以下の室温維持を呼びかける一方、電力需給のひっ迫が懸念され、節電が要請されています。
さらに今後は、節ガスが要請される可能性もあります。背景には、ロシアが突然、石油・天然ガス事業のサハリン2から「 三井物産 」や「 三菱商事 」を締め出す大統領令を発令したことなどが挙げられます。液化天然ガス(LNG)の安定調達に支障が出て、火力発電の燃料不安が生じるかもしれないからです。
「これで原発再稼働の声が高まり、原発推進派はほくそ笑んでいる。が、もう一つ、ほくそ笑んでいる向きがある。それが住宅業界だ。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)と呼ばれる省エネハウスの普及推進の後押しになるとハウスメーカーは喜んでいる」(国交省担当記者)。
ZEHは住宅の断熱、日射遮蔽(しゃへい)、気密の性能を高めて冷暖房など住宅のエネルギーを節約し、太陽光で発電も行う省エネハウスです。ZEHが普及すれば、政府も国民に無理な節電を求めることなく自然と省エネ性を高めることができ、カーボンニュートラル実現にもプラスになります。このZEHに力を入れている会社として、「 積水ハウス 」や「 サンヨーホームズ 」などが挙げられます。
省エネリフォーム 都から国へ
とはいえ、住宅建設には時間がかかります。となると、しばらく国民は節電圧力にさいなまれることになりそうですが……
「迅速な省エネ住宅の効果を上げるため、省エネリフォームの推進というアイデアが出ている。そのための補助制度をつくろうという動きが始まっている」(前出・記者)。
7月19日から、東京都は壁の断熱材や節湯水栓、複層ガラス、高断熱ドアのリフォーム工事などの補助金の受付を始めました。国も、そうした事業を行おうと動き出しているようです。
補助金の動きが広がれば、断熱材なら「 日本アクア 」、遮熱材付屋根パネルを持つ「 ニチハ 」などにも注目が集まりそうですね。
(出典:日本証券新聞)