割安感と人流回復で魅力高まる「不動産株」に注目

データから見つかる! 困ったときの投資アイデア/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

2022年の年初から不動産関連株が堅調に推移しています。背景には、海外と比較した時の国内不動産市場の割安感や人流回復期待など、株価上昇の材料が豊富にそろっていることが挙げられます。コロナ禍前の高値を上抜けすれば、さらなる株価の上昇に期待がもてそうです。

コロナ禍前の高値に接近

新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年の前半は、「在宅勤務増→オフィス需要減→オフィス賃料低下」との連想から、不動産関連株の株価は大きく下落しました。しかし「with コロナ」時代の到来とともに、東証不動産業指数はコロナ禍前の2020年2月の高値に接近しつつあります。

海外投資家にとって割安に映る国内不動産

不動産株が上昇している一因とされるのが、国内の実物不動産の割安感です。物価上昇率が欧米先進国に比べて緩やかなことに加え、円安により、外貨建てベースの不動産価格は海外投資家にとって魅力的な価格になっています。

コロナ禍でテレワーク化が進むにつれて、国内のマンション価格は上昇していますが、ドル建て換算のマンション価格の割安感は顕著になっています。例えば、東京都の場合、コロナ前の2019年の水準に近づきつつあります。

新型コロナウイルス「第7波」のピークアウト後に人流が回復することも、不動産株には追い風要因となりそうです。「 三井不動産 」や「 三菱地所 」は、アウトレットなどの大型商業施設を運営しています。「 ヒューリック 」や「 東急不動産HD 」などが展開するホテルやリゾート事業も、経済再開が本格化するとともに需要が回復することが期待されます。

海外要因に左右されにくい不動産セクター

海外においては、政治・経済の不透明感は、国内以上に強まっています。欧米の景気減速懸念は、当面くすぶり続けることが想定され、またロシア・ウクライナ問題も収束の気配は見えません。また、中国の再ロックダウン(都市封鎖)のリスクも残っています。こうした環境下で、海外要因に左右されにくい不動産セクターは、引き続き注目を集める可能性が高そうです。

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