株式市場で「QRコード決済」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する7銘柄の平均上昇率は3.3%と、米連邦準備理事会(FRB)による大幅利上げの観測が後退し続伸した東証株価指数(TOPIX、1.1%上昇)を上回りました(8月19日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
「マイナポイント」第2弾、カード申し込み期限は9月末まで
政府は9月末まで申し込みのあったマイナンバーカードを対象に、キャッシュレス決済のポイント還元策「マイナポイント」の第2弾を実施しています。
第2弾ではマイナンバーカードの新規取得に加え、保険証としての利用申し込みや公金の受取口座の登録まですべてを手続きすると、最大で2万円分のポイントを受け取ることができます。ポイントの受け取りはキャッシュレス決済となるため、QRコード関連銘柄の収益拡大につながるとの見方から買いが入っています。
マイナンバーカード、全国の普及率は5割に迫る
マイナポイント第1弾実施直前の2020年8月のマイナンバーカードの全国の普及率はわずか18%にとどまっていましたが、2022年7月時点では46%と5割に迫っています。ポイント利用者の増加でQRコード決済が一段と普及するとの期待が広がっています。
メルペイの利用者数が1300万人超え【メルカリ】
上昇率首位の「 メルカリ 」は傘下のメルペイが2019年2月にスマートフォン決済サービスを開始しました。2022年6月末時点で264万カ所が決済対応加盟店となっており、利用者数は1345万人まで膨らんでいます。利用拡大に向け2020年2月にNTTドコモと業務提携し、6月に両社のIDを連携、9月にはメルペイとNTTドコモのQR決済サービス「d払い」が一つのQRコードで利用できるようになりました。加盟店の共通化や相互送客などで利用者の拡大を目指しています。
ペイペイの登録者数が5000万人を突破【ソフトバンクグループ】
上昇率2位の「 ソフトバンクグループ 」は、傘下のソフトバンクとZホールディングスが連結子会社としている「PayPay(ペイペイ)」がスマホ決済を手掛けています。2018年10月のサービス開始以来、大規模なポイント還元キャンペーンなどを相次いで打ち出し利用者数を拡大させ、8月18日に登録者数が5000万人を超えました。
d払い利用者数が22%増【NTT】
上昇率3位の「 NTT 」は傘下のNTTドコモが2018年4月にスマホ決済サービスd払いのサービスを開始しました。サービス開始以降はペイペイと同様に大規模なポイント還元キャンペーンなどを相次いで打ち出したほか、メルペイとの提携でも利用者数の拡大を進めました。2022年6月末時点のd払いユーザー数は4561万人と前年の同時期に比べ22%増えるなど利用者数の拡大が続いています。
auPAYでマイナポイントキャンペーン中【KDDI】
上昇率4位の「 KDDI 」は携帯電話のブランド「au」によるスマホ決済「auPAY」のサービスを2019年4月から始めました。利用普及に向けたキャンペーンなどが奏功し、2022年6月末時点のクレジットカード「auPAYカード」を含む会員数は3800万人まで拡大しました。また、マイナポイント第2弾の実施に合わせ「総額1億円分当たる!」キャンペーンを実施中です。期間中にマイナンバーカードの保険証利用申し込みか公金受取口座を登録した利用者を対象に1000円分のポイントが抽選で10万人に当たります。
PRキャラクター投入でゆうちょPayの利用拡大目指す【ゆうちょ銀行】
上昇率5位は日本郵政グループの「 ゆうちょ銀行 」です。スマホ決済サービス「ゆうちょPay」は2019年5月にサービスを開始しました。サービス開始と同時にPRキャラクター「ペイレンジャー」を発表し、SNSを使ったキャンペーンを実施するなどして、利用拡大を目指しています。ゆうちょ銀行の口座を持っている利用者があらかじめ登録したゆうちょ銀行の口座から代金を即時に引き落とすため、クレジットカードの登録や事前にチャージする必要がないのが特徴です。
利用者の獲得競争後の展開が鍵に
QRコード決済のようなインフラに近い事業で安定した収益を得るには、いかに多くの利用者を獲得するかが重要になります。サービス開始からまだ日が浅く、現在は利用者獲得競争の真っ最中です。ポイント還元キャンペーンなどで利用者を増やすのが最優先で、採算は二の次になっています。マイナポイント第2弾などでQRコード決済が十分に普及すれば、利用者獲得競争がひと段落する可能性があります。事業拡大にめどを付けた後に、どれだけ各社の収益に貢献するかが鍵を握ることになるでしょう。