コロナ禍で新たな収益構造へ転換! オリエンタルランド

ここが狙い目! 日興ストラテジー・セレクション/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

今の社会動向や投資環境をもとにホットな銘柄を毎月選定している「日興ストラテジー・セレクション」。9月号の採用銘柄は、日本にディズニーランドをもたらした「オリエンタルランド」です! 早速、オリエンタルランドの投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてみましょう。

人々に喜びと感動の魔法をかける! 「オリエンタルランド」

コロナ禍での行動制限が緩和され、少しずつお出かけを楽しむようになった方も多いのでは。ただ、レジャーを楽しむ人が一気に増えると、行列に並ぶ時間が長くて充分に楽しめなかったり、密になるのが気になったりするものです。このような1人ひとりのニーズを上手く取り込み、安心して楽しめるレジャーを提供してくれるのが、今回仲間入りした「 オリエンタルランド 」です。

夢と感動の場所を創り続けて62年

オリエンタルランドは、「東京ディズニーランド(TDL)」「東京ディズニーシー(TDS)」のほか、周辺の公認ホテルや商業施設「イクスピアリ」などを含む「東京ディズニーリゾート」を運営している企業です。

1960年の創業以来、「新しい夢と感動の場所を創る」という熱い想いを抱き続け、テーマパークから、ホテルや滞在型リゾートへと次々に事業を拡大しました。

コロナ禍では123日間という過去に例をみない長期休園、入園者数の制限を余儀なくされ、2021年3月期に1996年の上場以来はじめて赤字に転落。しかしながら顧客1人当たりの売上高は増加しています。これは、入園者数を制限したことでアトラクション等の待ち時間が減少したほか、飲食の機会が増加したことなどによるものです。

前代未聞の難局にありながら、入園者にとっては待ち時間の減少による満足度向上、同社にとっては顧客単価の向上という”ハピネス”を見いだしました。

2022年4月に策定した「2024中期経営計画」では、1日当たりの入園者数上限を下げ、2025年3月期の入園者数目標は過去のピーク時(2019年3月期)の8割レベルに留める方針です。その一方で、1人当たり売上高を伸ばし、2019年3月期以来の営業利益1000億円を計画しています。

継続的な値上げを可能にする、強いブランド力

コロナ禍でパークを再開して以来、より安全に配慮した運営を実施している同社。2021年3月には、閑散期の入園者数を増やすため、チケットの変動価格制を導入しました。同年10月からはチケットの種類ごとに価格パターンを4つに増やし、顧客の満足度向上にも努めています。一方で、変動価格制の導入によって土日祝日の価格は値上げとなりました。それでも2023年3月期第1四半期(4−6月)期間における土日祝日の入園者数は堅調です。チケットの価格は今までに何度も引き上げられていますが、人気は衰えていません。

継続的に価格を引き上げてもファンをますます増やす同社の強さは、ブランド力に加え、パークの魅力向上に向けて絶えず実行している大規模投資のたまものかもしれません。2023年度には、TDS開業以来、最大の面積拡張となる新テーマポート「ファンタジースプリングス」のオープンを予定しています。ディズニー映画「アナと雪の女王」や「塔の上のラプンツェル」等を題材としており、幅広い年齢層に人気が出ると期待されます。

また、「スペース・マウンテン」など既存アトラクションのリニューアルも進めています。このような取り組みが、ブランド力や集客力を中長期的に高めています。

2023年3月期の営業利益は前期比59.7%増を見込む

コロナ禍では、渡航制限など行動制限により近場からの来園者比率が高くなりました。が、入国制限などの規制緩和を受け、海外を含めた遠方客の増加や、それに伴うホテル等の周辺施設の利用増加などが今後期待できます。このような状況から、市場では2023年3月期の売上高4506億円(前期比10.5%増)、営業利益802億円(前期比59.7%増)を見込んでいます

また、2024年3月期には東京ディズニーリゾートが開業40周年を迎えることも大きな期待材料です。35周年時には入園者数、1人当たり売上高ともに当時の過去最高を記録。顧客満足度に焦点を当てるビジネスモデルへの転換もあり、入園者数の大幅な増加は見込みにくいですが、40周年イベント関連商品の販売など、さらなる顧客単価の引き上げ策が期待されます。中長期的な株価の上昇余地は大きく、今後の施策動向から目が離せませんね。

夢と魔法の王国を提供するため、進化し続ける

米国以外で初めてのディズニーテーマパークを開設し、その後もホテルや商業施設等を含む東京ディズニーリゾートへと進化させた「オリエンタルランド」。コロナ禍という難局を経験し、入園者数によらない収益構造への転換を進めています。2023年度には「ファンタジースプリングス」のオープンが予定されており、業績への大きな貢献が期待できます。顧客の夢と感動のために邁進する同社に注目し続けたいですね。