賃金上昇のカギを握る転職関連企業に注目

データから見つかる! 困ったときの投資アイデア/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

欧米諸国では、物価の上昇が著しいと同時に、賃金も大きく増加しています。物価上昇の波が日本にも及ぶなか、欧米並みの賃上げを実現するためには、転職市場の拡大が重要な役割を果たしそうです。

過去30年の日本の賃金上昇率はわずか5%

世界的に著しい物価の上昇が続いています。足元の日本では、前年比2%台と比較的緩やかな上昇率である一方、欧米諸国は7~10%前後と高水準となっています。ただし、欧米では物価だけでなく、賃金も上昇しています。過去30年間で見ると、米英で50%近く上昇しているのに対して、日本ではわずか5%程度となっています。

日本で賃金が上がらないのは、転職市場が未発達であることが一因と言えそうです。なぜなら、“健全”な市場原理の下では、金銭面も含め、好条件を求めて人材は移動するものであるからです。また企業側も、優秀な人材を引き留めるために賃金を上げる努力を怠らないものです。

日米の転職者数の差は16倍以上!

厳密な定義は異なりますが、日米の転職・離職者数には大きな隔たりがあります。2021年時点で米国の人口は日本の約2.7倍となっていますが、同年の転職者数の開きは16倍以上です。しかも、日本は転職者数が長年横ばいである一方、米国では経済成長とともに転職市場が拡大しています

中長期的な人材市場の流動化に期待

今後も国内の物価上昇が続くと仮定すれば、賃金の上昇は必要不可欠です。8月初めに厚生労働省の中央最低賃金審議会は、2022年度の最低賃金(時給)の目安を全国平均で3.3%引き上げると決めました。今後もこうした水準で賃上げが継続されることが重要です。加えて、中長期的には労働市場のさらなる流動化、すなわち「より好条件を目指した転職」が増えるような環境整備が必要となるでしょう

転職を紹介、斡旋する企業には、対象を医療従事者に特化したり、企業幹部クラスの紹介を得意とするような独自色を有する企業も存在します。転職市場が欧米のように成長・成熟する過程で恩恵を受ける可能性が高い、転職関連企業に注目してみてはいかがでしょうか。

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