みんな大好き“日常食”が回復 「ラーメンチェーン」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「ラーメンチェーン」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は2.7%と、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げを受けて下落した東証株価指数(TOPIX、1.6%下落)に対して「逆行高」となりました。(9月22日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

ギフトホールディングス、5~7月期の売上高が過去最高を更新

ラーメンチェーン関連株が買われるきっかけになったのは、ラーメンチェーン店を展開するギフトホールディングスの2022年5〜7月期決算の発表でした。9月14日に2022年5〜7月期の売上高が43億円と、四半期として過去最高を更新したと発表しました。新型コロナウイルスの感染が拡大しても行動制限が課されなくなり、客足が回復したのが主因です。

ギフトホールディングスは、ラーメン事業は店内滞在時間が短く「日常食」であるため新型コロナウイルスの感染が拡大しても事業拡大を進めることができたと説明しました。テイクアウトや宅配サービス、電子商取引(EC)サイトでの商品販売に注力したことも奏功したようです。コロナ禍での成長が好感され、ラーメンチェーン関連銘柄が物色されています。

八重洲地下街に7ブランドを出店【ギフトホールディングス】

上昇率首位の「 ギフトホールディングス 」は田川翔社長が2009年に個人商店を法人化して設立しました。現在では祖業の「町田商店」のほかに「中華そば長岡食堂」「豚山」などのブランドを展開しています。東京駅から徒歩1分の「八重洲地下街」に2022年6月29日にグランドオープンした「東京ラーメン横丁」に7ブランドを出店するなど、新規出店に積極的です。 

8月の既存店売上高が71%の大幅増【ハイデイ日高】

上昇率2位の「 ハイデイ日高 」は現会長が1973年に中華料理店「来々軒」をさいたま市大宮区で創業したのが起源で、1983年に株式会社となり「日高屋」などのブランドで直営店を展開しています2022年2月期末の店舗数は400店を超え、首都圏600店舗体制を目指し着実に出店していく方針です。9月5日に発表した8月の既存店売上高は前年同月に比べ71%の大幅増となり、コロナ禍から着実に回復しています。 

原材料価格などコスト高の転嫁が課題に

そのほか、1977年に大阪王将食品として創業し、大阪王将ブランドでラーメンや餃子のチェーン店などを展開する「 イートアンドホールディングス 」。2022年7月22日にグループ創業60周年を迎えた長崎ちゃんぽんチェーンの「 リンガーハット 」。ブランドのうち中華レストラン「バーミヤン」でラーメンを提供している「 すかいらーくホールディングス 」も買われています。

ラーメンの主要な原材料である小麦価格の上昇や、燃料コストの上昇で、ラーメンチェーン各社はコスト高に直面しています。総務省の小売物価統計調査では8月の「中華そば(外食)」の全国平均価格は623円と昨年末に比べ3%上昇しています。各社ともセントラルキッチンや店舗運営の効率化などでコスト削減に努めていますが、値上げの動きがあるのも事実です。「庶民の食」のイメージが強いラーメンだけに値上げが消費者離れを招かないかどうか、月次売上高などから確認していきたいですね。