今の社会動向や投資環境をもとにホットな銘柄を毎月選定している「日興ストラテジー・セレクション」。10月号の採用銘柄は、総合モータメーカー「日本電産」です! 早速、日本電産の投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてみましょう。
世界一高性能なモータで地球環境に貢献!「日本電産」
近年、地球温暖化やエネルギー価格高騰、人口高齢化などが社会的な課題となっています。これらの課題解決に向けて、各国政府や多くの企業が脱炭素や省電力、ロボット活用といった施策や製品作りに取り組んでいます。このような課題を解決するための牽引役として活躍しているのが、今回仲間入りした「 日本電産 」です。
日本電産は、精密小型から超大型まで、幅広いラインナップのモータを開発・製造するモータ事業を中心に、「回るもの・動くもの」に特化したモータ応用製品、ソリューションも手がける会社です。
モータとは、電気エネルギーを機械エネルギーへ変換する装置です。携帯電話やパソコン、ゲーム機、家電製品、自動車、産業機械など、電気で動く身の回りのあらゆる製品・機械に組み込まれており、同社のモータも多用されています。とくに、パソコンやデータセンターで使われるハードディスクドライブ(HDD)用モータや自動車向けの電動パワステ用モータでは、世界トップシェアを誇っています。
コロナ禍で露呈した課題を、モータが解決
同社は、新型コロナ禍やウクライナ・ロシア問題などを通じて、以下の5つを社会的課題として認識しています。
こうした社会課題解決に向け、自動車の電動化やロボット製作などのニーズが加速するにつれて、モータの需要も増えています。
一方でモータが消費する電力量は、世界の発電量の約半分を占めると言われています。そこで、高性能で低消費電力のモータの需要が高まっています。そこで同社が得意とする電力消費が少ない「ブラシレスDCモータ」が「省電力化」に貢献しています。また、パソコンなどを長時間使用すると主要部品が高温となりますが、これを冷却するファンにモータが使用され、高速・大容量通信が可能である移動通信システム5Gによる熱量増加への対応をしています。このように、社会的な課題に、同社は果敢に取り組んでいます。
独自のEV用駆動モータシステムでトップシェアを目指す
とくに同社が重点を置いているのが「脱炭素化」、すなわち地球温暖化対策です。脱炭素化対策(CO2排出量規制強化)として、世界の主要国・地域は将来的にガソリン車の新車販売を禁止する一方でEV(電気自動車)には補助金を支給し、EVの普及を促そうとしています。
こうした中、同社はモータ、インバータ、減速機(ギア)の3つを一体化したEV用駆動モータシステム(E-Axle)を開発。エンジンの代わりとなる自動車の心臓部として期待されています。E-Axleは、運動性能を左右するトルク特性や航続距離(搭載した燃料で運転できる距離のこと)を伸ばすための効率性、静粛性、小型軽量化、そしてメンテナンスのしやすさなどが特長です。E-Axleはモータを内製する自動車メーカーからの受注も増加しています。2019年4月より量産を開始し、今後はさらに受注が加速する見通しです。
同社は2025年を境に、EV販売台数が飛躍的に伸びると捉えています。スピーディな参入で市場シェアを拡大しており、2022年中に更なる性能アップと原価低減をテーマとした第2世代E-Axleを市場投入予定です。2024年3月期には、単年黒字化を目指す計画です。先々を読み、「先手必勝」で経営資源を投入する同社は、E-Axleでも世界市場シェアNo.1を目指しています。
連続過去最高益を見込む
新型コロナ禍や地政学リスクを背景とする原材料価格高騰などの影響を受けながらも、業績は好調です。2022年3月期は売上高1兆9181億7400万円(前期比18.5%増)、営業利益1714億8700万円(同7.2%増)と、ともに過去最高を記録しました。
2023年3月期の売上高は2兆1000億円、営業利益が2100億円とさらなる更新を見込む同社。「新中期戦略目標 Vision 2025」によると、2025年の売上高を4兆円、2030年には10兆円到達を目標に掲げています。1973年の創業以来、市場のニーズを上手く捉えて高い技術力やM&Aによって成長してきた同社なら、大きな目標も実現可能性は高いと考えられます。
安心・快適な暮らしに欠かせないモータを提供!
パソコン、家電製品、自動車など、電気で動くあらゆるモノの基幹部品であるモータを開発・製造している「日本電産」。高性能かつ低消費電力のモータを強みに、脱炭素化や省電力化、省人化、5G普及の波に乗り、世界中で高まるニーズに応えています。また、同社株は日経平均株価の構成銘柄に新規採用されました。地球環境ひいては人々の安心・快適な暮らしのために世界の先陣を切って活躍する同社を応援していきたいですね。