資産運用を行いながらお金と上手に付き合っていきたいと考えている人に、ぜひ知っておいてほしいのが「お金を色分けして管理する」という考え方です。
本企画では、ライフステージ別のお金の色分け術と、資産運用をはじめるヒントをFP野原亮さんが伝授。#2では、20〜30代の独身・DINKsに向けてアドバイスします。
記事提供:Money VIVA(マネービバ)
<お金の色分けしてみよう!>
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早すぎるなんてことはない! 20〜30代は資産運用を始めるゴールデン世代
20代後半〜30代になると、自分でお金を稼ぎはじめてある程度の時間が経ち、キャリアとともに少しずつ貯蓄が増えているのではないでしょうか。仕事で稼いだお金を自分のために貯蓄したり、共働きで世帯収入を上げたりしやすい世代です。
今後は、結婚、出産、マイホームの購入などのライフイベントが待っていると考えると、独身・DINKsは、言わばお金の貯めどきです。自由に使えるお金と時間が比較的多い今こそ、将来に向けてマネープランを考えておきたいものです。
お金を貯めるのが苦手な人は、まずは貯蓄グセをつけることから始めてみましょう。
「あればあるだけお金を使っちゃう」というタイプの人は、逆に言うと「手元にお金がなければないで、なんとかしてしまう人」とも言えます。毎月、手取りの2割を自動積立預金で機械的に貯めるなどルール化し、自由に使えるお金が”手元になかったこと”にして、先取り貯蓄をすると良いでしょう。
今持っているお金を3つの色に分けて考えてみよう!
資産運用をはじめるときによく話題になるのが、自分が運用に回すことができるお金はいったいいくらになるのかということです。それを知るためには、マネープランをしっかりと立てたうえで、お金の色分けをすることが大切です。
まずは、自分の持っているお金を以下の3つに分けて考えてみましょう。
・毎月の手取り額30万円
・生活費20万円
・預金額260万円
<3つのお金の例>
①当面の生活費として確保しておくお金
1つめのお金は、いざというときのために確保しておくと良い予備の生活費です。会社員であれば生活費の3〜6ヵ月分、フリーランスなら1年分を貯めることを考えましょう。
②使いみちの決まっているお金
さらに今後3〜5年程度で「使いみちの決まっているお金」について計画を立てます。
20〜30代の独身・DINKsであれば、セミナーや講習代などの自己研さん費や、旅行代、引っ越し費用や敷金・礼金、冠婚葬祭のお金などが挙げられるでしょう。
③当面使う予定のないお金
今ある資産から①②を差し引いたお金が、「当面使う予定のないお金」になります。これは今後のライフイベントをさらに充実させるために準備するお金です。
また、①②が確保できていれば、今後毎月貯蓄にまわすお金やボーナスなどもこの「当面使う予定のないお金」に当てはめることができます。
上のケースでは、預金から①②を引いた71万円に加え、毎月10万円程度は「当面使う予定のないお金」と捉えることができます。このお金を活用して、今後どのように資産運用をはじめるか考えることがポイントになります。
「当面使う予定のないお金」をどう活用する? 時間を味方につけた積立投資がおすすめ
20〜30代の独身・DINKsは、時間をかけてゆっくりと資産運用できる世代です。投資の期間が長く確保できればリスクも取りやすくなるので、なるべく早く積立投資をはじめるのがおすすめです。
結婚や出産、退職や転職など、今後ライフステージが変化してお金が必要になったときに、現金化しやすいかどうかも考えながら積立をしていきましょう。
おすすめは、毎月一定額を投資信託で積み立てる、積立型の投資信託です。特に今後の積立期間を長くとれる30代前後であれば、株式型の投資信託である程度リスクを取りながら、リターンを期待したいところです。
世界や日本の株式などに分散投資をすることでリスクを抑えることが期待でき、投資初心者にもおすすめの方法です。
まずは、実践重視ではじめてみるのも良いでしょう。例えば、「当面使う予定のないお金」のうち、8割はリスク資産の投資信託で運用するようなイメージです。
「当面使う予定のないお金」が毎月10万円あるなら、そのうち2万円は積立型の定期預金や普通預金で貯めていきながら、8万円を投資信託の積立を行います。
株式相場などマーケット環境が悪化した時に、この安全資産である普通預金を活用して、将来のためにリスク資産の買い増しをするのも有効な方法です。
つみたてNISAやiDeCoを上手に活用しよう!
投資信託の積立を行うなら、ぜひ活用したいのがつみたてNISA、iDeCoや企業型DCといった、税金面で優遇のある制度です。
つみたてNISAは、少額の積立投資で得た利益にかかる税金が、非課税になる制度です。
一方iDeCoや企業型DCは、自分で積み立てる私的年金制度です。積立金(掛金)は、会社の制度によっては会社側が出してくれるケースもあります。また利用することで所得税・住民税などの節税効果も期待できます。
20〜30代の独身・DINKsであれば、つみたてNISAとiDeCoや企業型DCを組み合わせて、投資信託を積み立ててみましょう。総合的な節税効果は、一般的にはiDeCoや企業型DCのほうが大きくなります。
このような少額からスタートできる優遇制度を活用し、節税効果を得ながら積み立てることで、より有利な資産運用にチャレンジしてみましょう。
たとえば、毎月8万円を投資信託の積立に回すなら、まずは2万円をiDeCo(または企業型DC)で積み立て、定年後の将来に備えます。そして3万3000円でつみたてNISAで毎月積み立てをします。
そして、残りの2万7,000円は、課税口座で別途積立投資をしてはいかがでしょうか。
現金化のしやすさを優先した方が安心なら、60歳から現金化できるiDeCo(または企業型DC)ではなく、つみたてNISAや課税口座の投資信託を検討するのも良いでしょう。
まとめ
独身・DINKsは、ココがポイント!
独身・DINKsは、言わばお金の貯めどきです。自由に使えるお金と時間が比較的多い今こそ、将来に向けてマネープランを考えておきましょう。
独身・DINKsであれば、生活費6ヵ月〜1年分の「当面の生活費として確保しておくお金」、さらに自己研さん費や、旅行代、引っ越し費用など「使いみちの決まっているお金」の目処が立ったら資産運用を検討してみましょう。
独身・DINKsは、時間をかけてゆっくりと資産運用できる世代です。世界や日本の株式の投資信託に分散投資をして、ある程度リスクを抑えながらリターンを期待できるような資産運用にチャレンジしてみてはいかがでしょう。
次回からは、「子育て」「定年前後」の2つのライフステージごとのマネープランの考え方やおすすめのポートフォリオ、さらに上記の制度などを活用した資産運用の設計の仕方などを紹介していきます。
執筆:野原 亮(のはら りょう)
確定拠出年金創造機構 代表
明治大学政治経済学部経済学科卒業。現東証1部上場の証券営業・株式ディーラーとして従事。その後、営業コンサル会社を経てFPとして独立。中小企業の確定拠出年金を中心とした福利厚生の社外担当として活動、上場企業等の金融研修なども担当している。証券外務員1種、ファンナンシャル・プランナー(AFP)、企業年金管理士(確定拠出年金)、公的保険アドバイザー。書籍に『スピードマスター 1時間でわかるiDeCo~50代からの安心投資』(技術評論社・2020年)『ポイントですぐにできる! 貯金がなくても資産を増やせる「0円投資」』(日本実業出版社・2021年)がある。個人Webサイト:https://fpsdn.net/fp/rnohara/
事務所Webサイト:https://kakuteikyoshutsu.com
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