中間決算終了! 業績を上方修正&増配した企業に注目

ここが狙い目! 日興ストラテジー・セレクション/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

少しずつ寒くなり、鍋やおでんを食べたくなる12月。3月決算企業では、中間決算の結果が出そろいました。そこで今回は、日興ストラテジー・セレクション採用銘柄のうち、中間決算を受けて業績を上方修正した銘柄や配当金を増額した銘柄をご紹介します。

業績も配当も! 上期好調で上方修正【オリエンタルランド】

「東京ディズニーランド/シー」のほか、商業施設「イクスピアリ」などを含む「東京ディズニーリゾート」を運営する「 オリエンタルランド 」。12月25日(日)まで、3年ぶりとなる大規模なクリスマスイベントを開催中です。

2023年3月期第2四半期(7ー9月)決算は、売上高1059億円(前年同期比2.2倍)、営業利益209 億円(前年同期は105億円の赤字)と大幅に増収・黒字転換しました。通期計画についても、入園者数2000万人(2022年3月期1205万人)の前提は据え置きつつ、ゲスト1人当たり売上高を1万4318円→1万5551円に、営業利益を502億円→800億円に上方修正しました。

配当金については、中間および期末の配当金を、期初予想よりも各3円増配することを決定。年間の配当金予想は、1株あたり30円→36円に上方修正されました。

過去最高の5兆円超えとなった売上高【ソニーグループ】

最近話題のVR(バーチャル・リアリティ)は、ゲームを超えて新たな事業領域を創出することが予想され、第5世代移動通信システム(5G)を広く普及させるソフトウェアとしても期待されています。
ソニーグループ 」では、ゲーム業界で注目を集める「プレイステーション ヴィーアール(PlayStation VR)」を販売しています。2023年初頭には、次世代機「PlayStation VR2」が発売予定です。

2023年3月期第2四半期(7ー9月)業績は、売上高及び金融ビジネス収入が2.75兆円(前年同期比16.1%増)、営業利益は3440億円(8.0%増)と、8四半期連続で増収増益を確保しました。上期の売上高は5兆円を超え、営業利益とともに過去最高を更新しています。音楽ストリーミングやモバイル機器向けイメージセンサーの売上増などが業績を押し上げました。

2023年3月期通期予想は、売上高は+1000億円(11.5兆円→11.6兆円)、営業利益は+500億円(1.11兆円→1.16兆円)と上方修正されました。

上期の過去最高記録を続々更新!【ダイフク】

マテリアル・ハンドリング(マテハン)の売上高世界首位メーカー(2021年)である「 ダイフク 」。マテハンとは、物流センターや工場における物流業務を効率化する機械のことです。ダイフクの特徴の一つとして、取引先の業種に偏りがないことが挙げられます。同社は顧客の多様なニーズに対し、柔軟に対応することができます。

2023年3月第2四半期(7ー9月)決算は、売上高が前年同期比19.8%増、営業利益が44.7%増と大幅増収増益、受注高も47.0%増と、いずれも会社計画を超過達成し、上期としては過去最高を記録しました。上期は半導体や液晶の生産ライン向け、空港向けの受注が好調でした。2023年3月期通期計画については、受注高を6300億円→7100億円、売上高を 5650億円→5800億円、 営業利益を 565億円→570億円へと上方修正しました。円安の影響も一部含むものの、旺盛な需要が業績を牽引しています。

インバウンドの追い風が吹く!【共立メンテナンス】

寮事業とホテル事業を主軸とする「 共立メンテナンス 」。88ヵ所の国内拠点(2022年9月末時点)を持つビジネスホテル「ドーミーイン」や、リゾート事業を展開しています。

2023年3月期第2四半期(7ー9月)決算は、営業利益29億円となり、3期ぶりの黒字となりました。同期間は新型コロナ感染第7波が到来しましたが、ホテル事業が力強く業績を牽引しました。第2四半期決算発表では、2023年3月期の純利益を10億円→28億円、営業利益を30億円→55億円、経常利益を22億円→51億円へそれぞれ上方修正しました。

コロナ禍で大きく落ち込んだリゾート事業稼働率は、2023年3月期第2四半期では78.1%と回復基調をたどっています(2022年3月期の年間累計は59.7%)。2022年10月からは全国旅行支援や入国者数上限の撤廃などが実施されており、事業を取り巻く環境は一段と改善しています。

好決算の上、増配も!【キーエンス】

工場での生産工程自動化を図る FA(ファクトリーオートメーション)関連機器、計測機器、3Dプリンターなどを手掛ける「 キーエンス 」。生産を外注し、顧客が気づかない潜在的な製造ラインの問題点を直販営業で吸い上げることで、高付加価値製品の開発に努めています。

2023年3月期第2半期(7ー9月)決算は、売上高が前年同期比36.0%増、営業利益は33.3%増と、7四半期連続の2桁増収増益を達成しました。決算の上方修正はないものの、事前の市場予想も上回り、好調な決算と言えます。
2023年3月期予想は開示されていませんが、徹底したコスト低減に加えて10月から実施している値上げ効果も見込まれるため、今後の業績期待は一層高まります。

配当金については、中間および期末の配当予想をそれぞれ上方修正し、1株当たり年間配当は 200円→300円へと大幅に増額されました。

これから日本株投資を考えている方や年内のNISA枠を使い切りたい方は、中間決算を受けて業績を上方修正した企業や、配当金を増額した企業に注目してみてはいかがでしょうか。

2022年11月号では、信越化学工業と本田技研工業が除外となりました。信越化学工業は、半導体市況が調整局面にあることや米住宅市場も調整が始まっていることを考慮しました。本田技研工業は、四輪事業の生産台数が回復せずに利益率も低水準が続いていることや、米国を中心とした世界的な景気減速に伴って自動車需要自体の落ち込みが懸念されるため、除外しました。
2022年12月号では、オリックスとJR東日本が除外となりました。オリックスは、①注目する再生可能エネルギーについて、足元でロシア・ウクライナ問題がESG(環境・社会・ガバナンス)のあり方や評価に影響を与えていること、②同社の事業(リース、不動産、事業投資など)が世界景気減速の影響を受けやすいことを考慮しました。JR東日本は、キャッシュレス決済の手段として注目していたSuicaが、QRコードやクレジットカードのタッチ決済などとの競争が激化したことにより、除外しました。