株式市場で「化粧品」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は0.6%と、米国の景気減速への警戒感などから大幅安となった東証株価指数(TOPIX、3.2%下落)に対して逆行高となりました(12月2日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
行動制限の緩和が化粧品の需要回復へ
中国で、ゼロコロナ政策に対する市民の抗議活動が相次いだのを受け、11月29日に行われた国家衛生健康委員会の会見で、担当者が長期間の封鎖を改める必要があると発言。また、報道によると、11月30日と12月1日の保健当局の会議で、新型コロナウイルス政策を担当する孫春蘭副首相は、両日ともゼロコロナ政策の継続について言及しなかったとのことです。
一連の政府関係者の動きを受け、厳格な行動制限が課されていたゼロコロナ政策に対する緩和期待が広がりました。行動制限緩和による外出機会の増加により、化粧品需要が回復するとの期待から化粧品関連銘柄が物色されています。
高機能・高技術を訴求【資生堂】
上昇率首位の「 資生堂 」は、1981年の化粧品やせっけんなどの販売開始以降、中国の風土や文化、顧客の肌の研究を重ね独自のブランドを開発。先ごろ11月10日に行われた2022年3月期第3四半期連結決算の説明会では、生活者の貯蓄が増加傾向にあるとの見方を示すとともに、追加投資により、高機能・高技術などの訴求を通じ、各ブランドの価値を高め愛用者を増やす戦略を掲げています。
ブランド価値向上を積極化【コーセー】
上昇率2位の「 コーセー 」の中国進出は1988年。今年7月、中国・海南省で開かれた「第2回中国国際消費品博覧会」に初出展するなど、中国市場でのブランド価値向上に積極的です。海南省では2011年の市中免税店へのスキンケアブランド「雪肌精」の導入を皮切りに、最高級の総合化粧品ブランド「コスメデコルテ」の2つを中心に事業を展開しています。
感染状況と消費動向の両にらみ
そのほか、「 I-ne 」は、シャンプー・トリートメントの「BOTANIST(ボタニスト)」などを手掛け、2020年に中国・上海に子会社を設立。「 日本色材工業研究所 」は、化粧品のOEM(相手先ブランドによる生産)を展開。「 リベルタ 」は、ニッチニーズに特化した化粧品などを手掛け、2010年に中国・上海に現地法人を設立。これらの銘柄も買われています。
報道によると、12月5日、上海や北京の地下鉄利用の際、PCR検査の陰性証明の提示が不要になったとのことです。一方、商業施設などに入るには、陰性証明が引き続き求められるようです。ゼロコロナ政策の緩和によって、外出の自由度が回復するのでは、との期待で上昇した「化粧品」関連株。たまっていた旅行や買い物などに対する中国の消費意欲は大きいと思われます。一方、行動制限の緩和は感染リスクとも隣り合わせの面もあり、「化粧品」関連株を巡っては、感染状況と消費動向の両にらみの展開となりそうです。