2022年に大きく上昇 「リサイクルショップ」関連株

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

2022年も年末となりました。今回は22年に株価が大きく上昇したテーマを取り上げます。

21年12月30日から22年12月16日までの期間で株価が好調だったのは「リサイクルショップ」関連株でした。QUICKが選定する銘柄の平均上昇率は67%。資源価格の上昇や米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めなどから下落した東証株価指数(TOPIX、2.1%安)に対して大幅な逆行高となりました。株価が上昇した5銘柄とその背景をご紹介します!

リユース市場、2022年に3兆円規模に拡大との試算も

読者の皆さんのなかでも「リサイクショップ」を利用するという人も多いのではないでしょうか。実際、コロナなどによる「巣ごもり」で不用品を出品する動きが広がったほか、物価上昇でリユース品の需要は拡大基調です。

民間調査会社によると、リユース市場の規模は2021年に2.7兆円と前年比で12%増加したとのことです。物価上昇や新品不足、急激な円安による値上げなどを受け、中古のブランド品需要が高まっていることなどが背景です。22年には3兆円と更に規模が拡大する見通しです。不用品の売却や中古品の購入に対する抵抗感が薄れるなど、日本の消費者行動の変化も追い風になっており、1年を通じて関連銘柄が物色される展開が続きました。

台湾1号店を出店【トレジャー・ファクトリー】

上昇率首位の「 トレジャー・ファクトリー 」は、総合リユースショップ「トレジャーファクトリー」に加え、服飾専門リユースショップ「トレファクスタイル」、スポーツ・アウトドア専門リユースショップ「トレファクスポーツアウトドア」などを展開しています。

12月15日、台湾1号店を台湾新北市にオープンすると発表しました。海外店舗は2016年に初進出し3店舗を展開しているタイに続き、2ヵ国目です。総合リユースショップで、リユース商品の販売や店頭買取・出張買取などを展開。台湾でも複数の店舗を出店する方針です。

「SDGsフェスティバル」に出展【買取王国】

上昇率2位の「 買取王国 」は、総合リユースショップ「買取王国」のほか、買取王国で一定期間以上売れ残った商品を販売するアウトレット業態の「マイシュウサガール」、工具を専門に取り扱う「工具買取王国」などを東海地方を中心に展開しています。

11月14日、「第3回SDGsフェスティバル in 名古屋丸の内〜SDGsテラス〜」(2022年11月10日~23年1月31日開催)に出展すると発表しました。同社は、SDGsの取り組みとして、モノで寄付する「モノドネ」を推進しています。これは、不用品の査定額が社会活動を行う団体へ全額寄付されるもので、フェスティバルでも受付を行う予定です。

 既存店売上高は増加基調、競争状況を注視

そのほか、「 ワットマン 」は、国内でリユースが難しい商品を海外で再リユースする事業を展開。「 ハードオフコーポレーション 」は、1993年にリユース事業に参入。「 BuySell Technologies 」は、リユース品の出張買取や買取店舗を展開し、自社サイトなどで販売。これらの銘柄も買われました。

販売店舗を持つ4社(BuySell Technologies除く)の既存店売上高は、前年比で概ね増加基調にあり、リユース品の買取・販売は好調に推移しています。

「リサイクルショップ」は、SDGs(持続可能な開発目標)への意識の高まりや、循環型社会の実現を目指すうえでも、重要な役割を果たすと期待され、今後も注目されそうです。投資にあたっては、各社の競争状況や、月次の売上高などを確認していきたいですね。