2024年スタート! 新NISAのメリット・注意点

フロッギー版 お金で得するオタク会計士チャンネル/ 山田真哉

みなさんこんにちは! 公認会計士・税理士の山田真哉です。今回は2024年から始まる新NISAについて、しくみやメリット、注意点をお話ししていきたいと思います。現行のNISA制度から大きく変わるので、すでにNISAをやっている人も、やっていない人も要チェックです!

新NISAのしくみ・メリット

まずカンタンに、新NISAの概要をお話しします。新しいNISAには「成長投資枠」と「つみたてNISA枠」があります。どちらかの枠だけを使っても良いし、両方の枠を使って年間360万円まで投資することもできます。

また、現行のNISA口座を持っている人は、そのまま新NISAを使うことができます。さらに、投資で得られた売却益や配当金、分配金は無期限で非課税になります。本来は20.315%の税金がかかるので、これは大きいです。

成長投資枠では、上場株式や投資信託などを買うことができます(ただし、株式の中でもリスクが高い監理銘柄や整理銘柄、レバレッジの高い投資信託など一部対象外があります)。つみたてNISA枠では金融庁が認めた投資信託を買うことができます。つみたてNISA枠で買える投資信託は現時点で217本あって、現行のつみたてNISAと同じラインナップとなります。

なお、現行のNISAと新しいNISAは「新旧分離」といって別々に扱われます。このため、生涯で1800万円までという「非課税保有限度額(総枠)」は、2024年1月の段階では全員ゼロ(現行のNISAで保有している分はカウントしない)ということになります。

新NISAの活用方法は色々あります。たとえば、年間投資枠の360万円を5年間で使い切ると、360万円×5年間=1800万円となります。毎年180万円ずつ10年間、毎年90万円ずつ20年間……というふうに、みなさんの投資スタイルに合わせて活用することが可能です。

2023年のNISAはどうする?

新NISAは2024年1月から始まります。そこで、2023年は現行のNISAを使った方が良いのか迷う方もいるかもしれません。

現行のNISAは、一般NISAとつみたてNISA、ジュニアNISAの3つがあります。いずれも新NISAに比べると投資枠が少なく、保有期間も期限があります。ただ、新NISAは現行のNISAで投資した分と合算されないので、新NISAの「生涯で1800万円まで」という非課税保有限度額が物足りない方は、ぜひ2023年分のNISA枠も活用すると良いと思います

また新NISAでは未成年は買うことができないので、未成年の方は、現行のジュニアNISAを使うことをオススメします。ジュニアNISAは、2023年で終了することになっていますが、これに伴って2024年以降は、いつでも売却することができるという、これまでなかったメリットが発生しています。18歳未満のお子さんのいるご家庭は、検討しても良いと思います。

新NISAの注意点

とはいえ、新NISAはロールオーバー(非課税期間が終わった際に、翌年の新たな非課税枠に移すこと)ができない点には注意が必要です

僕の場合は、2018年に一般NISAで、「 FOOD&LIFE COMPANY 」と「 KADOKAWA 」の株を合計70万円くらいで買いました。2018年の購入分は2022年で非課税期間が切れてしまうんですが、それを2023年の枠に移すことができます。

ちなみに今、評価額は154万円になっていて、年間投資枠の120万円を超えているんですが、ロールオーバーをする時は無視してOKです。ただ、2023年の年間投資枠はロールオーバーで使い切ってしまうので、僕は2023年に一般NISAで追加の投資ができない、ということになります。

こんな感じで、これまではロールオーバーさえすれば、非課税のまま税金を払わずに移し替えることができたんですが、新NISAはこのロールオーバーができません。なので、2019年以降に一般NISAで買った分は、5年の間に売却するか、5年後に課税口座(一般口座や特定口座と言われる、税金が20.315%かかる口座)に移すしかないです。つみたてNISAも、20年の間に売却するか、20年後に課税口座に移すしかありません。

新NISAは非課税枠が再利用できる、は本当?

「現行のNISAは非課税枠の再利用ができないけど、新NISAでは再利用できる」と書いている記事があったりしますが、ちょっと注意が必要な部分なので、こちらも解説していきたいと思います。

たとえば、新NISAの成長投資枠を使って、40万円、50万円、150万円と3回に分けて商品を買ったとしましょう。これで年間投資枠の240万円を使い切っているわけですが、そのうち40万円を年内に売った場合、40万円分の投資枠が復活するかというと……復活しません。あくまでも、「年間投資枠」は買った金額でカウントして、1年の途中で売っても投資枠は復活しません。これが年間投資枠の再利用不可、という制度です。

再利用をOKにしてしまうと、短期売買、つまりデイトレードみたいなことができちゃいますよね。国としては、長期的に運用して資産形成に役立ててほしい、という思惑があって、再利用は不可になったと思われます。

じゃあ、何が再利用できるのかというと、新しくできた「非課税限度保有額(総枠)」が該当します。成長投資枠のみなら1200万円まで、つみたてNISA枠も含めたら合計で1800万円までと限度額が決まっていますが、限度額まで到達した場合に、売却して空きができたら買い直すことができますよ、ということです。

再利用できる枠は、売却時の価格ではなく、買ったときの取得対価(簿価)をベースに計算します。要は、買った後に利益が出ようが損が出ようが関係なく、買った時の金額をベースに計算しますよ、という制度になります。

あくまでも、新しくできた「非課税保有限度枠(総枠)」について再利用ができるという話で、「年間投資枠」が再利用できるわけではないので、ご注意ください

というわけで、今回は新NISAについてお話ししました。詳しくは、金融庁や国税庁のホームぺージをご確認ください。また、僕のYouTubeやツイッターをチェックしていただければ、今後の最新情報をお届けできると思います。実際にNISAをやったら、どれくらい儲かるか、という話については、僕の過去の記事や動画でも解説しているので、興味がある方はチェックしてみてください!

それでは、今回はこの辺で! ば~いば~い!

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