2022年の成績を発表! 株価上昇率TOP5の銘柄

ここが狙い目! 日興ストラテジー・セレクション/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

今の社会動向や投資環境をもとにホットな銘柄を選定している「日興ストラテジー・セレクション」。1月は、採用している15銘柄のうち、2022年の株価上昇率が高かった上位5銘柄をご紹介します。

2021年12月30日の終値から2022年12月21日の終値までの上昇率で計測しています。

脱炭素化や防衛事業で存在感を発揮!【三菱重工業】

2022年に最も株価が上昇したのは、「 三菱重工業 」でした! 2021年12月30日の終値は2659円、2022年12月21日の終値は5275円。上昇率は98.4%と、約2倍になりました。2022年2月7日に公表された2022年3月期第3四半期連結決算は、純利益が前年同期比15倍の500億円と好調でした。また、年間を通して脱炭素化や防衛関連など、時代に合った事業を展開していることも好感されました。同社は、プラント、原発、ガスタービン、航空・宇宙、インフラなど多様な事業を手がける総合重機メーカーです。カーボンニュートラル社会の実現といった成長領域への投資も進めており、新たな成長ドライバーと して期待されています。

最近は地政学リスクの高まりによって安全保障やエネルギー供給のニーズも高まっています。脱炭素化に加えて防衛関連としての一面を持つ同社にとって、業績および株価にプラスに働くと想定されます。

2023年3月期第2四半期(7−9月)決算発表時点では、インフレや景気減速懸念を理由に、会社側は通期利益計画を据え置きました。とはいえ、航空関連事業の回復基調は続く可能性が高いです。また、主力のGTCC(ガスタービン・コンバインドサイクル発電プラント)事業はアジア、米州、中東において新設案件を受注しており、新規商談が増加しています。2024年3月期の業績を織り込むタイミングに向けて、同社への注目度は高まりそうです。

ホテル事業の回復が光る!【共立メンテナンス】

2番目に株価が上昇したのは、「 共立メンテナンス 」でした。2021年12月30日の終値は4035円、2022年12月21日の終値は5680円。上昇率は40.8%でした。政府の観光需要喚起策やインバウンド需要が追い風となり、ホテル事業が力強く回復しました。

同社は、全国に500棟以上展開する「寮事業」と「ドーミーイン」ブランドのビジネスホテルを中心とする「ホテル事業」を主軸としています。近年は、ドーミーインブランドの和風プレミアムホテル「御宿 野乃」も展開し、軒数を増やしています。

10月のグループ売上高は、前年同期比30.6%増となりました。寮事業は10.3%増で、日本人学生の稼働室数が大幅に増加したことに加え、水際対策の緩和などにより、留学生が増加しました。ホテル事業では、客室単価がコロナ禍前の2019年同月水準を超えるまでに回復し、前年同期比 51.8%の増収となりました。

「海外事業」と「新規事業」でさらなる成長へ【日清食品HD】

株価上昇率3位は、「 日清食品HD 」でした。2021年12月30日の終値は8390円、2022年12月21日の終値は10520円。上昇率は25.4%でした。同社は2022年6月に国内即席めんを値上げしましたが、9月には出荷金額が前年超えとなり、ブランド力の高さを示しました。また、海外事業や新規事業が好調なことも好感されました。

同社は、「カップヌードル」などで知られる国内即席めんのトップシェア企業です。2021年5月に公表した「日清食品グループ中長期成長戦略」では、「海外事業」と「新規事業」の推進を掲げ、「食」の分野における新たなビジネスに積極的に取り組む姿勢を示しています

2023年3月期第2四半期(7−9月)の既存事業コア営業利益※は、前年同期比7.4%増となりました。米国の平均36%におよぶ戦略的な値上げが奏功し、大幅な収益好転の兆候が見え始めました。

※新規事業にかかる損益および非経常損益としての「その他収支」を、営業利益から控除した指標のこと

国内はコストアップに苦戦していますが、2022年5月30日に発売した「完全メシ」シリーズは発売以降4ヵ月で400万食を突破し、今期売上30億円に向けて良好なスタートを切りました。今後は顧客層を拡大し、事業の確立を図る方針です。

劇場版アニメが大ヒット!【東映アニメーション】

株価上昇率4位は、「 東映アニメーション 」でした。2021年12月30日の終値は1万1450円、2022年12月21日の終値は1万3070円。上昇率は14.1%でした。「ONE PIECE FILM RED」が興行収入180億円を超える大ヒットとなり、関連事業の相乗効果が見られました。また海外売上高比率が高い同社にとって、円安の進行も業績を押し上げるプラス要因となりました。

同社は、半世紀以上に渡って、第一線で様々なアニメーション作品を製作してきた企業です。「美少女戦士セーラームーン」「ドラゴンボール」「プリキュア」など、有名な作品を数多く製作しています。

2023年3月期第2四半期(7−9月)は、売上高 244億円(前年同期比47.3%増)、営業利益101億円(46.3%増)と大幅増収増益を達成しました。通期計画は上方修正され、売上高760億円(前期比33.3%増)、営業利益235億円(29.8%増)を見込んでいます。

人気漫画スラムダンクの新作映画「THE FIRST SLAM DUNK」は、公開2日間で興行収入が約13億円、観客動員数84.7万人と幸先の良いスタートを切りました。同社史上最高の興行収入を記録し、第2四半期決算の大幅増収に貢献した「ONE PIECE FILM RED」も引き続き興行収入を伸ばしています。2大ヒット作による業績押し上げに期待が高まります。

高速道路会社からの需要が拡大【ショーボンドHD】

上昇率5位は、「 ショーボンドHD 」です。2021年12月30日の終値は5170円、2022年12月21日の終値は5650円。上昇率は9.3%でした。高速道路会社からの需要の拡大などが要因と見られます。

同社は、橋梁をはじめとするインフラ構造物の補修・補強を専門とする「総合メンテナンス企業」であり、橋梁の補修工事では首位を誇ります。

高速道路会社からの大型工事の受注獲得に注力しており、2022年6月期の工事売上高に占める高速道路会社の比率は60%、受注では72%程度となっています。NEXCO東日本・中日本・西日本等の高速道路会社は2030年度にかけて4兆~5兆円規模の「大規模更新・修繕事業(リニューアルプロジェクト)」に取り組んでおり、長期的な継続発注が期待されます。

2023年6月期第1四半期(7−9月)は売上高が前年同期比3.3%減、経常利益は4.6%減と減収減益となりました。受注高は、四半期として過去最高を記録した2022年6月期第1四半期からは37.0%減少しましたが、受注残高は引き続き高水準を維持しています。

内閣官房は、「国土強靱化基本計画」の変更に向けて議論を進めており、2023年の夏ごろに次期基本計画の閣議決定を目指しています。政府は継続的にインフラ整備への取り組みを進める方針であり、中長期的に同社の事業環境へ追い風が続くでしょう。

2022年は脱酸素化や防衛、観光、アニメなど、世の中のトレンドを反映した銘柄が上昇する傾向が見られました。ぜひ、2023年の銘柄選びの参考にしてみてくださいね。

2023年1月号では、テルモ、クボタ、ダイフクが除外となりました。テルモは、 材料費、物流費、労務費、電力ガスなどのコスト増が想定以上であることや、今期に立ち上げた原料血漿採取ビジネスなどの株価押し上げ材料が顕在化するには時間を要すると判断しました。 クボタは、米国での住宅投資が減速していることによる小型トラクタ需要の低迷や、国内での鉄鋼など資材価格の上昇リスク、スマート農業の普及に想定以上の時間を要することを考慮しました。 ダイフクは、資材価格や北米での人件費上昇や半導体業界の減速、世界的な景気減速によって設備投資意欲が減退するリスクを考慮しました。