貯金するだけではお金が貯まらない時代に読みたいマネー教育の本。お金の使い方からゲーム課金、株投資の話まで親子で一緒に学べる一冊です。
お父さん必読! 児童向けマネーリテラシーの本
タイトルを見てネットで購入する人のためにお断りしておきますと、本文全てがマンガというわけではありません。各テーマの導入部分をマンガで見せ、詳細をコラム(総ルビです!)で読ませる。とはいえ、著者の優しい語り口と絶妙なたとえ話は小学生でも引き込まれやすい構成のはず。むしろ「経済の文章も読める子になってほしい」お父さん、お母さんには願ったり叶ったりかもしれません。
本書で扱うのは「お小遣いの話」「お金を稼ぐための仕事の話」「税金の話」「子ども投資の話」など多岐に渡ります。興味深いのが、子ども向けの本にありがちな「無駄遣いはやめよう」「貯金しよう」だけに終始するのではないあたり。今の世相を映し出しているともいえるでしょう。
「貯金は大事、けれど、みんなが貯金するとどうなるのか?」ーー著者は子どものおままごとを例に解説します。お店屋さんごっこをしていた姉妹が、ある日、その世界の中で「貯金」ごっこを始めます。姉が「貯金」をすると妹も真似をしてまた「貯金」、そうこうするうちに買い物に回すお金は減り、やがて、お店屋さんごっこは成立しなくなってしまったーー。現実社会の問題を見事に描写しています。「お金を使わないと経済は収束する」「お金が動くほど経済は成長する」の展開は腑に落ちやすいものでもありました。
著者いわく金融教育の教室を始めた数年前は「子どもにお金の話なんて!」とネガティブな反応が多かったそう。逆にいえば、この短期間で日本でもお金の話をタブー視することから、お金について語ることが常識になってきたということ。「お金に振り回されない人生を生きてほしい」という願いから生まれた本書は児童向けとはいえ、一読の価値ありです。「お金ってどこで作られるの?」「たくさん作ればいいんじゃないの?」といった素朴な問いにも答えられる大人になれそうです。