子どもファーストで需要拡大 「子育て支援」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「子育て支援」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は11.5%と、急速な円高・ドル安などへの警戒感から下落した東証株価指数(TOPIX、1.0%下落)に対して逆行高となりました(1月6日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

岸田首相、子ども予算の倍増を示唆

昨年末12月26日、岸田首相は記者会見で「子ども政策の予算を将来的に倍増していく道筋を明らかにしていきたい」との意欲を示しました。続いて年明け1月4日の年頭会見でも「異次元の少子化対策に挑戦する」と表明し、児童手当を中心とした経済的支援や幼児教育、保育サービスの強化を進める方針を掲げました。

年頭会見では小池百合子都知事も、「『チルドレンファースト』の社会の実現に向けさらなる取り組みを進めている」と強調。具体策として「0〜18歳の子どもに対して、月5000円程度を念頭に給付を行う」ことを挙げています。

今年4月には、子ども家庭庁の発足が予定されるなか、国や自治体が子育て支援の強化を相次いで打ち出しました。こうした動きを受け、関連サービスの需要が拡大するとの期待から子育て支援関連銘柄が物色されています。

放課後施設や保育園を受託運営【SERIOホールディングス】

上昇率首位の「 SERIOホールディングス 」は、保育園や放課後施設の受託運営、人材派遣など総合人材サービスを展開しています。

就労支援事業の「sacaso(サカソ)派遣」では、短時間勤務や週2、3日の勤務など子育て中の家庭を中心に労働市場への参加を促進するサービスを手掛けています。このsacaso派遣は、2022年に、一般社団法人日本子育て支援協会が選定する「日本子育て支援大賞2022」を受賞しました。

東京を中心に認可保育所など運営【Kids Smile Holdings】

上昇率2位の「 Kids Smile Holdings(キッズスマイルホールディングス) 」は自治体の認可を得て運営する認可保育所事業、入園前の児童も受け入れる「プレスクール一体型保育施設」、スイミングスクールなどの民間教育サービス事業を展開しています。

2023年4月には新たなプレミアム教育サービスとして、英語と日本語のバイリンガル教育を提供する「キッズガーデン グローバルスクール錦糸町」を開園する予定です。全国展開を見据えてリーズナブルな価格に設定し、保育園の機能に英語教育と習い事をプラスできるのが特徴です。

少子化対策、子育て支援は国策 息長い投資テーマ

そのほか、「 ベビーカレンダー 」は、妊娠・出産に関するサイト「ベビーカレンダー」の運営や産婦人科向けサービス「ベビーパッドシリーズ」を提供。「 テノ.ホールディングス 」は、認可保育所やベビーシッターサービスを運営。「 すららネット 」は、小学校低学年から高校生の子どもたちが国語・数学・英語の3教科をインターネット経由で学べる「対話型アニメーション教材」などを展開。これらの銘柄も買われています。

年頭会見では、岸田首相、小池都知事ともに、2022年の出生数が初めて80万人を割った可能性があることを踏まえ、出生数の減少加速に危機感を示しました。まさに、少子化対策、子育て支援は、日本の成長基盤を作る国策といえるでしょう。関連事業には、予算が積極的に配分され、新たなビジネスも展開されそうです。投資テーマとしても目が離せません

※SERIOホールディングス(6567)は、記事執筆時点で金融商品取引所の日々公表銘柄(東京)に指定されています。