【ラウンドワン/対談編】クレーンゲームに注力する理由

御社の決算、教えてください!/ 妄想する決算

音声プラットフォームvoicyの決算10分解説で人気の「妄想する決算」さんが、企業を分析、対談する動画「御社の決算、教えてください!」。今回は、後半の株式会社ラウンドワンの杉野社長への突撃取材を書き起こしで公開します。

一時的なブームじゃない?

妄想:今日はよろしくお願いします。妄想する決算と申します。
決算を見ていて感じた疑問点をぶつけさせていただきます。早速ですが、御社は日本国内でいうとアミューズメント施設でクレーンゲームに大きく投資していると思います。

その一方で景品コストが大きく増加しています。実際のクレーンゲームの収益性がどうなっているのかお聞きしてもよろしいでしょうか?

杉野社長:収益性といっても、クレーンゲームの場合は粗利でいうと大体70%が粗利の商売ですから売上が100円伸びれば70円分が粗利として上がりますので、収益性はずっと変わらないってことですね。売上が伸びる分だけそれだけ絶対値が上がっている。

妄想:初期投資も大きいですし回転率が重要なビジネスだと思いますので、クレーンゲームへの投資は長期で回収するのかなと思います。長期的なクレーンゲームの見通しや、ブームは一時的なものじゃないのか? など、どのようにお考えでしょうか。

杉野社長:我々が国内においてクレーンスタジアム化に時間をかけて投資をしていくことについては、一時的なブームであるという認識に基づくものではありません。

過去においてはくまのプーさんやスティッチ、ワンピースあるいは、直近でいけば鬼滅の刃。アニメや映画でヒットして、それをメーカーさんが商品にして、さらにそれをクレーンゲームに投入し、そのファンや、番組・映画を見られたお客様が、グッズを取りにくる。最終的には1〜2年だけ流行って廃れていくっていうのが過去のクレーンゲームのいわゆる流行り廃りでした。

直近はそういう形ではなくなって、NetflixやAmazonプライムなどで、いつでもいろんなアニメが見られます。地上波でオンエアされたり、映画が封切られない限り新しいファン層ができてヒットしないという世界ではなくなっている。

常に一定レベルのたくさんのアニメファンがいて、そのキャラクターのファンがいる。それを当て込んでメーカーさんがいろんな商品を作られて、その一部が我々のアーケード業界に流れてくる。そういった商品がクレーンゲームの方に投入できる関係が整ったんですね。

ですので、以前のように10台あれば10台全てワンピースが入るということではなく、今は100台あれば100種類のキャラクターが存在すると。非常にバリエーションが豊富になったということがまず一点。

もう一つ、決定的なのはですね、家にぬいぐるみが溢れてくると、もうやめようという意識だとか、お父さんお母さんがやめなさいっていう動きになるんですね。ただ、今はメルカリなどでそれを売却することができます。また一方で、YouTuberの人たちがこぞって「うまく(景品を)取れるよ」といった取り方の番組をどんどん配信しています。すごい番組ですと、2000万3000万再生されるようなことがある。

これらによって新たな顧客層がどんどん開発されて、YouTubeを見たお客様が「簡単に取れる」ということで、お店に来られたりーーそういった一連の中で今クレーンゲームが人気を博しているというベースがありますから。長期的に見ても、ある程度これは続くであろうと見ています。

もう一つがGAFAですよね。将来、GAFAがとんでもないR&Dの開発をかけてすごいゲームを出していって、我々ゲームセンターにあるような今のゲームが全て駆逐される恐れも当然あるわけですね。

GAFA:アメリカの巨大IT企業Google Apple Facebook(現Meta)Amazon4社の頭文字をとって作られた言葉
R&D:研究開発を意味し、技術によって新しいビジネスを生み出す取り組み

ただ彼らがやってこられないだろうという可能性があるとすると、最右翼にあるのがクレーンゲームだろうと。ですから今我々がやっているクレーンゲームが一時的に流行っているから投資をしているわけじゃないですね。

景品は自社開発する?

妄想:長期的に続くと考えたときに、例えば一番データが取れているのはラウンドワンじゃないですか。自分のところで景品開発することは考えてらっしゃいますか?

杉野社長:その可能性は十分に考えられると思います。一つのきっかけとして昨年度上場会社でエスケイジャパンさんという、ぬいぐるみを専門とされているメーカーさんに資本参加をさせていただきました。将来的にはもっとそのバリエーションを豊富に持っていきたい。

国内メーカーはしのぎを削っていろんなメーカーさんがたくさんの種類を作っていらっしゃる。これは問題ないんですけども、将来、北米で展開するうえでは、日本のキャラクターがどうしても大事になります。ですから安定的に北米に供給されるように、我々が何らかの形で関与していくというのはあるかもしれませんね。

北米進出が好調な理由は?

妄想:そうすると、アメリカでもクレーンゲームのブームが起きるという見通しを立てていらっしゃる?

杉野社長:可能性は十分あると思います。

妄想:続いて、積極的に進出しているアメリカについてもお話を聞いていきます。アメリカでは、競合環境はどういう形になっているのでしょうか。

杉野社長:北米においては古くから、40〜50年前からボーリング場の中に小さいゲームセンターがあって、その一角に20〜30台のゲームマシンが置かれている、これが主流でした。そして、そのボーリング場が今もそのまま残っている。我々はそういったゲームセンターをライバルとしては全く認識していません。今は「Dave & Buster’s」が唯一ライバルと言えるライバルで、Dave & Buster’sのグループvs我々という形で今の北米市場を見ております。

妄想:競合は1社?

杉野社長:そうです。

為替の影響は?

妄想:アメリカへの投資では、最近、為替の変動が非常に大きいと思いますが、その辺りはどのように考えてらっしゃるのでしょうか。

杉野社長:今から12〜13年前に1号店を作るときが、いわゆる円高、超円高だったんですね。1ドル100円を切る時代だった。

我々が安定的に作り出したのは、ちょうど今から6〜7年前あたりですね。ちょうどその頃は110円前後。今は特にこの数ヵ月間で150円にタッチしたり、現状でも140円です。あくまでも日本からお金を持っていくことを「投資」として見るならば、円高の良い時期に投資をしたっていうことですね。

今は我々から北米の方にお金は一切送っていません。もうキャッシュフローで回っていますし、向こう(北米)のお金ですから。会計上では、我々は上場企業として日本に法人格を置いているわけで、当然それは決算として一旦円に戻すルールになりますから、利益としては円安の方がいいに決まっていますね。

今後の投資先は?

妄想:国内の投資先などはどのように考えていますか?

杉野社長:仮に、日本が今伸びゆく国であれば、おそらく北米に進出する時期ももうちょっと遅かったかもしれませんね。ところが日本は現在、大学生が120万人、赤ん坊が80万、もう確実に人口は減るに決まっているわけです。

そういった中で、じゃあどこへ設備投資をする方がいいのか。日本よりも遥かに1人当たりのGDP、いわゆる所得が高い国で、もっと言うと日本のいわゆる労働人口(の平均年齢)よりもかなり低いところ、絶対人口が多いところ、この三つの要件を揃えている所ってどこかというと、北米しかないんです。

ですから、日本一国でやること自体がいわゆるリスクですよねってなったときに、北米と(国内)をフィフティ・フィフティに持っていこうと。そういった意思決定を12〜13年前に行った。結果論ですけれども、今期はおそらく見通しとしては北米が日本を凌駕するだろうということですね。

妄想:今まで出店してきたところがアメリカ、中国、ロシアということで、そもそも人口の多いところに出店していると思うのですが、次も人口の多い国を考えているのでしょうか?

杉野社長:そうです。ただ様々な国がある中で全てが候補に挙がるわけではありません。人口が多い国はあれど、どれも一長一短で「人口が多い。だけど……」ということがある。

全体的に見たときに、例えばスイスやオーストリアなど一つの国として考えると難しいけれども、「ユーロ圏」という観点で見ると十分に可能性はあると思いますね

地域文化にあわせた出店方法がカギ

妄想:海外の店舗は、日本と同じフォーマットで各国の出店をしているのですか?

杉野社長:ベースは同じですが、少しずつ違うところがあります。例えばアメリカで言えば、一つは飲食を主体に置いています。食べながらという「ながら文化」があるからです。

日本の場合は、うちで遊んだ後に食べに行く、もしくは食べた後でラウンドワンなどで遊ぶのどっちかを選ぶわけですけど、北米の場合は一軒主義なんですね。二軒、三軒と行かず、一軒のラウンドワンで飲み食いしながら、ゲームをしてボーリングしてーーというスタイルなので、そういった施設にしています。

中国については、まだ日本と同じようなレベルで作っております。

妄想:飲食という面でいうと、北米の飲食の売上は若干減少していると思うんですが、それはまだコロナの影響が続いているのでしょうか?

杉野社長:(コロナの影響は)少し残っているとは思いますね。ただ我々はそもそも飲食の売上は、さほど大きくなかったので、わかりづらいです。が、ライバル社のいわゆる決算レポートなどを見ると、若干その部分ではつらいですね。

妄想:アルコールなどの(売上の)戻りが遅いということですか?

杉野社長:アルコールというよりも、飲食全般的っていうことでしょうね。

クレーンゲームの相乗効果はある?

妄想:あとは今クレーンゲームがすごく伸びていると思います。クレーンゲームで集客をした後にボーリングをしてもらったり、相乗効果を期待できると思いますが、実感している部分はありますか?

杉野社長:今クレーンゲームで遊ぶ一番多い(顧客)層は、お子さんがまだ小学校に行っていない、未就学児、2歳から5歳のお子様をお持ちの、いわゆる若いご夫婦の方や、奥様。そういった方が子どもを連れられて一緒にクレーンゲームを楽しまれている。

妄想:子連れが増えているというのは、長期的に考えると継続的にラウンドワンに通ってもらうという意味では結構プラスになる?

杉野社長:将来的には間違いなくプラスだと思います。小学校の1年生ぐらいまではいわゆるキッズパークと呼ばれるようなショッピングセンター内の施設で遊ばれて、2年生から3年生になると「ラウンドワンに行きたい」とお子さんが指名する、と言われますね。それは、中学生や高校生大学生のお兄ちゃんお姉ちゃんがやっているところで「自分たちも」という、“背伸びの意識”ですよね。

そういったものは当然どの世代にもあるわけです。同じように、今の小学生の低学年の方達も思っている。さらにそれ以前の3歳4歳5歳の子どもたちが既にここ(ラウンドワン)へ来る習慣づけがされているのは、非常に良いことだと思いますね。

妄想する決算の総括

実際に杉野さんと話をして改めて分かったことは、クレーンゲームは粗利が7割ぐらいで、長期的な需要というのを見込んでいるという点が、非常に面白いということです。

クレーンゲームを通じて、実際に子連れで来て、そのお子さんが成長して、また新しくラウンドワンの顧客になってくれるというような循環を描いているっていうのも、面白いところだと思いました。

国内でいうと投資を減らしていくという見通しを立てているということで、日本では今後、どちらかというと収益性の改善という感じで、大きな成長というのは難しいのかなというふうにも思います。

あとはアメリカでいうと、もう既に自走できる状態というか、アメリカで稼いだキャッシュでそのまま投資できているという状況のようですから、アメリカの出店はどんどん進めていくのかなと思いますし、期待できるのではないでしょうか。

為替に関しては、あまり関係ないよということですから、為替の影響で決算上の利益が増減することはもちろんあると思いますが、実質的な投資という部分はあまり関係なくなっているというところは参考になりました。

妄想する決算総括/気づき

Q.クレーンゲームは一時的なブーム!?
A.長期的な需要を見込んでいる
理由① アニメキャラクターのバリエーションが豊富
理由② 家に増えすぎてもメルカリで売却
理由③ YouTuberによる配信で顧客層拡大
Q.今後の注目ポイント
A.北米での市場拡大
理由① 日本より1人当たりGDPが高く、生産労働年齢が低く、絶対人口が多いのは北米だけ
理由② 競合は1社 Dave &Buster’s vs ラウンドワン
理由③ 為替の変動による出店・投資計画等の変更はない

「妄想する決算」さんの詳しい解説から対談まで見られる動画はこちらから!

杉野公彦さんプロフィール
株式会社ラウンドワン 代表取締役社長
1961年9月、大阪府生まれ。桃山学院大学在学中に父親から営業赤字のローラースケート場を引き継ぎ、現在の経営の元となる複合形態の店舗へ改装し、ラウンドワンとして営業を開始。その後国内で出店を拡大し、1997年8月、大証二部へ上場。1999年9月には、東証一部へ上場を果たす。2010年8月には海外1号店としてアメリカ・ロサンゼルスでも出店。座右の銘は「自然体」。
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