【ツクルバ/対談編】成長とコストコントロールを目指す!

御社の決算、教えてください!/ 妄想する決算

音声プラットフォームVoicyの決算10分解説で人気の「妄想する決算」さんが、企業を分析、対談する動画連載「御社の決算、教えてください!」。今回は、株式会社ツクルバの財務・IR室の松田室長への突撃取材を書き起こしで公開します。

テイクレート下方修正の理由

妄想:今回の決算で一番気になったのはKPIであるテイクレートが、以前と比べて下落トレンドになっている点です。また、今回見通しも下方修正した要因についてお聞かせいただけますか?

KPI:Key Performance Indicatorの略。重要業績評価指標
テイクレート:受託販売手数料、取引手数料の割合のこと

松田さん:原因としては、2020年7月期と2021年7月期の二つがぐっと下がったことです。要因については、やはりコロナの影響が大きかったと思っています。

我々が上場した直後にコロナ禍が始まった状況で、営業人員をその時点で拡大することが難しいという判断をしました。このためcowcamoに集まってくる反響数(お問い合わせ)に対して営業人員が少ない状態でした。そこで、cowcamoへの反響を外部の提携エージェントに送客したことが大きな要因です。

もう一つ、テイクレートの見直し部分についてお話しします。2022年12月段階でcowcamoの会員数は約40万人います。実はcowcamoは立ち上げ時から、売主サイドだけでなく買主さんのサイドも力を入れています。今後は売主さんサイドを事業拡大していくフェーズに入っています。

昨年から今期にかけて売主サイドのGMVは90%伸びています。その中で取引件数ベースは40%伸びていますが、この売主さんサイドで取った仲介が全てcowcamoの買主さんサイドに行っているかというと、現状そうではありません。

GMV:Gross Merchandise Valueの略。そのプラットフォームで消費者が購入した商品の売上の合計額、流通取引総額のこと

例えば、高額の物件の仲介をいただいた場合、cowcamoのプラットフォームに載せるより、素早くさばけるような媒介があればそちらで売ります。また、我々は中古・築古のリノベーションマンションが得意ですので、そうでない物件の場合は他の媒体を使ってスピーディーに販売することを重視しています。

その結果として「片手取引」と言われる、どちらかの仲介料しか取ってない比率が少し増えています。そこを考えた上で、テイクレートの成長性の見直しを行った背景があります。

その結果、GMVは拡大できると考えています。そのため、財務KPIとして重視している売上総利益の成長性については全く変更ありません。

テイクレート改善施策について

妄想:扱う物件の種類や対象を増やして、両手仲介(不動産の売手・買手を両方仲介すること)の部分を増やしていく戦略を取ることは考えていますか?

松田さん:そうですね。中長期的には売主さんサイドでいただいた仲介を、買主さんサイドの仲介と両方で取ることは、cowcamoの中長期的な戦略であります。ただ、双方のバランスを見ていると、まだ買主さんサイドの方が大きいです。

売主さんサイドと買主さんサイドの両方が徐々に大きくなる過程の中で、両手仲介の比率を上げていけると考えていて、中長期的に両手(仲介)を増やしていきます。ただ、まずは両方のボリュームをしっかり上げるところを重視して、GMVを成長することに我々はフォーカスしています

妄想:今後のテイクレート改善施策として、両手仲介者を増やす以外で具体的にどの様な取り組みがありますか?

松田さん:中長期的なテイクレートの「構造的な改善」と我々は呼んでいます。

一つ目はリノベーションをパッケージで提供することやフルリノベーションでゼロから作るようなお手伝いをするコンサルティングサービス。

二つ目は「購入付帯サービス」で、インテリアや保証サービスなど、付加価値やサービス領域を広げています。

三つ目が、「自社企画商品」と呼ばれる自社企画商品です。
種類が二つあり、一つは我々自身が物件を購入してリノベーションをかけて売る、という利益率が非常に高いビジネスになります。もう一つは、他の再販事業者さんとタイアップして、再販事業者さんがお持ちの物件に対して我々がリノベーションサポートをします。その後、ツクルバがいったん再販業者から物件を買って消費者に売る、あるいは再販事業者と消費者をツクルバが仲介して、仲介手数料をいただくというものです。

これらの大きく三つの政策をやることで、少しずつテイクレートを上げていきたいと考えています。

成長とコストコントロール

妄想:コストコントロールを進めることで、今後の成長に影響はありますか?

松田さん:基本的にはコストを削減することだけではなく、トップライン(編集部註:売上高)をしっかり成長させながらコストの増加幅を抑えることが、我々の考えているコストコントロールです。

ツクルバはベンチャー企業です。成長していくことで社会に対する貢献度を上げることが一番重要だと思っています。そのため、トップラインをしっかり成長させるという目標は全く取り下げていません。

しかし、持続的な成長をするためには、やはりコストコントロールは重要だと思っていますので、必要な成長投資は続けながらもコストをいかにコントロールできるか、我々としてはチャレンジしている状況です。

妄想:営業の人員数を見ると、今期は直近の四半期で増加に転じています。これまでは緩やかに減少していましたが、これはコストコントロールとは無関係の要因で減少したのでしょうか?

松田さん:営業人員の部分は、前期2022年7月期の第4四半期まで少し人数が下がっています。これは人員の配置が要因です。具体的には、営業メンバーをマネージャーに昇格させたことで、営業人員としてのヘッドカウント(編集部註:頭数)から外しています。また、ちょうど期が変わるタイミングですので、人員の配置変更の影響が要因となっています。

今期10月末は、営業人員の稼働は増えています。昨年の上期までにプラットフォームを支える人材と管理系の人材をしっかり採用できていると考えています。土台を作る人間は既に我々メンバーのようにおりますので、今後は土台をベースに成長を引っ張ってくれる営業人員を増加させていく形で考えています。

緩やかな見込み客の育成

妄想:cowcamoの話に戻りますが、私自身けっこう不動産のサイト見るのが好きです。御社ではサイトを見て楽しむだけのユーザーはどのぐらいの割合でいらっしゃる認識ですか?

松田さん:そうですね。かなりの数のユーザーさんが、いわゆる”見て楽しんでいただいているだけ”のユーザーさんかと思っています。

しかし、我々のようなウェブ上でメディアを持っているところの強みとしては、購買意欲がまだ低い方にcowcamoのことを知っていただく。そして早い段階から物件を見ていろいろ妄想していただいて、「こういう物件に住みたいな」「いつか買ってみたいな」という、緩やかなリードナーチャリング(見込み客の育成)ができることが、我々の強みと思っています

リードナーチャリングをした潜在顧客の方が、のちのちのタイミングで「買いたい」となった時に、我々のエージェント不動産営業の人間が一緒に楽しんで、オンラインやオフラインでいろいろお手伝いをさせていただけることが、我々の強みだと考えています。

大きな高い買い物であるがゆえに、そこが楽しくなると自身の人生もより充実

妄想:「ウルカモ」についてお聞きします。今期の決算発表では情報が開示されなかったのですが、どのように成長しているのでしょうか?

松田さん:「ウルカモ」につきましては、12月でサービス提供開始から約9ヵ月が経ちました。会員登録としては大体3000名を超えて、登録の累計の投稿件数は250件を超えています。

ただ、「ウルカモ」は新しいサービスですので、マーケットに出してトライアンドエラーで改善させながら、お客様により使っていただくサービスを目指しています。今はまだトライアル状況で、サービス開発期という位置付けです。

そのため、業績に対するインパクトという意味ではまだ微小です。将来的に機能改善をして、お客様に選んでいただけるサービスになるよう、やっていきたいと考えています。

妄想:「ウルカモ」などを通じて不動産の流動性を上げていくというのは、取引を増やす意味でも非常に重要になってくると思います。不動産の流動性について、今後の見通しをどのように立てていますか?

松田さん:そうですね。我々としても物件を1回買って終わりではなく、ライフタイムの変化によって”自分が住みたい住まいに住める”ように変えていくのが、お客様1人1人の人生の楽しみを増やすことにもつながる、と思っています。

実際、弊社の社員でも既に物件を3回売ったり買ったりしている人間がいます。非常に楽しみながら物件の売買をやっているんですよ。

一般的に、不動産を購入する際には非常に重い決断をする必要があると考える方もいらっしゃいます。しかし、人生の中で大きな買い物であるがゆえに、そこが楽しくなると自身の人生もより充実したものになると思います。我々エージェントやcowcamoのプラットフォームを通じて、うまく買い替えを促していく啓蒙活動を今後さらに注力していきたいと考えています。

妄想:cowcamoのサービスを通じて何度か売買される物件について、リセールバリュー(編集部註:再販価値)はちゃんと付くのでしょうか?

松田さん:リセールバリューについては、問題ないと思っています。cowcamoで取り扱う物件の多くが、築30年以上の物件です。一般的にいうと、築30年超となると、業者の中では買いづらい物件が出てきます。

しかし、物件自体の管理がしっかりと行き届いていれば、30年経っていてもリノベーションをかけることで、新築同様の住みたい暮らしができると思います。

妄想する決算の総括

松田さんとお話しして実際にわかったとこわかったことは、テイクレートの下落に関しては構想的な要因が大きいということです。これは、売主の需要が増えたことで、「片手仲介」が増えていることが要因だとわかりました。

また今はテイクレートよりもGMVを伸ばしていくことに注力していることから、取引が今後も増えていく点に着目していくのが良いと思います。
長期的には販売できる不動産の種類を増やしながら両手仲介を増やし、構造的にテイクレートを改善できるか注目だと思います。

次に、GMVの増加については、間接部門の人員を既に確保できているということで、今後は営業人員を確保して業績を伸ばしていく方針です。トップラインを成長しつつコストの増加幅を抑制が進んでいくか注目です。

妄想する決算総括/気づき

Q.テイクレートの下方修正の理由は?
A.GMVを伸ばす事に注力している
ポイント①売主案件が増えたことによる「片手仲介」の増加
ポイント②長期的には販売できる不動産の種類を増やし、両手仲介を増やす
Q.今後の注目ポイント
A.GMVを成長させながらコストコントロールができるか
ポイント①トップラインを成長しつつコストの増加幅を抑制
ポイント②営業人員の確保

「妄想する決算」さんの詳しい解説から対談まで見られる動画はこちらから!

松田健吾さんプロフィール
経営統括本部 財務・IR室 室長
京都大学経済学部卒業。SAPジャパン株式会社、野村證券株式会社を経て2021年11月ツクルバに参画。野村證券在籍時は一貫して投資銀行部門に所属。上場企業の法人営業担当を主に担当し、資金調達、M&Aアドバイザリー、上場・市場変更コンサル、株式報酬制度導入支援等の幅広いサポートを10年以上行う。趣味は学生時代からやっているバスケとダイエットをきっかけにはまったランニング(フルマラソンベスト2時間49分)。
ツクルバ