マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は、1月23日より召集されている通常国会で注目されそうな子育て支援策や回復の兆しを見せるインバウンドなど、国策に関連する銘柄ついて解説します!
2022年12月に日銀がサプライズ的な金融緩和策の修正を発表したことで、さらなる政策の修正が意識されている日本株市場。不透明感がくすぶる環境下では、中長期目線でテーマ性のある銘柄に投資する戦略も有効です。「国策に売りなし」という相場格言の通り、国策によって追い風を受けそうな銘柄の動きはチェックしておくと良いかもしれません。
大発会は2年ぶりに下落の幕開けに
1月31日の日経平均株価は2万7327円となり、前月末比1232円高でした。大発会の日経平均は、前年末比377円安と2年ぶりの下落スタート。ドル円が一時130円を割り込み円高が進んだことや、米国の金融引き締め長期化による景気悪化が懸念されたことなどが下落の背景となりました。
その後、17日~18日に行われた日銀の金融政策決定会合では、現行の金融政策が維持されました。これによりドル円は131円台半ばまで円安が進行。日本株市場ではグロース株を中心にほぼ全面高の展開となりました。
追加の政策修正がなかったことは、ひとまずポジティブであるものの、2月上旬には日銀新総裁人事案の国会提出や、新総裁候補に対する所信聴取などが想定されています。金融政策に関する思惑は、引き続き高まりやすい状況が続きそうです。
子育て支援やインバウンドなど、国策関連銘柄に注目
1月23日からは通常国会が召集され、岸田首相は防衛力の抜本的な強化や、GX(グリーン・トランスフォーメーション)への挑戦、少子化対策に取り組む考えなどを示しました。少子化対策、子育て支援に関しては、東京都の小池都知事も18歳以下の都民に1人あたり月5000円程度の給付を始める方針を示しており、保育所運営やシッター派遣サービスなど、政策の恩恵を受けるとみられる銘柄に注目が集まっています。
また脱炭素社会の実現に向けて、政府は2022年12月にGXに関する基本方針をとりまとめました。この方針では、150兆円の官民投資のうち、国がGX経済移行債(仮称)で20兆円規模を調達・支出し、民間投資の呼び水にするとしています。関連銘柄は、エネルギー業界にテクノロジーサービスを提供する「 ENECHANGE 」や、水素や地熱などの次世代エネルギーやごみ処理施設を手がける「 荏原製作所 」などが挙げられます。
さらに、11月に続いて12月の訪日外客数が大幅に増加したことや「全国旅行支援」の実施により、百貨店や空運などインバウンド関連の株も上昇しています。足元では、直近1ドル=150円台にまで進んだ為替が1割以上円高に転じていることなどから、海外旅行などアウトバウンド(出国)の需要回復にも期待が高まっています。
国策に関わる銘柄は多岐にわたりますが、中長期的な目線で注目したいですね。