〆切まで1ヶ月! 令和4年分確定申告の変更点を総まとめ

フロッギー版 お金で得するオタク会計士チャンネル/ 山田真哉

みなさんこんにちは! 公認会計士・税理士の山田真哉です。今回は、まもなく始まる令和4年分の確定申告について、ざっくりと流れや変更点をお話ししていきたいと思います。今回分から新たに変わった点がいくつかありますので、確定申告をする方は、ぜひ確認していただければと思います。

確定申告の流れ

まず、令和4年分(2022年1月~2022年12月分)の確定申告は、2023年2月16日(木)~2023年3月15日(水)までに行う必要があります。基本的に3月15日までなら何度出し直してもOKで、一番最後に提出したものが採用されます。

会社員の場合は、会社から毎月お給料をもらう際、源泉徴収としてお給料から先に税金が引かれて税務署に収められています。そして12月に年末調整が行われると、いくらか税金が戻ってきたりします。8割くらいの会社員の方は年末調整だけで済みますが、年末調整ではカバーしきれない分(医療費控除や寄付金控除など)がある方は、確定申告が必要です。

確定申告をするときは、会社からもらった源泉徴収票を添付したり、書き写したりして、みなさんがお住まいの税務署に所得税の確定申告をします。そうすると還付金が戻ってきます。これが一連の流れです。

フリーランスの方は取引先の会社から収入がありますが、源泉徴収を引かれている場合、確定申告をすれば還付金が発生します。源泉徴収されずに所得が発生している場合は納税することになると思います。会社員と異なる点としては、確定申告書に追加して、白色申告の場合は収支内訳書、青色申告の場合は青色申告決算書も同時に添付して提出する必要があります。

なお、税務署からみなさんがお住まいの市区町村に税金のデータが移行されると、市区町村で計算して住民税が決定されます。そして6月から新たに1年分の住民税がスタートします。昨年の所得をもとに今年の住民税が決まるので、住民税はよく1年遅れと言われますが、遅れる理由は、確定申告から住民税決定までにタイムラグが生じるからなんですね。

確定申告をする場所は、全国に用意されている確定申告会場になります。最近は入場整理券がないと入れません。なので、事前にLINEで入場整理券を取得したり、会場で当日配布される入場券を入手する必要があります。

他にも、確定申告書をネットや税務署で入手して郵送という手段や、それから昨今、国税庁が激推ししているe-Taxという手段もあります。e-Taxで確定申告書を作って印刷して、税務署へ持って行ったり、郵送したりしても良いですし、また電子申告という手段もあります。電子申告の場合はマイナンバーカードを使って、パソコンにカードリーダーをセットして申告するか、スマホを使って提出する方法になります。

令和4年分の変更点

では、令和4年分の変更点について見ていきましょう。主な変更点は3つあります。

・確定申告書Aの廃止
・第五表の廃止
・「公金受取口座」の登録or利用欄の追加

これまで会社員や年金生活者の場合と、それ以外の個人事業主の場合で確定申告のやり方が違うため、申告の書類がA、Bに分かれていました。それが今回、確定申告書Aの方が廃止されます。つまり全部、確定申告書Bと同じような様式に変わります。なので、これまで確定申告書Aで記入していた方にとっては、一気に欄が増えます。ただ税金の計算は、これまでとほぼ変わらないので、その点はご安心ください。

ちなみに確定申告書Aが廃止されてBだけになるのは、紙の確定申告の場合だけです。e-Taxの場合は、もともとA、Bという分類がほぼ無かったので、あまり影響しません。これは、つまり紙の時代はもう終わりですよ、e-Taxの方に合わせて行きますよ、という前触れでもあります。もしかしたら、10年後の確定申告には紙なんて存在しないかもしれませんね。

確定申告書には、税金の計算が全部書かれている第一表と、所得の内訳(会社ごとの収入額や、社会保険料、生命保険料の金額、扶養家族の名前やマイナンバーや生年月日、住民税の情報など)を書く第二表。そして分離課税(株やFXなどの収入や経費)のための第三表があります。

それから、滅多に使うことはないと思いますが、災害の影響などで損が出た場合に使う第四表、確定申告が間違っていたときの修正申告で使う第五表もあります。この第五表が今回から廃止されます。その代わり、第一表に修正申告の欄が2行できました。なので、万が一修正申告をする場合は、第一表を使います。

そして令和4年分から、第一表の還付金を受け取るための口座を書く欄の下に追加の1行が増えました。

その「公金受取口座」とは何かというと、給付金や補助金、年金、児童手当などを受け取る口座のことを指します。デジタル庁が一括で管理していて、何かあったら、その口座にお金を振り込みますよ、というものです。これはコロナの給付金の手続きの際、ものすごい時間がかかってしまったので、その反省として、お金を振り込む口座を事前に申請してください、ということなんですね。

還付金を受け取るために書いた口座を、今後、公金受取口座にする場合は、左側の「公金受取口座登録の同意」にマルをつけてください。すでに公金受取口座は登録済みで、還付金ももらう口座にする場合は、右側の「公金受取口座の利用」にマルをします。その場合、上の還付金受取口座の欄に記入する手間は省けます。

還付金を受け取る口座と、公金受取口座を別々にしたいという場合は、何も書かないでください。そういう方法もOKです。よく分からないから両方ともマルしておこう、というのはあり得ません。

確定申告がお得なケースと注意点

最後に、確定申告をする際にお得になるケースや、書き忘れるともったいない注意点をお伝えします。まずは医療費控除です。医療費に関しては、家族全員分を合算できます。そして家族の中で一番所得の多い方で確定申告をするのが一番お得です。

医療費控除は、基本的には10万円を超えた部分しか申告には使えないんですが、所得が少ない方は10万円の基準が下がっていきます。e-Taxを使う方は、ぜひ一度入力して税金が安くなるかどうか、確かめると良いと思います。

それから寄付金控除ですが、ふるさと納税も含みます。ワンストップ特例制度をやってない方や、ふるさと納税の寄付先が6ヵ所以上ある方は、確定申告で書く必要があります。

令和4年分に関しては、ウクライナ関係で寄付された方も結構いらっしゃると思います。その寄付先が、寄付金控除や寄付金税額控除に対応している場合は、確定申告で書く必要があります。寄付先の団体のホームページなどに「当団体は寄付金控除に対応しています」といったことが書かれていますので、必ずご確認ください。

他にも、災害や盗難にあった場合は雑損控除が使えますので、該当する方はぜひご確認ください。

住民税が非課税の方や所得がかなり少ない方の場合は、国民健康保険料などの減免措置がありますので、単に税額が0以下だから確定申告しなくていいや、というのはちょっともったいないですね。確定申告をすることで、住民税非課税世帯になることもできます。

というわけで、令和4年分の確定申告について、ざっくりと解説しました。確定申告の具体的な記入方法などは僕の動画で解説していますので、ぜひ合わせてチェックしていただければと思います。

それでは、今回はこの辺で! ば~いば~い!