IT関連企業の取り組み加速 「AIチャット」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「AIチャット」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は3.6%と、好調な決算を発表した銘柄などが買われ上昇した東証株価指数(TOPIX、0.8%高)を上回りました(2月10日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します! 

米マイクロソフト、「ChatGPT」を検索に応用

AIチャット関連株が買われたきっかけは、米マイクロソフトや米グーグルによるAIチャットに関する一連の発表でした。

1月23日、マイクロソフトがチャットボットの「ChatGPT」を手掛ける米新興企業オープンAIに、今後数年で数十億ドルの投資をすると発表しました。チャットボットとは対話型AI(人工知能)のことで、マイクロソフトは2019年と21年にも投資しており、更にアクセルを踏んだ形です。

2月6日、今度はグーグルが、マイクロソフトの「ChatGPT」に対抗するように、自社開発の対話型AI「Bard」を数週間以内に公開すると発表。そして、2月7日には、再び、マイクロソフトが、自社の検索エンジン「Bing」に「ChatGPT」を活用することを発表。検索したことに対して自然な文章で回答が戻ってくるようになるとのことです。

AIチャットを巡る一連の企業の動きや発表を受け、国内でもAIチャットを手掛ける銘柄を物色する動きが広がりました。

独企業の対話型AIチャットボットを提供【TDSE】

上昇率首位の「 TDSE 」は、データサイエンティストによるAI技術を活用したデータ分析や経営コンサルが主力事業です。事務手続きの見直しや社内問い合わせの負荷を削減する業務効率化サービスを提供。独新興企業のCOGNIGY(コグニジー)のアジア総代理店として、対話型AIチャットボットプラットフォームを活用したサービスを展開しています。 

チャットボットにオープンAIのAIモデルを組み込み【ユーザーローカル】

上昇率2位の「 ユーザーローカル 」は、企業や官公庁の業務効率化やマーケティングを支援しています。独自開発したAIを強みとしており、60億件を超えるSNS(交流サイト)のビッグデータ分析と、自然言語処理技術を有しています。1月19日、オープンAIの対話AIモデルを組み込んだ「サポートチャットボット」の提供を始めると発表しました。 

品質と信頼性の高いAI技術がカギ

そのほか、宿泊施設のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援を手掛ける「 tripla 」は、自社開発のAIが、宿泊者からの質問に自動で回答する「tripla Bot」を提供。DX技術を基盤に知育・教育事業やソフトウエア開発などを手掛ける「 JNSホールディングス 」は、グループ会社のネオスが、AIチャットボット「OfficeBot」を展開。WEBサイト構築やシステム開発などを手掛ける「 インフォネット 」は、AIによる文章解析と深層学習(ディープラーニング)を活用したAIチャットボット「Q&Ai」を提供。これらの銘柄も買われています。

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、日本でもDX化の流れが加速しました。利用者の利便性を高めつつ、業務を効率化する一環としてAIチャットボットを導入する企業や自治体も増えています。一方で、ChatGPTの登場を受け情報漏洩やなりすましといったリスクを踏まえ、一定の規制の必要性も認識されています。AIチャットの普及と株価の行方は、品質と信頼性の高いAI技術が握っていると言えそうです。