株式市場で「タイヤ・ホイール」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は5.1%と、円安進行で輸出関連株が買われ小幅に上昇した東証株価指数(TOPIX、0.3%高)を上回りました(2月17日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
タイヤ大手4社、国内出荷価格の値上げを相次ぎ発表
タイヤ・ホイール関連株が買われるきっかけになったのは、相次ぐ値上げの発表でした。ブリヂストンが1月20日、TOYO TIREが1月27日、住友ゴム工業が2月7日、横浜ゴムが2月10日に、4月1日からタイヤの出荷価格を値上げすると発表。
また、タイヤ同様にホイールもアルミやスチールなど原材料価格が上昇しており、ホイールメーカーは価格転嫁を進めています。
値上げの浸透で収益力が改善した決算の発表が相次いでおり、原材料価格やエネルギー価格の上昇によるコスト増を吸収し、収益が改善するとの期待を誘いました。
営業損益が黒字に転換【トピー工業】
上昇率首位の「 トピー工業 」は「世界トップクラスの総合ホイールメーカー」として、あらゆる種類のホイールを製造しています。2月7日に発表した2022年4~12月期連結決算は売上高が前年同期比26%増の2488億円、営業損益が53億円の黒字(前年同期は8億円の赤字)と大幅な増収で営業黒字に転換しました。原材料やエネルギー価格の上昇といったコストの増加に見合った値上げを進め、収益回復につなげました。
値上げで原材料高を吸収【ブリヂストン】
上昇率2位の「 ブリヂストン 」は乗用車、トラック・バス、航空機、建設・鉱山車両など幅広い種類のタイヤやホイールを世界中で提供しています。2月16日に発表した2022年12月期連結決算(国際会計基準)は売上高にあたる売上収益が前期比27%増の4兆1100億円、調整後の営業利益が22%増の4826億円と増収増益でした。営業利益の増減要因をみると原材料費が2350億円の減益要因となる一方、売値が3250億円の増益要因と、原材料費の高騰を値上げで吸収しました。
自動車生産の回復や円安も追い風
そのほか、「 横浜ゴム 」は乗用車やトラック・バス、建設車両、モータースポーツ用などのカテゴリーのタイヤを生産・開発しています。「 住友ゴム工業 」は「ダンロップ」「ファルケン」をメインブランドにタイヤ事業を展開中。「 TOYO TIRE 」はフルラインの「TOYO TIRES」と車好きの声に耳を傾けた「NITTO」ブランドでタイヤ事業を手掛けています。これらの銘柄も買われています。
先進国を中心に過度な景気減速への懸念が和らいでいるうえ、半導体不足で減産を余儀なくされていた自動車の生産も回復する見通しです。世界で事業を展開するタイヤ・ホイールメーカーにとって円安基調も追い風になっています。一方で、原材料価格の先行きには不透明感が根強く、値上げだけでコストを吸収するのは厳しくなる局面も見込まれます。付加価値の高い製品の売上高比率の引き上げなど逆境に強い戦略を進めている銘柄を選別して投資していきたいですね。