オリエンタルランドや半導体関連株も! 株式分割銘柄に注目

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は、国内上場企業で発表が相次いでいる「株式分割」について解説します!

カエル先生の一言

日本株市場で、値がさ株(1単元あたりの株価の水準が高い銘柄)を中心に相次いで発表されている株式分割。個人投資家にとっては、手頃な価格で購入しやすくなる機会であり、株価にもプラスの影響が働くかもしれません。

金融緩和継続の見方から日経平均は反発

2月28日の日経平均株価は2万7445円となり、前月末比118円高でした。月初から中旬にかけては、米国の重要経済指標の発表やFOMC(米連邦公開市場委員会)など注目イベントが無難に通過し、日本株市場も方向感に乏しい展開が続きました。

国内では、2月14日に政府が日銀総裁などの後任人事案を提示。日銀総裁に元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏、副総裁に日銀理事の内田眞一氏と前金融庁長官の氷見野良三氏を起用する案を国会に提示しました。

24日には、総裁・副総裁の候補者3人の所信聴取が行われ、植田氏は「金融緩和を継続し、企業が賃上げできる環境を整える」、政府・日銀が掲げる2%の物価目標については「持続的・安定的に達成するには時間がかかる」と述べました。これにより、金融緩和路線が続くとの見方から日経平均は急速に上げ幅を拡大しました

また、3月13日(月)以降はマスクの着用ルールが個人判断となり、5月8日(月)以降は新型コロナの感染症法上の分類が「5類」に引き下げられるなど、”平時”への移行が加速する見込みです。さらなる国内消費やインバウンド消費回復の追い風となりそうです。

投資単位引き下げの要請で分割発表相次ぐ

1月から2月21日にかけて、国内上場企業のうち30社が株式分割を発表し、1~2月としては3年ぶりの高水準となりました。

相次ぐ株式分割の発表は、個人投資家が投資しやすい環境を整備するために、2022年10月27日に東証が投資単位(最低投資金額)が50万円以上の企業に対し、投資単位を引き下げるよう要請したことなどが背景にあります。

株式分割は、既に発行されている株式について、100株を200株、300株などに分割することを指します。分割が行われても、保有する株式全体の実質的価値は変化しませんが、1株あたりの金額や投資単位は小さくなります。そのため、個人投資家にとっては対象株式が購入しやすくなる、分散して様々な銘柄に投資できる、NISAに組み入れやすくなるといったメリットがあります

3月31日に株式分割をする銘柄

株式分割の時期や分割の割合は企業ごとに異なりますが、今回は、3月31日(金)を基準に分割する予定の銘柄をいくつかご紹介します。

半導体シリコンウエハ、塩ビで世界最大手の「 信越化学工業 」は、新NISA制度が発足することも踏まえて、1:5の分割を予定しています。なお2023年3月期第3四半期決算では、通期営業利益予想を従来の9400億円から9950億円に上方修正し、年間配当金も従来計画の450円から500円に引き上げると発表しています。

東京ディズニーランド・シーを運営する「 オリエンタルランド 」も、1:5の分割を予定しています。ただ、株主優待制度の配布基準は、対象となる所有株式数が500株以上からに変更されるため、注意が必要です。

菓子・乳業業界最大手の「 明治HD 」は、1:2の分割を予定しています。これにより、株主優待制度も変更され、2024年3月31日(日)以降は100株以上の保有で1500円相当の優待品贈呈等に優待内容が拡充される予定です。

東京エレクトロン
ファナック
バンダイナムコHD
ディスコ
ダイフク
リンナイ
第一興商

フロッギーでは株式分割があった場合、株数の反映に遅れが生じるため、一時的に株数と時価評価額が実際よりも少ない状態で表示されます(詳細はこちらの記事をご参考ください)。

なお、2022年10月27日に東証が投資単位の引き下げを要請してから、2023年2月22日までに株式分割を発表していない値がさ株は、まだまだあります。今後、こうした銘柄の分割に向けた動きには注目しておきたいですね。

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最新の株式分割のスケジュールは、各社webサイトの投資家向け情報や日本取引所グループの「権利処理に関する情報」のページ、弊社イージートレードに掲載の「株式分割予定銘柄一覧」などをチェックしてみてください。