2023年に人口世界一のインド市場で大活躍! スズキ

ここが狙い目! 日興ストラテジー・セレクション/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

今の社会動向や投資環境をもとにホットな銘柄を選定している「日興ストラテジー・セレクション」。3月号の採用銘柄は軽・小型自動車に強みを持つ「スズキ」です! 早速、スズキの投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてみましょう。

小さなクルマにこだわり、世界中で大きく成長!「スズキ」

日本メーカーの自動車が、性能や品質の高さなどから世界で高い人気があることをご存じの方も多いはず。そのうち、新興国を中心に、世界12ヵ国で四輪車の販売シェア1位を誇っているのが今回仲間入りした「 スズキ 」です。

高成長のインド市場でトップシェアを誇る

スズキは、1920年に織機事業会社として法人を設立した後、時代の変遷に合わせてヒトとモノの移動手段となる二輪車、四輪車、船外機などの事業を展開してきました。完成車メーカーである同社は、現在売上高の約9割を占める四輪事業を主軸としています。

四輪車のなかでも1955年の軽四輪車「スズライト」発売以来、一貫して小さなクルマづくりを追求している同社。軽自動車は、小回りがきく利便性、燃費や価格面での経済性から、国内はもちろん海外でも高い支持を受けています。同社は新興国を中心に経済性に優れたクルマの提供を続けていて、海外売上高比率が約7割(2022年3月期)にのぼります。

なかでも同社が圧倒的な強さを見せているのがインド市場です。同社はインド政府による部分的な経済自由化政策が導入された1980年代にいち早くインドに進出。インドの経済成長および自動車市場の拡大とともに同社のインド事業も成長し、乗用車市場では確固たるトップシェアを握っています。インドは2022年の実質GDP成長率は6.8%(国際通貨基金推計)と高く、また人口は2023年中にも中国を上回り世界最大となる見通しです。それでも1人当たりGDPは中国の2008年ごろの水準です。その後の中国の経済成長に鑑みれば、非常に高いポテンシャルを持っている同国で、同社がその恩恵を享受するのはまだまだこれからと言えるかもしれません。

新興国拡大とEV参入で、売上高7兆円に向けて躍進

中期経営計画(2021年4月~2026年3月)によると、2026年3月期までに四輪事業における国内軽自動車販売シェアを30%、インド乗用車販売シェアを50%まで拡大させ、世界販売370万台(2022年3月期実績271万台)の目標を掲げています。それによる2026年3月期の売上高計画は4.8兆円としていますが、2023年3月期売上高予想は4.5兆円(前年同期比26.1%増)と、中期経営計画を上回るペースで成長しています

これまでもコロナ禍を除き、インド市場拡大の波に乗りながら四輪事業で順調に販売台数を伸ばしている同社。2023年1月には「2030年に向けた成長戦略」として新たな売上高目標を発表しました。2031年3月期には、2022年3月期実績の倍増となる7兆円規模を目指す方針です

同目標の達成に向けた戦略骨子として、同社は日本・インド・欧州を核に、ASEAN、アフリカなどの新興国ビジネス拡大とEV(電気自動車)の普及促進を掲げています。2023年度の軽商用バッテリーEVの国内初投入を皮切りに、2024年度にインド、欧州と主要地域で展開を目指します。

2023年3月期は大幅増収・増益の見込み

2023年3月期第3四半期(10~12月)決算では、半導体不足の影響により四輪事業で通期の販売、生産台数計画をともに下方修正したものの、主力市場のインドなどは好調です。通期の売上高は2期連続増収を見込んでおり、営業利益は2900億円から3100億円(前期比 61.9%増)へ上方修正しています(会社予想)。

主力市場のインドでは、高い経済成長率の継続および人口増加で自動車に対する需要は底堅く続くと考えられます。これらの追い風を考慮すると、同社株は成長株としての評価が高まれば、今後の株価水準訂正が期待できます。

高成長のインド経済の恩恵を享受

人々の生活の足となる小さなクルマづくりにこだわり続ける「スズキ」。世界12ヵ国で四輪車の販売シェア1位を誇り、なかでもインドで圧倒的なトップシェアを握っています。高成長のインド経済の恩恵を受け、2023年3月期は大幅増収増益の見込みです。2031年3月期には7兆円規模という巨額の売上高目標を掲げ、国内・インドでの販売強化、新興国ビジネスの拡大、EV参入などを計画しています。目標実現に向けて邁進する同社の活躍を、これからも応援していきたいですね。

今月号は、JMDC(4483)を除外しました。医療業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)化の進展という中長期的な見方に変更はないものの、足元で先行投資が膨らんでおり、市場想定よりも利益成長が伸び悩んでいることや、同業他社比でPERに割高感があることなどを考慮しました。