年率5%運用のポテンシャルがある銘柄【高配当株ETF編】

目指せFIRE!おけいどん式 資産形成術/ 桶井 道(おけいどん)西田ヒロコ

本連載では、これまで年率5%の運用を目指しながら、つみたて投資をすることの大切さをお伝えしてきました。今回は分配金を含め、年率5%の運用ポテンシャルがある高配当株ETFをご紹介します。

高配当株の魅力とは

高配当株の魅力は、その名のとおり高い配当金が得られる点です。投資額に対して4~6%の配当利回りが期待できます。なかには10%のものもあります。

また高配当株は、下落相場で比較的ディフェンシブ(防御的)な動きをする銘柄が多いことが特長です。株価が穏やかな動きをすることや、定期的に高い配当金を得られる点、これらは心の支えになります。

とはいえ、高配当の「裏付け」は足元の好業績による結果です。その後の業績に不安が広がれば、相場状況に関わらず売り込まれるケースはあります。高配当銘柄を個別株で保有すると、そうしたリスクに直面する可能性があるため、私は高配当株ETFを好んで保有しています。

高配当株ETFであれば、高配当株に分散して投資することができます。実際に、2022年は軟調な相場(相場が下落気味)でしたが、私が保有する高配当株ETFは底堅い動きをしてくれました。保有していて良かったと思っています。

おけいどんオススメの高配当株ETF4本

それでは、さっそく年率5%の運用ポテンシャルがある高配当株ETFをご紹介します。

(1)分配金減額リスクが低い【バンガード米国高配当株式ETF】
バンガード米国高配当株式ETF(ティッカーコード:VYM)」は、米国の440銘柄に広く分散がきいているので、分配金が減額されるリスクが比較的低いでしょう。経費率(東証ETFや投資信託でいう「信託報酬」)は0.06%と低コストです。2022年は0.44%の下落に留まり、下落幅は限定的でした。私も保有しており、2022年のような下落相場でも底堅かったため、保有していて正解でした。

バンガード米国高配当株式ETFに投資可能な投資信託もあります。SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンドです。こちらは日本円で投資することができ、信託報酬は0.1238%程度となります。

(2)コストにこだわるなら【バンガード米国バリューETF】
バンガード米国バリューETF(ティッカーコード:VTV)は、米国の大型バリュー株で構成されるETFです。大型で割安な342銘柄に分散して投資します。大型株が安心な方向けといえます。経費率は0.04%と、コストにこだわるならバンガード米国高配当株式ETFよりも軍配が上がります。2022年は2.04%の下落に留まり、比較的下げ相場に強い印象があります。

(3)米国のエース級銘柄がそろう【SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF】
SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(ティッカーコード:SPYD)」は、S&P500構成銘柄のなかから、配当利回りが高い約80銘柄を集めたETFです。米国株のエース級のなかから、高配当なものを選ぶということで、投資対象が明快です。その反面、株価が上昇することで組み入れから外されるというデメリットもあります。経費率は0.07%とこちらも低いです。2022年は1.19%の下落で留まりました。

(4)財務状態が健全な銘柄がそろう【iシェアーズコア米国高配当株式ETF】
iシェアーズコア米国高配当株式ETF(ティッカーコード:HDV)」は、米国の財務優良企業のなかから、配当利回り上位75銘柄で構成されるETFです。「財務状態が健全である」というスクリーニングがきいているのは安心です。

一方で、構成銘柄数が少ないため、分散はきいておらず、上位5銘柄で約33%、上位10銘柄で約53%を占めます。つまり、他のETFに比べ、価格成長としても分配金としても、1銘柄の影響を大きく受ける可能性があります。実際に2022年6月の分配金は前年比約30%の減配となっています。とはいえ、2022年のような下落相場で約7%プラスのパフォーマンスであったことには目を見張るものがあります。

S&P500ETFを上回る利回りに注目

高配当株ETFと「バンガードS&P500ETF(ティッカーコード:VOO)」を比較すると、分配利回りはいずれも高配当株ETFの方が高くなります。長期パフォーマンスでは、同等のものと見劣りするものに分かれますが、価格成長で劣っていたとしても分配金利回りが高いことは魅力です。

カエル先生の一言

パフォーマンス(年平均リターン)は、過去の一定期間を分析したものであり、将来の動向等を保証するものではないことに注意しましょう。また、分配金は減配されるリスクがあることも念頭に置きつつ、投資先を検討しましょう。

今回は年率5%程度のリターンを狙う投資手段のひとつとして、高配当株ETFを4本紹介しました。これまで、私は「投資には再現性を大事にしてください」とお話ししてきましたが、今回ご紹介した銘柄は、年率5%程度のリターンを狙うという点において、いずれも再現性が見込めるとものだと思います。

また、分配金を生活費に充てることでFIRE後の投資スタイルとしても親和性があります。なお、最近は東証ETFで米国株に投資できるタイプの種類が増えてきているので、私は今後も新たに設定されるETFへ注目していきたいと思っています。