金融不安横目に価格上昇 「ビットコイン」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「ビットコイン」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は3.1%と、米シリコンバレーバンク(SVB)などの経営破綻を受け大幅安となった東証株価指数(TOPIX、3.6%安)に対して逆行高となりました(3月17日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

ビットコイン、1週間で30%強上昇

ビットコイン関連銘柄が買われた主な理由は、暗号資産(仮想通貨)のビットコイン価格の上昇です。3月10日時点で300万円を大きく下回っていた価格は、17日までに350万円を突破する場面があるなど、1週間で30%強上昇しました。12日に経営破綻した米シグネチャー・バンクの預金を保護すると米当局が発表。暗号資産関連企業との取引が多いとされる同行の預金者が救済されたことで、ビットコインに買い安心感が広がりました。

ビットコインの取引が活発化するとの思惑も支えになりました。メルカリの子会社メルコインが3月9日、フリマアプリ「メルカリ」で暗号資産のビットコインを売買できるサービスを始めたと発表。利用者はメルカリで不用品を売却して得た売上金やキャンペーンで得たポイントなどで、1円からビットコインを購入でき利用者のすそ野が広がるとの期待を誘いました。

関連会社が暗号資産の取り扱いを拡充【セレス】

上昇率首位の「 セレス 」は「フィナンシャルサービス事業」で暗号資産取引所を運営しています。連結子会社のマーキュリーが直感的なインターフェースや世界最高水準のセキュリティを持つ暗号資産取引所「CoinTrade」を運営しています。持ち分法適用関連会社のビットバンクは国内最大規模の暗号資産取引所「bitbank.cc」を運営しています。3月8日にビットバンクがエイプコインなど3通貨の取り扱いを新たに始めたと発表しました。

業績の向上へ暗号資産の追加を検討【マネーパートナーズグループ】

上昇率2位の「 マネーパートナーズグループ 」は外国為替証拠金(FX)取引が主力ですが、暗号資産のCFD(差金決済)取引サービス「まいにち暗号資産」も提供しています。土日・祝日も取引でき、各種手数料は無料です。取り扱う暗号資産はビットコインとイーサリアム、ライトコイン、ビットコインキャッシュの4つのみですが、業績の向上へ向けて2023年3月期中に銘柄の追加を検討するとしています。 

代替投資先との見方も、値動きの大きさには注意

そのほか、決済サービスの「 GMOペイメントゲートウェイ 」は2014年11月に日本で初めてビットコインによる決済サービスを開始。「 Zホールディングス 」はグループ会社のライン・ジェネシスが暗号資産取引サービス「LINE BITMAX」を提供。クラウドサービスなどを手掛ける「 さくらインターネット 」は、前期・今期に、暗号資産への投資で売却益を計上。これらの銘柄も買われています。

無国籍で自由な取引ができる暗号資産は、国際金融システムの核である米ドルと大手金融機関のネットワークに対する挑戦との見方もあります。複数の米銀の経営破綻や欧州で経営不安に陥った金融機関が買収されるなど、既存の銀行システムへの不安が高まった局面では代替投資先になりやすいとの指摘があるのも事実です。もっとも、裏付けとなる資産が無い暗号資産の値動きは大きく、関連銘柄も変動率が高まりやすい面があることには注意が必要です。