キャラクター人気が業績を牽引 「おもちゃ」関連株が上昇

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株式市場で「おもちゃ」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は12.6%と、米金融システムへの警戒感などから伸び悩んだ東証株価指数(TOPIX、0.9%高)を大きく上回りました(3月24日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

コロナや少子化でも成長するおもちゃ市場

おもちゃ関連株が買われたきっかけは、サンリオの業績予想上方修正でした。3月16日、同社は2023年3月期の連結売上高を前期比34%増の706億円、営業利益を5.1倍の129億円と従来予想から83億円、59億円それぞれ引き上げました。
おもちゃ関連業界については、2021年度の日本国内の玩具市場規模(希望小売価格ベース)が、8946億円と前年度比8.5%伸び、現在の形で調査を始めた2001年以来の過去最高を更新しました(2022年6月日本玩具協会発表)。同協会は、「少子化トレンドの中でも、玩具に対するニーズは極めて高く、今後さらに成長していく可能性がある」としています。
コロナや少子化のなかでも成長期待があり、実際に好業績がうかがえるおもちゃ関連銘柄への関心が高まっています。

多くのキャラクターやIPを保有【サンリオ】

上昇率首位の「 サンリオ 」は「ハローキティ」を筆頭に、「リトルツインスターズ」や「マイメロディ」など多くのキャラクターの知的財産権(IP)を保有しています。22年4~12月期業績は、物品販売が好調でした。期間を通じて行動制限がなく全期間でキャラクターショップやテーマパークを通常営業できたことが背景です。特に、秋以降は入国規制の緩和で外国人観光客が徐々に増え、来店客数が大幅に増加。他社キャラクターとのコラボ商品やカプセルトイなども好調でした。

メタバースに「黒ひげ危機一発」が登場【タカラトミー】

上昇率2位の「 タカラトミー 」は「プラレール」と「トミカ」の専門店、国内外のキャラクターグッズなどを集めた「キデイランド」などを運営しています。発売以降高い人気がある新触感液晶玩具「ぷにるんず」のオリジナルアニメの放送や、メタバース(仮想空間)の玩具で遊べる「メタバース 黒ひげ危機一発」などの展開も始めました。外国人観光客を含む人流の回復を受け、キャラクター玩具やカプセルトイ「ガチャ」も好調に推移しています。

各社おもちゃ事業は好調

そのほか、「 壽屋 」は、ゲームやアニメといったキャラクターのプラモデルやフィギュア、雑貨などの企画・製造・販売を手掛けることに加え、自社オリジナルIPの創出にも注力。「 ブシロード 」は、IPの開発・取得・発展を手掛け、「ヴァイスシュヴァルツ」などのトレーディングカード事業が好調。「 バンダイナムコホールディングス 」は、人気キャラクターやゲームなどのIPを多数保有、22年4~12月期はトイホビー事業が過去最高の業績。これらの銘柄も買われています。

一方、おもちゃ関連では好調な業績を受けて株価が大きく上昇した銘柄も目立っており、利益確定の売りが出やすいことも念頭に置く必要がありそうです。