コロナ鎮静で飲食が復活 「ダイニングバー」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「ダイニングバー」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は3.1%と、欧米景気の先行き不透明感がやや和らぎ2週続けて上昇した東証株価指数(TOPIX、0.8%高)を上回りました(4月21日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

企業が強気の業績見通しを発表

ダイニングバー関連株が買われたきっかけは、企業が発表した強気の業績見通しでした。4月14日、ダイニングバーを主力とするDDホールディングスは、2024年2月期の営業利益が15億2400万円と前期の3.3倍になる見通しだと発表しました。

同社の売上高は、新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限や外出自粛などで激減し、22年2月期まで2期連続で営業赤字となっていました。しかし、経済活動の再開を受け23年2月期は黒字に転換。新たな生活様式に対応するため不採算店舗の撤退を進めたほか、本社の縮小や広告宣伝費の抑制といった施策が業績改善に寄与しました。その効果は今期の収益回復にも貢献する見通しです。同業他社でも収益回復が見込まれるとの見方から関連株への関心が高まっています

多様なブランドで飲食店展開【DDホールディングス】

上昇率首位の「 DDHD 」は、グループ会社のダイヤモンドダイニングなどが多様なブランドで飲食店を展開しています。九州で繁盛している居酒屋をテーマとした「九州熱中屋」、藁焼き専門店「わらやき屋」など284店(2023年2月時点)にのぼります。ロシアによるウクライナ侵攻などの影響で高騰している原材料対策として、仕入れ食材の適時組み替えやメニュー内容の一部見直しなど収益改善策を推進しています。 

接待・会食需要が大幅回復【ひらまつ】

上昇率2位の「 ひらまつ 」は高級レストラン「ブラッスリー ポール・ボキューズ」など飲食店を22店、カフェを4店、ホテルを7館展開しています(2023年1月時点)。4月14日に、2023年3月度の月次業績速報を発表した際、2023年3月期の売上高が122億6600万円と会社の計画に対し大幅増収となり、過去最高となる見込みであることを示しました。国内旅行客に加え、インバウンド(訪日外国人客)も着実に増加し外食需要が高い水準を維持。特に3月中旬からは企業の接待・会食需要が大きく回復しているといいます。

 パブ・居酒屋業態の売上高は回復基調

そのほか、「 バルニバービ 」は、「食から始まる日本創再生」を掲げ、「GOOD MORNING CAFE」や「かのや」など多彩なブランドで、関東と関西を中心に92店舗を展開(2023年1月時点)。「 チムニー 」は、「食」と「飲」を中心とした食の総合サービス産業への発展を目指し、「はなの舞」、「さかなや道場」、「魚鮮水産」などのブランドで313の直営店と156のフランチャイズ店舗を展開(2023年3月時点)。「 きちりHD 」は、カジュアルダイニング「KICHIRI」とハンバーグ専門店「いしがまやハンバーグ」などを手掛け、関東や関西を中心に113店舗を展開(2022年8月時点)。これらの銘柄も買われています。

コロナ禍で大きなダメージを受けた居酒屋やパブなどの飲食業の売上高は、経済の正常化に伴い着実に回復しています。日本フードサービス協会が4月25日に発表した3月の外食産業市場動向調査によると「パブ・居酒屋業態」の売上高は前年同月比89.4%の大幅増となりました。19年同月に対しては64.5%にとどまっていますが、店舗数がコロナ前の7割弱にとどまっているのが主因です。不採算店舗の削減を進め収益力が高まっている企業も多く、客足の戻りは業績回復に直結しそうです。収益回復の度合いが大きい企業を見極めて投資していきたいですね。