投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、著者の方とともにご紹介する本連載。今回は、人気テーマの1つである「配当投資」についてです。「配当投資」を成功させるためのコツや銘柄の見つけ方とは?著者の配当太郎さんと見ていきましょう。[PR]
配当株投資を始める理由
日本人の平均賃金は30年間も上がっていません。そのため、最近は20~40代の現役世代を中心として、日本人の間で「投資熱」が高まっているといわれます。若い世代の人は生活防衛のための手段として、中高年の方々は老後を安心して過ごすために、株式投資に注目しているようです。
私がお勧めする「配当株投資」とは、株式を保有していることで、その企業が利益の中から株主に分配する「配当金」によって利益を得るという投資法です。これは、次のような人にこそ適した投資法だと言えます。
②着実に資産を増やせる投資法を探している
③株式投資で痛い目を見たので再挑戦したい
④年金や貯蓄だけでは老後の生活が不安
⑤給料の他に安定した収入源が欲しい
リーマン・ショックの地獄から私を救ってくれたもの
私は学生時代に株式投資を始め、わずか1カ月ほどで運良く100万円くらいの利益が積み上がったこともありました。そうした経験も経て、「このまま株式投資を続けていけば、簡単に1億円くらい手に入るのではないか」と思い始めた矢先、株式投資を始めて3年目の2008年の秋のことです。リーマン・ショックに直撃されて、見事に奈落の底に突き落とされました。
私の持っている株も、軒並み大幅な値下がりをし、本当に目の前が真っ暗になるような絶望感を味わいました。この地獄を体験したことで、初めて配当株投資を意識するようになりました。
その当時、日経平均株価はバブル後を下回る26年ぶりの安値水準を記録しましたが、そんな状況であっても、着実に黒字を出している企業があり、数千円とか、数万円の配当金が入ってきました。「地獄に仏」といったら大げさですが、これにはすごく助けられました。ありがたいなぁ、すごいなぁ。それまで何とも思っていなかった「配当金」について、改めてその意味と価値を見つめ直すきっかけになりました。
いま、ある意味で「地味」な配当株投資が再注目されているのも、株価の低迷によって痛い思いをした人たちが、改めてその「底力」に着目したからだと考えています。
「核」の部分がしっかりしていれば崩れない
配当金を積み上げ、さらに株を買い増していくことで、配当金は雪ダルマ式に成長します。私はこうして得られる利益を「配当金ダルマ」と呼んでいます。
子供の頃に雪ダルマを作った経験がある方ならご存じでしょうが、大きな雪ダルマも、最初はゴルフボールくらいの小さな雪玉から始まります。
配当株投資も同様で、最初に10万円を投じて株を買っても、1年目に得られる配当金は3000円くらいでしょう。それが積み上がって100万円を投資できるようになれば、毎年3万円くらいの配当金が得られるようになります。
核の部分がしっかりしていれば、雪ダルマと同じように、そう簡単に崩れてしまう心配はありません。
「粛々と大きく育てていく」のがベスト
この先、配当株投資の恩恵を受け続けていくためには、次の4つのポイントが大事になってくると思います。
②長期的な視点を持って、淡々と株数を増やしていく
③1つの企業に集中せず、分散して株を保有する
④自分の目標に届くまで、中途半端にやめない
配当株投資は、短期間で大きな利益が得られるものではなく、最低でも10年は必要な長期投資です。配当金を増やしていくためには、ある程度の時間がかかりますから、できるだけ早く、可能ならば今すぐにでも始めた方がいいと言えます。
20代であれば30代、40代であれば50代になってからの生活を楽しみにしながら、粛々と「配当金ダルマ」を大きく育てていくのがベストです。50代の方であれば、定年後の生活を安定させるために、厚生年金や国民年金の他に「自分年金」を作る……というイメージが、リアルに描けるのではないでしょうか。
配当株投資の「一番のリスク」とは?
配当株投資を「リスク管理」という側面で考えてみると、実際にできることというのは、意外に少ないように思います。
配当株投資で直面するリスクは、投資先企業の倒産や、無配とか減配によって配当金が増えないことですが、企業の倒産は新聞やテレビ、ネットのニュースをチェックしたり、決算書を確認したりしていれば、ある程度の推測は可能です。
配当株投資の一番のリスクは、「中途半端な状態でやめてしまうこと」です。
配当株投資を始めても、最初から大きな利益を上げることはありませんから、その状況に焦ってしまったり、他の投資に目移りしたりして、「配当金ダルマ」が成長する前に途中で挫折してしまう人は少なくありません。
そこでやめてしまえば、配当金ダルマの成長速度は急激にダウンしてしまいます。持っている株を手放してしまうと、配当株投資は完全にストップすることになります。
資本主義経済が存続する限り、やめる必要はない
マクロ的な視点で考えてみても、配当株投資に限らず、私は世界が資本主義経済を選択している間は、株式投資をやめる必要はないと思っています。
今後、世界がずっとマイナス成長を続けることは考えられませんから、資本主義経済が存続している間は、その恩恵を受けることができるのは株主です。
株主であることをやめなければ、この先も恩恵が受けられる可能性があるのです。