対象は高校生だけではありません。教科書の名のごとく内容ズッシリ、初心者から中級者まで響く箇所が異なりそう。繰り返し紐解くことで「投資のリスク」を最小限にできそうな一冊でもあります。
投資で失敗したくない! 負けない資産運用ならやはり「アレ」
著者は8歳でペプシコの株を買い、13歳で10代向けの投資の本を執筆。20年余りの間に版を重ね、日本の読者向けに大幅加筆したものが本書となります。トヨタはもちろん東洋水産、アシックス、九州旅客鉄道など個別銘柄が挙げられていて、日本人としては読み始めて早々にテンションが上がること請け合いです。
350ページあまりのボリュームに株や債券、投資信託のアレコレがギュッと。投資において一番難しい局面は銘柄選びや投資資金を作ることではなく「証券口座を開き、資金を移す方法を理解すること」との説にハッとした読者には特におすすめです。コラムのように読ませてしまう筆致は「始めたいのに始められない」人への格好の後押しになってくれるはず。
教科書といってもスタンスは明確です。「長い目で見ればインデックス投資が必ず勝つ。資産を築く確実な方法」と断言するあたり、初心者にもありがたい。投資信託には、市場平均を目指すインデックスファンドと、市場平均を上回る成績を狙うアクティブファンドがありますが、著者は後者にダメ出しをします。なぜならアクティブファンドには手数料が高いものがあって、どんなに運用成績が良くても手数料が高ければ、利益がその分マイナスになるため。一方のインデックスは投資商品全体を見ても手数料は抜群に低くかつ税金の節約もできる。「最高の投資の一つ」だといいます。
「個人投資家は市場に勝つことを目指さなくていい」というフレーズには、中級者でもハッとさせられるはず。本書では他に地方債や不動産投資信託(REIT)、毎年のように配当金が増えている増配株なども推奨しています。奇をてらった投資法ではなくあくまで正攻法ですが、その教えを守れば投資で眠れない夜はまず避けられそうです。