今の社会動向や投資環境をもとにホットな銘柄を選定している「日興ストラテジー・セレクション」。6月号の採用銘柄は業務用厨房機器メーカーの「ホシザキ」です! 早速、ホシザキの投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてみましょう。
世界の外食産業をキッチンから支える「ホシザキ」
2023年5月5日にWHO(世界保健機関)が新型コロナの「緊急事態宣言」終了を発表しました。日本でも、4月29日から水際措置が廃止され、5月8日からは新型コロナが感染症法上「5類」に移行。3年余り続いたコロナ禍が終わり、世界中のあちこちで、人々の移動が活発になってきました。
そこで考えられるのが外食機会の増加です。飲食店の来客数増加が見込まれるなか、活躍に注目したいのが「 ホシザキ 」です。
業務用厨房機器の業界最大手
ホシザキは、製氷機や冷蔵庫をはじめとした業務用厨房機器の開発、製造、販売およびメンテナンスサービスを手がける総合厨房機器メーカーです。独自の製品開発力、高品質、強力な営業力、迅速できめ細かなサービス・サポート体制等を強みとし、業務用の製氷機、冷蔵庫、食器洗浄機、生ビールディスペンサで国内トップシェアを誇っています。
飲食業界は、流行や社会経済の影響を受けやすい産業です。実際に、国内における飲食店の廃業率は、2年で半数、3年以内に7割ともいわれています。コロナ禍のように多くの店舗が閉店を余儀なくされると、その影響は同社事業にも及びます。しかし、外食産業における過去10年の店舗数の推移をみると、コロナ禍を含めても前年比での減少率は1割にも満たないのをご存じでしょうか。このことから、廃業率が高い一方で出店も多いことがうかがえます。
コロナ禍が終わった今後は、外食産業の新陳代謝が高まると考えられます。同社はこの波に乗り、更なる成長が期待されます。
世界の外食産業用機器市場は成長路線へ
世界の外食産業用機器の市場規模は、2020年の236.5億ドルから2030年には537.8億ドルに成長する見通しです。年率に換算すると、平均約8.6%という高成長が見込まれています。
同社は1981年にホシザキアメリカを設立したのを皮切りに海外基盤を整備し、現在は米州、欧州、アジア・オセアニアにそれぞれグループ会社や工場を有しています。また、製氷機では、すでに世界でも約3割のシェアを誇ります。2022年12月期の海外売上高比率は42%と高く、成長軌道に乗っている海外市場で、更なる事業拡大を進めています。
2022年に発表した5ヵ年経営ビジョン(2022年12月期~2026年12月期)によると、海外ではエリア、製品、チャネル、顧客セグメント別に新市場を開拓。また、M&A投資として5年間で約1,250億円を充てる方針です。これらにより、2026年度に向けて海外売上高は年率12%、海外営業利益は年率21%の成長を目指しています。
5期ぶりの最高益更新に期待が高まる
2023年12月期第1四半期(1−3月)決算では売上高906億円(前年同期比24.8%増)、営業利益118億円(73.8%増)と好調です。
新型コロナ対策の段階的緩和による個人消費の回復や、企業における賃上げなど、国内では社会的な追い風が吹きました。そのうえ、同社自身も国内では新規顧客の開拓や拡販、海外では需要の継続に対する製品供給や収益性改善に努めた 結果によるものです。
インフレ等の消費低迷不安も残るなか、同社は2023年12月期通期業績計画(前期比8.9%増収、21.8%営業増益)を据え置きました。一方で、市場では第1四半期決算の高進捗をふまえて、営業最高益を達成した2018年以来5期ぶりとなる最高益更新への期待を高めています(QUICKコンセンサス、5月15日時点)。
良好な事業環境が整いつつあるなか、株価についても同様に5年ぶりの上場来高値更新に期待が高まってます。今後しばらく同社の業績や株価の動向から目が離せませんね。
世界中「食」の現場にホシザキあり
高い開発力や品質、強固な販売・サポートを強みに、製氷機、冷蔵庫、生ビールディスペンサなどで国内トップシェアを誇る「ホシザキ」。コロナ禍の終了や世界の外食産業用機器市場の高成長など、同社に強い追い風が吹いています。同社は今後も積極的に海外事業の拡大を推し進める方針で、中長期的な業績拡大が期待されます。国内外の「食」現場でますます活躍する同社に注目し続けたいですね。