外国人持ち株比率が高い銘柄とは? 日本株の買い手を探る

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。株高に一服感が見られはじめた日本株市場ですが、これまでの株高のけん引役は誰だったのでしょうか。「買い手」の正体を探りながら、いまのマーケットを掘り下げます。

カエル先生の一言

株式市場に「買い手」と「売り手」がいることで、株価は形成されます。では日本株はいま誰の買いによって33年ぶりの高値水準にあるのでしょうか。日本取引所グループ公表の投資部門別売買動向を見ながら、その正体を見ていきましょう!

日本株は上昇一服

6月30日の日経平均株価は3万3189円となり、前月末比2301円高でした。
東証による資本効率改善の要請に対する期待や、投資の神様ウォーレン・バフェットによる日本株投資の報道などから、日本株は上昇トレンドが継続しました。しかし、6月15日に岸田首相が今国会での解散を見送ると発表したことで、一部であった解散期待が収束。また、24日の民間軍事会社ワグネルによる武装蜂起などから売りが相次ぎ、下旬は上昇一服の動きとなりました。

カエル先生の一言

首相の権限の1つである衆院解散。一般的に、衆院解散があると改革期待や、さらなる長期安定政権が実現する見込みが立つことから、株価は「買い」で反応しやすい傾向があります。「政治」も株価の変動要因の1つであることがわかりますね。

海外投資家は7.7兆円の買い越し

日本取引所グループが毎週発表している投資部門別売買動向を見ると、「海外投資家」が6月第3週まで累計約7.7兆円の買い越しとなっています(現物・先物合計)。4月以降の株高のけん引役が海外投資家であることが読み取れます。

また、自社株買いを示す「事業法人」が継続的に買い進めています。一方で、年金基金の動向を示す「信託銀行」や「個人」は、売り越しが続いています。

カエル先生の一言

投資部門別売買動向とは、株の買い手や売り手がざっくり誰によるものなのかを示すデータのことです。原則、毎週第4営業日の15時に東証が公表しています。このデータを見ることで、今の相場の買い手や売り手が誰なのかがわかります。

アベノミクス相場では26兆円の買い越しも

さらに過去を振り返ると、2012年末ごろから始まったアベノミクス相場では、海外投資家が累計で20兆円以上も買い越した場面がありました。しかし、その後は売り越し基調が続き、累計で33兆円も売り越していました。

足元だけを見ると、買い越し基調はもう終わるのではないかと思われるかもしれません。しかし、これまで売ってきた分が少し買い戻されたにすぎません。もちろん、企業の利益がこれから明確に上向くことが必要ですが、好調な企業業績が確認できれば、まだまだ海外投資家の買いは続く余地もあると言えそうです。

低PBR&外国人持ち株比率が高い銘柄

そこで今回は国内上場銘柄のうち、外国人持ち株比率が高い銘柄をご紹介します。時価総額が1000億円以上で、実績PBRが1.5倍以下の銘柄を、外国人持株比率が高い順にスクリーニングした結果が以下の表となります。

もちろん、今後の業績が上向き、1株当たり利益が増加することなども前提となりますが、こうした銘柄には引き続き海外投資家の注目が集まりやすいと言えるかもしれません。


ユニバーサルエンターテインメント
いちご
日産自動車
川崎汽船
SBIホールディングス
PHCホールディングス
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