異業種連携でマーケット拡大 「婚活」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「婚活」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は2.8%と、円安などを追い風に上昇した東証株価指数(TOPIX、1.3%高)を上回りました(8月25日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

背景に少子化の危機 官民共同で婚活支援

婚活関連株が買われたきっかけは、企業による異業種や自治体との連携の発表です。8月21日、婚活サービス提供のIBJが、日本旅行と、婚活支援での業務提携を発表しました。続いて22日にはIBJのグループ会社で結婚相談所を運営するツヴァイ(ZWEI)が、「伊豆市婚活イベント支援業務」で受託事業者に選定されたと発表。婚活を巡り、企業間や自治体との連携が進み、婚活市場が拡大するとの連想から関連株が物色されました。
一連の動きの背景にあるのが少子化に対する危機感の高まりです。2022年の日本人の出生数は77万人と統計を開始した1899年以降で最低になりました。政府が6月13日に発表した「こども未来戦略方針」では、地方自治体による結婚支援などの取り組みについて「引き続き、実施していくことが重要である」と強調しました。婚活支援の動きは全国的に広がっています。

街コンや交流イベントの情報サイトを運営【リンクバル】

上昇率首位の「 リンクバル 」は「出会いをつくる。」をミッションに掲げ、商店街などで出会いの場を提供する「街コン」イベントや交流イベントなどの情報サイトを運営しています。8月20日には大阪市福島区の地域飲食店と協力し、グルメと人との出会いを楽しむ街コンを復活させました。9月24日にも東京と大阪での開催を予定しています。

 結婚相談所やマッチングアプリなどを運営【タメニー】

上昇率2位の「 タメニー 」は結婚相談所「パートナーエージェント」やマッチングアプリなどの婚活関連やカジュアルウェディング事業、地方自治体向け婚活支援システムなどを手掛けています。7月25日にはパートナーエージェントが企業向け婚活応援プランの提供を開始したと発表しました。京都府が運営する「きょうと婚活応援センター」の婚活支援業務や北海道のオンラインによる結婚サポートセンターの委託業務なども受託しています。 

結婚・子育ての基盤は整備され市場は一段と拡大へ

IBJ(注)は全国10万寺社をつなぐ「全国寺社観光協会」とも婚活支援で協業。寺社ネットワークと自社の結婚相談所のネットワークシステムを活用し、成婚数の拡大を目指しています。「 サイバーエージェント 」は傘下のマッチングアプリ「タップル」が、「結婚相手紹介サービス業認証機構」が定める、ネット系婚活サービスの評価制度「インターネット型結婚相手紹介サービス業認証制度」でマッチングアプリ初となる認証マークを取得しました。「 リクルートホールディングス 」傘下のリクルートは結婚情報誌「ゼクシィ」から生まれた総合婚活サービス「ゼクシィ縁結び」の結婚相談所「ゼクシィ縁結びエージェント」が、2023年のオリコン顧客満足度ランキング「結婚相談所」で6年連続1位を獲得しました。これらの銘柄も買われています。 

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な感染拡大)の影響もあり、3年間(2020~22年)で婚姻件数は約9万組減少し、未婚者の結婚希望や希望子供数も大幅に低下・減少しました。政府は30年代に入るまでの6~7年が少子化傾向を反転できるかどうかの「ラストチャンス」と位置付けています。国や自治体が主導して、子供を生み育てる経済・社会的な環境整備は一段と強化される可能性が高いと言えそうです。自治体が婚活への支援を一段と拡大すれば、関連企業の収益に追い風となります。会員数の多さや成婚率の高さなどを見極めて、利用者の増加に期待できる銘柄に投資していきたいですね。

(注)IBJは3月23日に公正取引委員会から立ち入り検査を受けたと発表しました。現時点でその後の処分などに関する発表はありません。