おけいどん式 新しいNISA徹底活用法

目指せFIRE!おけいどん式 資産形成術/ 桶井 道(おけいどん)西田ヒロコ

本掲載ではこれまで、年率5%の運用を目指しながら、つみたて投資をすることの大切さをお伝えし、その可能性があるETFを中心にご紹介してきました。今回は、非課税で投資できる制度「新しいNISA」の徹底活用法として、投資信託への投資をご提案します。

新しいNISA制度

2024年にNISAが改革され、「新しいNISA」が始まります。主な変更点は、(1)NISA制度の恒久化、(2)非課税期間の無期限化、(3)非課税枠の増額です。この改革はゲームチェンジャーといえます。

新しいNISAの要点は次の通りです。

(1)現行NISAは時限制度ですが、これが恒久化されます。
(2)現行NISAは譲渡益および配当金(分配金)が非課税となる期間は有期限でしたが、これが無期限化されます。
(3)年間上限額が360万円に増額されます(うち、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円)。
(4)生涯上限額が1800万円に増額されます(うち、成長投資枠の上限は1200万円)。

新しいNISAは、つみたて投資枠と成長投資枠から成ります。つみたて投資枠は、主に投資信託に投資する枠です。成長投資枠は、投資信託やETF、個別株に投資する枠です。生涯上限額1800万円いっぱいまで、つみたて投資枠だけで満たすことも可能です。つまり、投資信託のみで生涯上限枠の1800万円まで投資することもできるのです

お金の増え方ではETFより投資信託のほうが再現性が容易で、効率も良い

これまで私は、分配金を得る「出口戦略」を意識してETFをメインにご紹介してきましたが、今回は投資信託のお話をします。資産形成期は、いかに効率よくお金を増やしていくかが大切です。お金の増え方では、同じインデックスに投資するならば投資信託に軍配が上がります。なぜなら、ETFは収益を分配金として出すのに対して、投資信託は分配金を出さずにファンド内で再投資するタイプが選べるためです。

たとえば、毎月5万円を30年間にわたって積立投資すれば、生涯上限額の1800万円をフル活用することができます。5%の複利運用で試算すると、運用収益は投資元本(1800万円)を上回る2361万円に、評価額は4161万円になります。毎月5万円でも大きな額となります。

やはり米国への投資がオススメ

年率5%のパフォーマンスがある投資信託とは何でしょう。これまでの回でご紹介したように、いくつか選択肢はありますが、まずは米国株のインデックスに投資する投資信託をオススメします。

オススメする理由は次の7つです。

(1)米国が「国」として世界一強い。米ドルは基軸通貨、米軍は世界最強の軍隊、食糧やエネルギーは自国生産可能、政治も経済も強い、人口が増加している。
(2)米国の「企業」は、最先端技術でも世界トップ。または、ブランド力が世界トップ(例えば、コカ・コーラ、マクドナルド、VISAカードなど)。
(3)米国企業は株主還元意識が高い。株価を成長させる、増配する、自社株買いする。
(4)米国企業はガバナンスが整っていて、不祥事を起こしにくい。
(5)米国企業にはプロの経営者が多い。例えば、アップルはスティーブ・ジョブス氏が退任してからも成長している。マイクロソフトもしかり。
(6)米国株は多くの経済ショックを乗り越えて株価成長してきた実績がある。リーマン・ショック、数年前ではコロナショックなど、数年ごとに経済ショックが起きたが、株価は高値更新している。
(7)米国株のインデックスは構成銘柄が新陳代謝する。インデックスに採用になっても、業績状態が悪化すれば外される。

投資信託のご紹介

それでは、過去の実績から、年率5%成長の期待が持てる投資信託をご紹介します。米国オンリーではなく、米国をメインにしながら米国以外も含む投資信託も入っています。私は米国が一番強いと思いますが、その他の国の将来にポテンシャルを感じられる方は、米国以外を含む投資信託を選んでみてください。

●S&P500(最強国「米国」のトップ集団500社に投資する)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド

●全米株式(米国上場の小型株から大型株まで、米国株の大半となる約4000銘柄に投資する)
楽天・全米株式インデックス・ファンド
SBI・V・全米株式インデックス・ファンド

●全世界株式(先進国および新興国の小型株から大型株まで9000銘柄以上に投資する)
楽天・全世界株式インデックス・ファンド
SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド

●オール・カントリー(先進国、新興国の時価総額上位の約3000銘柄に投資する。※小型株は含まず)
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
たわらノーロード全世界株式
Tracers MSCI オール・カントリー・インデックス

●先進国株式(日本を除く先進国22ヵ国の大型株および中型株で約1200銘柄に投資する)
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
ニッセイ外国株式インデックスファンド
たわらノーロード先進国株式

投資信託の選び方

米国だけを選ぶのか。全世界に投資するのか。または新興国を外すのか。これは永遠のテーマともいえます。この先、数十年にわたり米国の成長が世界一のまま続くと思うならS&P500か全米株式を。GAFAM比率が高い方を希望して大型株を好むならS&P500、GAFAM比率が低い方が好みで小型株にも投資したいなら全米株式を選べばいいでしょう。

米国以外の国も成長すると考えるなら、全世界株かオール・カントリーが選択肢となり、小型株の有無でいずれかを選べばいいでしょう。新興国にカントリーリスクを感じるなら、先進国株式を選べばいいでしょう(ただし、この場合、日本株も外すことになります)。

まとめ

これら投資信託は、構成銘柄が数百~数千にもおよび充分に分散しているので、1つに投資すれば事足ります。「いずれか1つ選び、新しいNISAで毎月5万円を積立投資する。そして、ほったらかしにする」。

もちろん、さらに資金的に余裕が出てきたり、個別株に興味が出てきたら、つみたてとは別に成長投資枠を活用するのも手です。ご自身の収支状況やリスク許容度に応じて、無理のない範囲で検討してみましょう!