最終話 桐谷さん、株のおかげで73歳なのに超健康!

人生変えたきゃ投資人生/ 桐谷 広人川口真目

第8話「貧乏性の桐谷さん、ついにステーキにありつく」を読む

24年かけて気づいたこと

リーマン・ショックの経験で私は気がついたんです。自分はコブラを素手でつかめる人間ではない、株がヘタなんだということに。

「株で儲けてやろう」なんて短期で売買するのは、猛獣狩りと一緒です。なかにはcisさんテスタさんのようにコブラを素手で捕まえる才能を持った人もいます。

でも、そんな才能に恵まれた人はごく一部です。ほとんどの人はコブラを素手でつかもうとしても噛まれてしまう。

私も最初は思っていたんです。「自分は天才だ、素手でつかめるほうの人間だ」って。でもそれは勘違いなので失敗する。そして、反省をするんですけど、忘れたころにまたやられる。

自分にコブラはつかめない、ということに気がつくのに24年かかりました。無謀な勝負をしたムダな24年間でしたね。

でも株式投資をしたことは後悔していません。

齢73。いま、人生で一番健康!

もう70歳を超えましたが、株主優待を消化するために、毎日自転車で駆け回っています。そのおかげか、すこぶる元気です。20歳のときにはインスタントラーメンばかり食べていたせいか、あるいは昇段へのプレッシャーのせいか、胃潰瘍になりましたし、50代では糖尿病に悩まされもしましたが、人生で今がいちばん健康です。

ドイツでは「トラックいっぱいの薬より1台の自転車」とのことわざがあるそうですから、優待で生活していると健康にもなるんですね。

歳を重ねると出不精になる人もいるようですが、そんな人は優待株を買えばいいんです。優待券を使うために、自然と出歩くようになりますから。

このごろ券売機で食券を買うお店が増え、また注文をタブレットでするお店も目立ってきました。ロボットが配膳してくれるお店もありますね。そんなお店だと、無言で入って言葉を交わすことなく出ていくことになります。便利なのかもしれませんが、さみしい話ですね。

優待券だとどうでしょうか。たいていの券売機は優待券に対応していないですから、店員さんに「優待券を使いたいのですが」と言ったりして、自然とコミュニケーションが生まれます。

孤独に悩む人にも優待はいいんです。イギリス孤独担当相によると「孤独は1日煙草15本に匹敵」するらしいですよ。

株主優待は私の世界を広げてくれました。値動きに一喜一憂していたころと違って、今は株価が下がっても苦しさはありません。下がれば、新しい優待株を買えるチャンスだと思えます。

もし株と出合わず預金ばかりだったら、今ごろ無味乾燥な人生だったでしょうね。リーマン・ショックで死にそうになったことも、今となってはいい思い出です。

株主優待をもらいながら人生を楽しむ――これがいちばんいい投資法だと、今はつくづくそう思います。それに気づかせてくれたリーマン・ショックには感謝しかありません。株式投資をやっていてよかったなと、今はとても幸せです。

もし株主優待をやっていなければ? 今ごろ死んでいたかもしれません、タンス預金を残して(笑)。