日本のシン富裕層 なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

個人かつ短期間で財をなし海外移住する「シン富裕層」。その共通点やビジネスモデルを徹底分析した本書には、次世代の稼ぎ方がつまっています。

一代で、個人で、富を築く! シン時代の稼ぎ方とは

海外移住する富裕層のタイプが00年代以降、様変わりしているそうです。一昔前は「先祖代々からの土地を相続した人たち」が多数派でしたが、近年は一代(さらに言えば一個人)で資産を築いた層が急増。彼らは暗号資産やネットビジネスで富を築き、節税のためにドバイや東南アジアに移住します。それも、旅行に行くようなカジュアルさでもって。

本書は2万人以上に海外移住のサポートをしてきた著者による「シン富裕層」たちのドキュメンタリーです。海外移住の知られざる事情も面白いですが、後ろ盾のない人たちが「どうやって資産形成したか?」はさらに気になる読者が多いはず。

例えば、自宅を「資産」として考える投資法はいかにもシン富裕層的。よく言われる「家を買うなら郊外、借りるなら都心」「自宅購入は浪費、やるならアパート投資」の逆張りをして、彼らは都心のマンションを買い、数年したら引っ越して、その度に数千万の利益を手にしていく。都心なんてムリ! と思うかもしれませんが、国土交通省の「公示地価」が3年連続値上がり中の土地は狙い目だそう。今なら沖縄や京都、長野の白馬、北海道はニセコや富良野。低金利の住宅ローンを利用して「住みながら資産を増やす」方法は、本書の中ではハードルが低い方と言えます。

「シン富裕層」に共通するのは胆力で、自宅投資だろうとローンを背負う覚悟は必要。一方で「暮らしぶりはむしろ地味」「決断が早い」などの特徴も興味深いものがあります。もちろん、巨万の富が動く世界は魑魅魍魎。「SNSのトップ画面に100人レベルの集合写真をあげている人はまず怪しい」といった詐欺師の見分け方にまで触れられているのには笑ってしまいました。具体的なエピソードばかりなことも本書を推したい理由の一つです。