経済対策でDXへの投資促進 「ITコンサルタント」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「ITコンサルタント」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は3.6%と、米国政府機関の一部閉鎖への警戒感などから下落した東証株価指数(TOPIX、2.2%安)に対し逆行高となりました(9月29日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

岸田政権、今後3年間を変革期間と位置付け

9月25日、岸田文雄首相は記者団に対して、10月中をめどに経済対策を取りまとめるよう閣僚に指示すると表明しました。政権では今後3年間を変革期間と位置づけ、労働市場改革や持続的賃上げを伴う消費の活発化、DX、スタートアップ育成などに集中的に取り組むとしています。DXへの投資促進策などが需要拡大につながるとの見方からITコンサル関連株が物色されました。

SBIのグループ会社と資本業務提携を強化【ダブルスタンダード】

上昇率首位の「 ダブルスタンダード(DS) 」は、ビッグデータ処理など独自の技術基盤の応用・転用により、企業の業務効率化を実現するサービスを多数提供しています。9月22日にはSBIホールディングスの子会社で金融サービスを手掛けるSBIファイナンシャルサービシーズとの資本業務提携を強化すると発表。SBIグループの顧客基盤の拡大に伴うデータ量の増加やデータ整理が課題となってきているため、DSの技術導入をさらに進める方針です。

 生成AI活用のDX推進支援で提携【ABEJA】

上昇率2位の「 ABEJA 」は独自のAIプラットフォームを活用して顧客企業のDXを推進しています。8月30日にはPwCコンサルティングと、生成AIをはじめとした最新技術を活用した企業のDX推進支援で協業を始めたと発表。両社で連携して生成AIなどの活用を前提とした戦略の立案やビジネスプロセスの構築など、企業のDX推進に向けたプロセスをワンストップで提供する方針です。 

2022年度の国内DX市場は15%増の1.9兆円に

このほか「 Arent 」は建設業界を中心としたDXコンサルティングやシステム開発、システム販売を展開。「 ライズ 」は幅広い業界に対して事業戦略の策定や業務改革、IT導入、DX推進など幅広いテーマで支援。「 ボードルア 」はサーバーやネットワーク、セキュリティーなどのITインフラストラクチャーの設計や構築、保守・運用を請け負っています。これらの銘柄も買われています。 

電子情報技術産業協会(JEITA)によると、DXの国内市場規模は2022年度に1兆9619億円と前年度から15%増えました。この10月に始まったインボイス制度(『登録申請が着実に増加 「インボイス制度」関連株が上昇』)に加え、政府の経済対策も企業にDX投資を促す内容になれば市場規模は一段と拡大しそうです。幅広い業種で広がる需要に対して、最適な解決策を打ち出して成長していける企業を見極めて投資先を決めたいですね。