マーケットに漂う2つの「警戒感」を紐解く

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は、日本株マーケットに漂う警戒感を紐解きます。為替介入はあるのか? いま見るべき指標とは? 気になるポイントを解説します。

カエル先生の一言

横這い状態が続く日本株マーケット。マーケットに漂う警戒感を紐解くと、「為替介入」と「景気の先行き」にたどり着きそうです。過去の為替介入実績や、世界経済の変調に先んじて動く指標などをご紹介します。

マーケットに漂う2つの「警戒感」

9月29日の日経平均株価は3万1857円となり、前月末比761円安でした。
9月は大きな相場材料が少なく、為替相場や個別企業のニュースなどによる物色が中心となりました。マーケット全体では、「為替介入がいつあるのか」と「景気はソフトランディング(軟着陸)できるのか」という2つの警戒感が漂い、上値を追う展開にはなりづらかった模様です。

警戒感① 為替介入はいつあるのか

9月28日17時時点ではドル円が1ドル=149円台と、約1年ぶりの円安水準になっています。財務省の高官からは度々「口先介入」と見られるけん制発言が相次いでいますが、まだ”実弾”投入には至っていない状況です。

昨年の為替介入実績を見ると、9月から10月にかけて、140円台と150円台において介入が実施されていました。背景にある日米の金融政策の方向性の違いを考慮すると、為替介入をしたとしても、「焼け石に水」となる可能性もあり、日本銀行・財務省としても踏み込みにくい状況と言えます。

ただ、これ以上の円安進行は輸入物価の高騰などを招き、国内経済への影響も大きくなります。さらなる行き過ぎた円安に対しては実弾を伴った介入が実施されると考えられます。

カエル先生の一言

「口先介入」とは、実際に為替介入(今回の場合はドル売り円買い)をする前に、財務省の高官などが為替に対する認識を公表することを言います。これにより、「日本銀行・財務省として介入するかもしれない為替ライン」をマーケットに意識させることで、過度な投機筋の動きをけん制する狙いがあります。具体的には、「為替相場は安定的に推移するのが望ましい」という軽度な表現から「あらゆる措置を排除せず、必要な措置を取る」という強い表現などがあります。

警戒感② 世界景気はソフトランディングするのか

「世界景気はきっとソフトランディングするだろう」。表現の温度差はあれど、いま世界の株式マーケットにはこうした雰囲気が漂っています。各国の金融引き締め策によって、今インフレ率は収まりつつあります。引き締めの度合いが強すぎると、景気の腰折れや企業収益の急激な落ち込み、雇用の悪化などにつながりかねません。しかし、現状ではそこまでの悪化は見られていないため、この状態が続くと多くの投資家は考えているものと思われます。

カエル先生の一言

「ソフトランディング(軟着陸)」とは飛行機の着陸に経済を例えた表現です。景気のスピードを緩める「ブレーキ」として金融引き締め策を各国の金融当局は実施していますが、そのブレーキのかけ方を間違えれば「ハードランディング(硬着陸)」となります。飛行機が態勢を崩そうものなら、景気の腰折れどころか、不況に落ち込みかねません。

黄色信号を灯す「ドクター・カッパー」

ただ、一部のマーケットにはやや警戒感も見られ始めています。例えば銅の先物市場。銅は幅広い産業で使われるということから、世界経済の変調をよく表すとして「ドクター・カッパー」とも言われています。その銅先物価格が足元で下落傾向にあるのです。
必ずというわけではないですが、1997年のアジア通貨危機時や2008年のリーマン・ショック、2020年の新型コロナウイルス感染拡大時といった世界的な経済ショック時には、銅の価格は経済指標に先んじて急落していました。目先はこうした銅先物価格などにも目を配りつつ、資産運用ポートフォリオを調整したほうが良いかもしれません。