「ついで買い」増加で収益拡大 「ドラッグストア」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「ドラッグストア」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は2.2%と、米長期金利の上昇などを受けて大幅安となった東証株価指数(TOPIX、2.6%安) に対し逆行高となりました(10月6日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します! 

食品の低価格販売で「ついで買い」を刺激

ドラッグストアが、「ついで買い」の増加による収益拡大に力を入れています。医薬品などで稼いだ利益で、食品をコンビニエンスストアなどと比べ低価格で販売できるのが強みです。物価上昇で高まる節約志向も追い風となり、ドラッグストアの利用者は、日用品や医薬品を購入する際に、食品をついで買いすることが増えているようです。大幅な増益決算や業績予想の上方修正が相次いだこともあり、収益拡大への期待から物色が膨らみました。

「フード&ドラッグ」で利便性を提供【クスリのアオキホールディングス】

上昇率首位の「 クスリのアオキホールディングス 」は北信越を中心にドラッグストアや調剤薬局を展開しています。生鮮食品などの品ぞろえ強化で「フード&ドラッグ」を実現し、利便性を提供できるよう既存店の改装を進めています。10月3日に発表した2023年6〜8月期の連結決算は、前年同期比で大幅な増収増益でした。9月の既存店売上高も前年同月比11.4%増と好調でした。決算と同時に1株を3株に分割すると発表したのも好感されたようです。

 23年3~8月期は食品売上高が15%増【薬王堂ホールディングス】

上昇率2位の「 薬王堂ホールディングス 」は東北地方で「小商圏バラエティ型コンビニエンス・ドラッグストア」の確立に取り組んでいます。10月5日に発表した2023年3〜8月期連結決算では飲料や日配品など「フード」部門の売上高が前年同期比で15%増と4部門中で最大の伸びとなりました。改装店舗の増加などが既存店売上高に貢献するとして、24年2月期の業績予想を上方修正しました。

食品の売上高急増も価格競争の激化には注意

このほか「 ツルハホールディングス 」の9月の既存店売上高は、前年同月比で4.5%増。「 コスモス薬品 」の8月の既存店売上高は前年同月比8.6%増。「 サンドラッグ 」の9月の既存店売上高は前年同月比1.2%増と増加基調です。これらの銘柄も買われています。

経済産業省によるとドラッグストアの2023年4〜6月期の商品販売額は2兆565億円と統計で遡れる14年4〜6月期に比べ76%増加しました。規模拡大のけん引役は食品で、2.3倍に膨らみました。今後はコンビニやスーパーとの価格競争が激化する可能性もあるため、厳しい環境でも成長を続けていける強みのある銘柄の見極めが重要になりそうです。