食べチョク秋元里奈が“経営者として致命的かも”と語る弱点

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そんな「新R25ワイドショー」のテーマを著名なビジネスパーソンの方にぶつけ、深掘りインタビューさせていただくこの連載。

本日登場するのは、農家・漁師のオンライン直売所「食べチョク」を手掛ける起業家・秋元里奈さん。

【秋元里奈(あきもと・りな)】1991年生まれ、神奈川県出身。新卒でDeNAに入社後、2016年に農業支援ベンチャー「ビビッドガーデン」を創業。2017年に「食べチョク」をリリース。2020年からは報道番組『Nスタ』のコメンテーターを務める。好きなマンガは『ジョジョの奇妙な冒険』

毎日着ている「食べチョクTシャツ」で、ニュース番組に出演している姿を見ている方も多いかと思います。

そんな秋元さんにぶつける、テーマと回答はこちら。


共感性が高すぎて、他人の目が気になる
意図的にエゴサをやめたりしてるけど、本質的に“気になる”心は変わらない……

ご本人も「起業家としては致命傷かも……」と語るこの弱点…。

秋元さん流のカバー方法と「共感性高いメリット」もきいてきたので、全国の“気にしい”さんにはぜひ読んでほしい内容です!

〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉

記事提供:新R25

「人を頼れなくて、時間と力技で解決してました……」


弱点……。ゆるいのとガチめのやつだとどっちがいいですか?


えっ。じゃあまずゆるいほうから。


タイムマネジメントが苦手で、なのに予定を詰め込んでしまいます。いつもギリギリで行動して、「間に合わない」って言ってるっていう……
遅刻はしてないんですけど、遅刻しないためにバタバタしてる感じですね。遅刻はしてないんですよ?

遅刻もそれなりにしてるんじゃないかな……(想像)


深刻な弱点でいうと、「共感性が高すぎて、人を頼るのが苦手」っていうのがあります。


共感性……「ストレングスファインダー」とかの性格診断でいう「共感できちゃうから、他人の目を気にしすぎてしまう」っていう。僕もそのタイプなので、気持ちわかります。


そうなんですよ……
起業のときも、「ホリエモンホリエモン」って言いすぎってまわりに指摘されて(笑)。強い軸がある人に劣等感を抱いて、「堀江さんみたいになれない」が口癖になってたんですよね。
あっ……でも、決して堀江さんが共感性低いって言いたいわけじゃないんですよ?

いや、もうそれが共感性発揮してるやつですから


その弱点って昔からなんですか? たとえばDeNA時代とかは?


「手伝ってください」って言い出せなくて、そのぶんムリヤリ時間で解決して、上司に怒られてました(笑)
DeNAで『キン肉マン』のゲーム担当だったんですけど、「LINEにキャラの名前を送ったら技の名前が返ってくる自動返信機能」をやろうってなったんですよ。
ひたすらシステムに、キャラの名前と必殺技を入力していくっていう……


人力で。


ユーザーが「筋肉マン」「キンニクマン」とか間違った表記で入力する可能性もあるから、考えられるパターンを全部想定して入力していくんです。
手分けしてやったらすぐに終わるはずなんですけど、「ひたすら打ち込む作業なんてお願いできない」と思って、結局1人で会社に残って、徹夜してやったんですよ


解決が力技すぎる


あと、ファストフードの店舗でキン肉マンのリアルイベントをやったときも、店内を飾ったシールをはがさなきゃいけないんですけど、誰にも手伝ってと言えなくて1人でやりました……(笑)
想像以上に粘着力が強くて何時間もかかってしまって……会社で「秋元がまだ帰ってこない!」って大騒ぎになりまして……

キン肉マンまみれの青春

“気にしい”な人は、どんな仕事で活躍できると思いますか?


経営者ってよく「選択と集中が大事」っていうじゃないですか。集中すべき仕事を見極めて、そうじゃないものはメンバーに振れっていう。
IT起業家としてはけっこう致命的な弱点だと思うんですけど(笑)、どうやってカバーしてるんですか?


そうなんですよ……。投資家の方々にも「弱点になるから、意識的に変えたほうがいい」って言われてます。
でも、意識はできても、「今どう思われてるんだろう」って不安になる心は変わらない(笑)


弱点をカバーするためにいろいろやるようにはしてて。
意図的に情報を見ないようにする」っていう。


情報?


「食べチョク」で毎日エゴサしてるんです。テレビも出てるし、ちゃんと反響を見なきゃいけないと思って。
でも、自分の見え方が気になって、ちょっとしたことで辛くなっちゃうんですよ。“これ以上見たら死ぬ”みたいなラインがけっこう早く来る(笑)


気にしいの人には試練じゃないですか?(笑)


だから、なんかヤバそうだと思ったら見ないようにしてます。チラッと目に入れて……あっダメだ、見ない! 読まない! みたいに……

チラッチラッ


あと、カバーするためにやってるのは……、“第二の自分を置く”ってことですね。
本当は、メディアに出ることも人前に立つことも苦手なんですよ。でも創業者として自分ができることを考えたときに、表に立ってメッセージを発信するのは私がするべきだと思って……
そういうときは「今苦手なことをしてる」っていうことをメタ認知して、“創業者としての人格が喋ってるんだ”っていう。


メディアにたくさん出てるから、そんな努力をされてたとは知りませんでした……
我々“共感性高い”人種は人一倍そういう努力が必要なんでしょうか……?


ただ、多分いいところもあって。
気にしいなのは、「正解がない事柄に寄り添う仕事」には向いてる性格かもしれないなって思うんです。


たとえば、食べチョクで向き合ってる農業、漁業とかの第一次産業。
生産者さんって一人ひとりこだわりが違って、生産方法には正解がないんですよ。そこで、いろんな人の哲学やこだわりを想像しながら話せるのは、すごく長所になってます。一人ひとりに寄り添って、それぞれの正義を尊重できるというか。


なるほど。ビジネス視点だけで切り捨てないっていうのは安心感ありそうです。


あと、共感性高い人は、面接とか人事まわりの仕事も向いてると思います
私も、話していて「怖いって思ってるんだろうな」「緊張させちゃってるんだろうな」っていうのがすごくわかるので、自然と対応を変えたり。「じゃあもうちょっとこういうこと言おうかな」とかは、息を吐くようにできるんですよ(笑)

いろんな人の想いが入り混じる仕事のシーンで、「共感性が役に立つ!」と意識してみます

「最初のモチベーションだけでは続かなくて……」ビジネスパーソンたちに問いたいこと


ちなみに、新R25ワイドショーで秋元さんが「これを聞いてみたい!」っていうテーマはありますか?


モチベーションの源泉」かな。
私『進撃の巨人』が好きで。「みんな何かに酔っ払ってねぇとやってらんなかったんだな」ってセリフがあるんですけど。
仕事してると、辛いこともあるじゃないですか。でも、この楽しさに“酔ってる”から頑張れる……!とか、誰しもあると思うんですね。

やっぱり、陰ではツラいこともたくさんあるのだろうな……


人それぞれお金だったり地位だったりいろいろあると思うんですけど、仕事の最前線にいる皆さんが、何を拠りどころにしているのかって気になります。


秋元さんはご実家がもともと農業やられてたことが、やっぱりモチベーションの源泉なんですよね?


いやー、たしかにスタート地点は「実家が農家」なんですけど、最初に持ってるモチベーションだけだと、続かないんですよね。
実家が農家だから踏ん張りつづけられるかというと、やっぱりそうではなくて


ああ……それわかります……
きれいな“ビジョン”とかはあっても、日々の仕事で踏ん張りたいときに、それだけじゃ耐えきれないときもありますよね……


そうなんですよ……!!
私、生産者さんからいただいた手紙を全部クリップしてて、ツラくなったときに見るようにしてるんです。「私が事業やめたらこの人たちに迷惑をかけちゃう」みたいなことが、この5年くらい事業やってきて、一番やる気になるポイントなんです。
そうやって「頼られてる」って実感できるものを目にすると、モチベーションというか寄りどころになるんですよね。


興味本位できくんですけど、南場(智子。DeNA代表取締役会長)さんとそういうお話はされないんですか?


あ、したことないです。きいてみたいですね
創業したときから、フェーズによってどんどん変わってそうですよね。

南場さん、「モチベーションの源泉」についてお話しいただける場合は、ぜひ新R25編集部までご一報ください!

今日の記事を読んで、「あっ、自分も共感性高いタイプだわ」って気付いた人、けっこういますよね?

たぶん一朝一夕に改善される弱点ではないと思われますので、秋元さんを参考に

「それぞれの正義を尊重できる」

仕事のスタイルに、磨きをかけていきましょう!

〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉