守りから攻めへ 「ファーストフード」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「ファーストフード」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は3.1%と、米長期金利の動向などに左右されほぼ横ばいだった東証株価指数(TOPIX、0.0%)を上回りました(10月27日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

国内需要は回復、世界市場は成長へ

ファーストフード業態の売上増が続いています。日本フードサービス協会が10月25日に発表した9月の外食産業市場動向調査によると、ファーストフードの売上高は前年同月比で12.6%増え、新型コロナウイルス禍前の2019年同月を22.9%上回りました。背景は、外出機会の増加訪日外国人(インバウンド)の需要回復です。また、需要を捉えるべく、会社側が打ち出した秋の季節メニューのキャンペーンなども功を奏したようです。

更に、ファーストフード業界を巡っては、2021〜28年の世界のファーストフードの市場規模は年平均で4.6%成長するとの民間調査があります。世界の市場の成長が見込まれる中、一部で関連企業の積極的な拡大戦略の報道があったことも市場で注目を集めました。

海外店舗を国内外食初の1万店に拡大との報道【ゼンショーホールディングス】

上昇率首位の「 ゼンショーHD 」は牛丼チェーン「すき家」や回転すしチェーンの「はま寿司」など多彩なブランドを展開しています。10月6日付の日本経済新聞電子版が「2024年3月期末に海外の店舗数を国内外食で初となる1万店規模にする」と報じ、積極的な海外展開による成長に期待した買いが続いたようです。 

24年2月期の業績予想を上方修正【吉野家ホールディングス】

上昇率2位の「 吉野家HD 」は牛丼チェーン「吉野家」やうどんチェーン「はなまるうどん」などを運営しています。10月11日、人流の増加に加え、政府による光熱費の負担軽減策の効果などから2023年3~8月期の連結決算が従来予想を大幅に上回ったと発表。好調な実績を反映して、24年2月期の業績予想を上方修正しました。

コストコントロール、ブランド、海外展開が投資ポイント

このほか、すしチェーン「すし銚子丸」を展開する「 銚子丸 」は11月2日に創業47周年を迎えるのを控え、10月16日から「創業祭」として平日限定イベントを開くと発表。「くら寿司」を展開する「 くら寿司D 」が10月20日に発表した9月の既存店売上高は前年同月比10.3%増。ラーメンチェーン「日高屋」などを展開する「 ハイデイ日高 」は10月6日に発表した2023年3〜8月期決算で営業損益が大幅な黒字に転換。これらの銘柄も買われています。 

様々な業態がある外食産業の中で(『みんな大好き“日常食”が回復 「ラーメンチェーン」関連株が上昇』『コロナ鎮静で飲食が復活 「ダイニングバー」関連株が上昇』)、売り上げの増加基調が続くファーストフード業界。原材料価格や人件費の上昇を吸収するコストコントロール、価格の引き上げにも揺るがないブランド力、世界の成長市場を取り込む海外展開などが銘柄選別のポイントとなりそうです。