「米金利」に揺さぶられる中では、内需株優位か

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は、マーケットを取り巻く外部環境が不透明な中における、日本株の物色の方向を探ります。

カエル先生の一言

米長期金利の行方や、緊張の度合いを高める中東情勢。日本株マーケットを取り巻く外部環境にはやや不透明感が漂っています。そうした中、日本株の物色動向はどうなるのでしょうか。今回は、「内需株」「外需株」という切り口でその方向を探ります。

振れが大きかった10月の日本株市場

10月31日の日経平均株価は3万858円、前月末比999円安でした。
10月は、4日に前日比711円安と大幅の下げ、10日には751円高と今年最大の上げ幅を記録。

4日の下げは、前日に発表された米雇用指標が労働需給の逼迫を示唆していると受け止められ、金融引き締めの長期化観測が高まったことなどを受けたものでした。10日の上げは、米FRB(米連邦準備制度理事会)関係者による追加利上げへの慎重な見方を受け、金融引き締め長期化観測が和らいだことなどが背景です。また、中東情勢に関する不透明感も一部で手控え要因に。

10月の日本株市場は、米長期金利の行方などを中心に外部環境に左右される展開となりました。

マーケットは米金利の動向を注視

世界中の投資家が注目する米長期金利は、年初の3%台中盤から、10月には4.9%台まで上昇しました。FRBは、景気動向を踏まえ、過熱気味であれば政策金利を引き上げ、停滞気味であれば政策金利を引き下げるなどの金融政策を行っています。

足元の米景気は、エネルギー価格の上昇やUAW(全米自動車労働組合)のストライキなどにより、インフレが長引く懸念があります。また、FRBが政策金利の誘導目標を据え置いたことから、金融引き締めが長期化するとの見方も根強いです。さらには、予防的な追加利上げを行うのではとの観測さえあります。米長期金利は、こういった見方を反映していると言えるでしょう。

金利の上昇は、資金調達コストの上昇や、債券投資への魅力向上などに繋がり、株式市場にはややネガティブです。日本株市場は、 こうした米金利の動向に一喜一憂する展開が当面続きそうです。

日本株市場は内需株優位の展開か

こうした外部環境の不透明感が漂う投資環境の下では、内需株が相対的に選好される傾向があります。内需株とは、事業基盤が国内にあり、国内景気(内需)が好調なときに、より業績の拡大が見込まれる企業の株式です。代表的な業種としては、不動産、建設、倉庫、電鉄、電力などのほか、鉄鋼、紙・パルプなどの素材産業、銀行、保険といった金融などが挙げられます。

今年の株価パフォーマンスを見ると、日経平均が上昇傾向を強めていた年前半は外需株が優位でした。しかし相場がいったん上昇し、それ以上の水準になかなか値上がりしなくなった夏場以降は、内需株優位となっています。今後も賃上げ機運の高まりやインバウンド需要の拡大に加え、秋の行楽シーズンに入ることもあり、内需株への追い風は継続しそうです。