投資のきほん

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

日経の記者40人による投資リレーのような教養書。株や為替の実践からニュースの見方が変わる雑学まで。末長く使え、マーケットの感覚も養える本。

色眼鏡ナシ! 「自分の頭で考える」が身につく投資の良書

投資入門で中国の通貨「人民元」にまで触れられている本を初めて見ました。「株式について知ろう」「為替の仕組みを理解しよう」「金への投資はなぜ人気?」など小学生にも理解できそうな目次が並ぶものの中身はかなり本格的。「初めての人も、おさらいの人もこれで完ぺき!」という帯カバーの惹句(うたいもんく)通り、初心者も投資歴5年の人でもその度に新たな学びが得られそうです。

注意したいのはテクニック本ではないこと。教養としての「投資」がコンセプトなだけに「こうすれば勝つ!」といった煽りはなし。あくまで立場は中立です。たとえば、投資信託の運用は「アクティブファンドよりパッシブファンド推し」が世の主流。パッシブばかりに注目が集まりがちなところ、両ファンドを同じスタンスで言及するのが本書です。「市場に勝つことを目的とするアクティブ型だが、つねに実現できるわけではない」「手数料はパッシブ型より高い」、そこには俯瞰的な事実のみが述べられます。

初心者向けの投資本ではほぼ取り上げられないFXがあるのも嬉しいところ。日本のFX市場は、2007年頃から白熱中で、一般の主婦もぞくぞく参入しています。海外では日本のFX勢を「ミセス・ワタナベ」と呼ぶのだとも。2022年は円安ドル高が進んだ背景で取引額はなんと1京円(!)を超えました。このほか新NISAやiDeCo、株価チャートの読み方からエネルギー売買や金銀の投資まで。個人の感想が入らない分、体感的にはページの倍くらいの情報量に思えます。周囲の声に振り回されず、自分の頭で考えるーー投資の基本軸を育むことができそうな一冊です。