2024年は辰年です。龍は、十二支の中で唯一、想像上の生き物です。水中に棲んでいて、雨を降らせるなど水をつかさどる存在とされています。また、「龍神」として神格化されて信仰の対象になることも。
神社の手水舎にある吐水口が、龍になっているのを見たことがある人は多いのでは? あの龍も、水の神である「龍神」に由来しているそうです。ちなみに、龍は英語ではdragon。しかし、西洋のドラゴンと東洋の龍は別物で、龍が水を操るのに対して、ドラゴンは口から火を噴くとされています。
水をつかさどる龍の年ということで、今回はさまざまな方向から水に関連する事業を展開している企業をピックアップしてご紹介します!
「天然水」で森林を保護し育てる会社【サントリー食品インターナショナル】
「 サントリー食品インターナショナル 」は、サントリーHD傘下のグループ会社です。日本国内のほか、フランスやイギリス、アジア各国、北米の海外各国で飲料事業を展開しています。コーヒーの「BOSS」シリーズ、「サントリー緑茶 伊右衛門」「C.C.レモン」など、誰もが知っているコアブランドが多数!
「サントリー天然水」もその中の一つで、発売は1991年です。日本のミネラルウォーター市場を代表するブランドとして、他のブランドと共に今後の成長カテゴリーと位置付けられています。現在の水源・採水地は、南アルプスのほか、北アルプス、奥大山(鳥取)、南阿蘇外輪山(熊本)の3エリア。また、同社は採水・販売だけでなく、森林を保護し育てることで水源を守る活動にも取り組んでいます。
売上面でも「サントリー天然水」は好調で、2023年12月期第3四半期(累計期間)には販売数量が過去最高となりました。水を取り巻く環境を大切にしているだけでなく、事業の成長も同時に達成していることがわかりますね。
半導体に欠かせない「超純水」を製造販売【栗田工業】
2つめの銘柄は「 栗田工業 」です。会社の理念として「”水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を掲げるほど、水と深い関わりがあります。具体的には、水処理装置と水処理薬品を扱っていて、メンテナンス・サービスを加えた3つの領域で事業を展開しています。
ちなみに、水処理とは水の中から不純物を取り除くことで、飲み水だけではなく産業用の水も用途に合わせた処理プロセスがあります。同社では、半導体など電子機器製造に欠かせない純度の高い「超純水」を製造し、水そのものを継続的に販売する「超純水供給事業」にも力を入れています。
業績面を見ると、11月7日に発表された2024年3月期第2四半期(累計期間)の業績は、2ケタの増収、2ケタの営業増益でした。電子市場で、水処理装置の大型案件の工事が進んだこと、また一般水処理市場では継続契約型サービスやエンジニアリング洗浄が伸びたことなどが要因です。なお、通期の会社計画は2ケタの増収増益を見込んでいます。
気象予測の活用でみんなに「安心」を届ける会社【ウェザーニューズ】
1970年の爆弾低気圧による貨物船の沈没事故をきっかけに、「船乗りの命を守りたい」という思いで、海洋気象の専門会社からスタートした「 ウェザーニューズ 」。単なる「天気予報」ではなく、顧客一人ひとりに本当に役立つ「対応策情報」を提供しています。人は龍のように水をつかさどることはできませんが、気象を予測するという技術で大雨や洪水を避けることができるということですね。
現在は、航海気象のほか航空気象、陸上気象、環境気象などさまざまなサービスを、世界約50ヵ国の顧客に提供しています。さらに、モバイル・インターネットを通じた個人向けの気象サービスでは、全国のサポーターからの観測データなどを「集合知」として気象予測モデルに組み込むという技術も採用しています。
2024年5月期は、アプリ利用者が増加している個人向けモバイル・インターネット事業の成長が続き、既存の各気象事業も拡大が見込まれるとして、通期の会社計画は増収増益の見込みです。また、前期比10円の増配も予定しています。
水資源を循環させる「最適解」を提供【メタウォーター】
今から15年前に「日本ガイシ」と「富士電機」の水環境部門が合併して誕生した「 メタウォーター 」。日本ガイシの機械技術と富士電機の電気技術を併せ持つ独自性が強みの一つです。国内外の上下水道と環境の各分野で、機械設備や電気設備の設計・建設、補修工事、保守・点検や管理業務などを手がけています。ベースにあるのは、「水資源の循環を創り出すための最適解を提供する」という発足当時からの理念。人々が快適に暮らせるように、さまざまな方向から「水・環境インフラ」づくりに取り組んでいます。
現在は、2024年3月期が最終年度となる「中期経営計画」が進行中です。施設・設備の設計や調達・建設基盤分野といった既存分野の強化に加えて、海外事業やPPP事業(公共サービスの提供に民間が参画する手法)など成長分野の拡大、また研究開発投資の拡大や持続的なESGなどに注力しています。
同社の場合、官公庁向けの国内公共事業が多いのも特徴で、そのため売上が第4四半期に偏重しています。2024年3月期の通期の会社計画は増収増益を見込んでいて、前期比2円の増配も予定しています。
世界に安全・安心な水産物をお届け!【マルハニチロ】
最後は世界最大規模の水産物サプライヤーである「 マルハニチロ 」です。取り扱っている水産物は、年間70万トン以上!
世界中に独自のネットワークを張り巡らして、漁業や養殖、水産物の買付から、生産・加工、販売まで、安全・安心な水産物の安定供給に努めています。一般消費者にとっては、お弁当のおかずなどの冷凍食品、魚介類の缶詰、フィッシュソーセージなどでおなじみですね。特に水産缶詰のシェアは高く、たとえばサケ缶は国内シェア約78%を占めています(2022年度実績)。
2010年には民間企業で初めてクロマグロの完全養殖に成功。水産資源を守り、安定供給することにも取り組んでいます。また、介護食品は168品目を扱っていて、高齢者用食品のうち「キザミ・ミキサー・ソフト食」については実は国内シェア1位です。2025年3月期を最終年度として現在進めている中期経営計画の中でも、成長が期待できる分野の一つとして、介護食品の強化が挙げられています。
私たちの生活に欠かせない「水」。その当たり前を支える企業に着目して、応援していくのも面白い投資アイデアの1つかもしれませんね。今年も日興フロッギーでは、様々な企業をご紹介していきますので、ぜひ投資の参考にしてみてください!