株式市場で「ゲーム」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は6.9%と、東証株価指数(TOPIX、4.9%高)を上回りました(1月12日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
ニンテンドースイッチ後継機、年内発売か
ゲーム株が上昇したきっかけの1つは、任天堂の家庭用ゲーム機「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」の後継モデル発売観測でした。1月7日、米CNBCが同機種の年内発売の可能性を報じたほか、オーディオエレクトロニクス企業のAltec Lansingがゲーム周辺機器「Game Shark」の最新版「AI Shark」の発売時期について、「2024年9月に発売される『ニンテンドースイッチ2』と同時になる」と明らかにしました。これによって発売可能性に対する信ぴょう性が高まりました。スイッチ後継機が年内発売されれば、2024年年末のクリスマス商戦に向けてゲーム市場が活況になると期待されます。
オイルマネーによるゲーム株の持ち株が増加
また、株式市場では、オイルマネーによるゲーム関連銘柄の持ち株比率増加も話題になりました。サウジアラビアの政府系ファンドである「パブリック・インベストメント・ファンド」が9日付で関東財務局に提出した変更報告書では、コーエーテクモホールディングス株の保有比率を引き上げたことが明らかになりました。同ファンドはコーエーテクモの他、任天堂を筆頭に、カプコンや、ネクソンなど日本のゲーム株を大量保有していることで知られています。他のゲーム株の保有比率を増やすのではとの思惑が広がりました。
「バイオハザード」など有力IP多数【カプコン】
上昇率トップはゲームソフト大手の「 カプコン 」です。「バイオハザード」を筆頭に、「モンスターハンター」、「ストリートファイター」、「ロックマン」、「デビル メイ クライ」など、世界的に絶大な人気を誇るIP(知的財産)を多数保有しています。また、「ポケモンGO」を手がけた米ナイアンテック社と協業し、2023年9月に配信開始した位置情報ゲーム「モンスターハンターNow」は1カ月で1000万ダウンロードを記録するなど出足好調で、「モンスターハンター」シリーズのユーザー層拡大が期待されます。
人気シリーズを年内発売【コナミグループ】
上昇率2位は「 コナミグループ 」です。年明けにソニーグループが「プレイステーション(PS)」の海外向け公式YouTubeで、「Upcoming Games in 2024」というタイトルで新作ソフトを複数紹介しましたが、その中にコナミの「METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER(メタルギア ソリッド デルタ スネーク イーター)」と「サイレントヒル2」が登場しました。両タイトルはともに発売時期を未定としていましたが、年内の発売確定で業績への貢献期待が高まりました。
国内家庭用ゲーム機販売台数トップ【任天堂】
ゲーム総合情報メディアのファミ通によると、2023年の家庭用ゲーム国内市場規模は、ハードが前年同期比27.5%増の2674億円と4年連続の増加となりました。機種別では、「 任天堂 」の「ニンテンドースイッチ」が406万台と、販売台数トップを堅持しました。ソフトでは任天堂のスイッチ向けソフトが上位を独占するなど、発売7年目を迎えても根強い人気を誇っており、後継モデルへの期待感は強そうです。
その他、「 ソニーグループ 」の「PS5」は供給不足が解消され、前年比2倍以上にあたる259万台に伸びました。23年11月に値上げしたにもかかわらず、販売への影響はさほど出ていないところをみると需要の強さがうかがえます。
「 スクエニHD 」は「ファイナル・ファンタジー」、「ドラゴンクエスト」などファンが多い人気シリーズを抱えており、ニンテンドースイッチの後継機種でも発売が期待されます。
今後もイベント・話題が豊富なゲーム市場
ゲームを巡っては、新型ゲーム機の年内発売が見込まれ、その後の業績への寄与も含め中長期的な期待感が強いと思われます。それに加え、オイルマネーによるゲーム関連銘柄への資金流入、ゲーム各社による新作発表、9月に予定されている東京ゲームショウなど様々なイベントや話題が控えています。また、仮想を通じ遊びの空間が広がる「メタバース」を利用した展開なども期待されます(『市場規模は200兆円!?「メタバース」関連株が上昇』)。ゲーム関連株は、それらをきっかけに株式市場で度々脚光を浴びる展開となりそうです。