生成AIブームで半導体企業に商機 「エヌビディア」関連株が上昇

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株式市場で画像処理半導体(GPU)大手の米エヌビディア関連株が人気化しています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は2.7%と、東証株価指数(TOPIX、0.6%高)を上回りました(1月19日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

米エヌビディア株、上場来高値を更新

エヌビディア関連株が上昇したきっかけは、米エヌビディア株の高値更新です。米証券会社がGPUの需要拡大などを背景に同社の目標株価を相次いで引き上げたことから、米株市場で上場来高値を更新しました。

GPUは当初、ゲームなどの映像を高速処理してなめらかに表示する用途に使われていました。その後、膨大なデータを処理する特長が注目され、AIの深層学習に不可欠な存在となりました。米オープンAIが提供する対話型AI「Chat(チャット)GPT」の登場で生成AIブームが起きGPUの需要が急増しています。

エヌビディアは半導体の設計専門で工場を持たないファブレスメーカーです。製造の大多数を半導体受託生産大手の台湾積体電路製造(TSMC)などに委託しています。そのTSMCが24年12月期の売上高は前年比「20%台前半」の増収になるとの見通しを開示。エヌビディアの半導体への需要の強さを反映しているとみられます。

また、1月月初に米ラスベガスで開かれた世界最大級のテクノロジー見本市「CES」で、生成AIが実装されたサービスが相次いで発表。今後のGPU需要が拡大するとの期待を高めました。

エヌビディアが顧客の半導体検査装置大手【アドバンテスト】

上昇率トップは半導体検査装置大手の「 アドバンテスト 」です。半導体製造の後工程のなかでも最終工程にあたるテスターに強みを持ち、生成AI関連のプロセッサで大きなシェアを有しています。エヌビディアを筆頭に、AI関連の世界中の顧客に技術的な支援を続けて信頼関係を構築し、長期にわたり関係を深めています。ファブレス企業のパートナーであるファウンドリー(半導体受託生産企業)やOSAT(半導体組立テストサービス企業)とも協力関係にあります。

生成AI向け需要増が追い風【東京エレクトロン】

上昇率2位は半導体製造装置大手の「 東京エレクトロン 」です。半導体材料のシリコンウエハーに回路を描く前工程の製造装置に強みを持ち、生成AI用のサーバー向け半導体需要の増加が追い風となりそうです。生成AIの性能を左右するロジック半導体向け装置を中心に、半導体メーカーとの共同開発を加速しており、25年3月期業績に貢献すると期待されます。

正規代理店などにも恩恵か

エレクトロニクス商社の「 マクニカホールディングス 」、半導体商社の「 菱洋エレクトロ 」はともに日本国内におけるエヌビディアの正規代理店です。マクニカは国内最大の販売実績を誇ります。

GMOインターネットグループ 」は、23年11月より国内クラウド事業者として初めてエヌビディアの最新モデルのコア GPUを搭載した「GPUサーバー」を提供しています。

 米メタがGPUを大量購入する計画を明らか

1月18日、米IT大手メタ・プラットフォームのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、AIだけでなくAGI(汎用人工知能)にも取り組むため、研究を一段階引き上げる意向を明らかにしました。2024年末までにエヌビディア製の最上位GPUを35万基購入する見通しです。メタ以外にもAIに注力する企業が、エヌビディアのGPUを大量購入する意向を示す可能性もありそうです。

AIやAI開発に絡む半導体需要拡大を背景に、日本株市場では様々な銘柄に注目が集まっています(『在庫調整とAI・DXが追い風 「半導体部材・製造装置」関連株が上昇)(『半導体ニーズ確認で物色広がる 「AI」関連株が上昇)。今後も、折につけエヌビディアや関連銘柄が注目される展開が続きそうです。